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498名無し野電車区
太鼓打ち

その発祥は江戸時代前期とされる。五街道や飛脚による通信制度が整備されたが、
飛脚屋、飛脚問屋間の到達時間の競争は熾烈を極め、昼夜を徹しての飛脚人夫の
酷使も目立つところとなった。
これを憂えた幕府は宿駅からの出発時刻を定め、出発時刻には太鼓の音が宿場町に響いた。
出発時刻前には宿場の出口に飛脚が並び、太鼓の音と共に一斉に走り出したという。
徒競走の合図でもある「用意ドン」の語源でもある。
時刻は宿場町ごとにまちまちではあったが、街道の起始点である江戸に限っては、
文書を収集するまでの時間を考慮して巳の刻、西洋式の午前10時と定められていた。
熾烈を極めた飛脚間の競争もあり、この太鼓を叩く時刻は非常に正確な物が要求された。

転じて10時丁度に発売開始になる席数の稀少な鉄道指定券を取りに行く様子が、
江戸の街で見られた正確な10時の太鼓になぞらえて、太鼓打ちと呼ばれるようになった。

出典:民明書房刊 日本交通史大系