中央快速・緩行線 Part21

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国立駅舎 解体し再築有力に

JR中央線の高架化に伴う国立駅舎の保存問題で、駅舎を丁寧に解体し、忠実に再築する
「全解体保存」方式での保存が有力になってきた。駅舎を現在地に残したまま工事を進める「存置」方式や
一時移転する「曳(ひ)き家(や)」方式の実現の可能性が極めて小さく、解体が現実のものとして迫るなか、
JR東日本が提案している「レプリカ」方式よりも、文化財として駅舎を残せる「全解体保存」を目指す動きが、
市議会与党のほか、野党の一部にも出始めた。JRが「タイムリミット」としている9月定例市議会(4日開会)
で決着が模索される。

「全解体保存」は、解体に際して可能な限り部材を保存し、高架化完了後にほぼ元の姿に復元する方式。
活用する部材が一部に限られ、実質的には新築となる「レプリカ」とは異なり、文化財としての保存が可能と
されている。
駅舎保存問題では、市が「曳き家」を3度にわたって市議会に提案したもののいずれも否決され、「存置」を
JRに要望していたが、工期が遅れるとしてJRが拒否。市は「保存しない解体」か「レプリカ」の選択を
迫られていた。
手作業が中心となる「全解体保存」は、「保存しない解体」や「レプリカ」に比べ解体に時間がかかり、
工事日程から必須とされている年内の更地化は難しいとの見方もあるが、保存方法の検討の過程ですでに
図面が作成されているため、短縮できるとの期待もある。費用は解体を含め2億2300万円と試算され、
「存置」「曳き家」「レプリカ」のいずれよりもかかるとされている。
一方、市は市議会に「国立駅舎保存基金条例」案を提出する。市内の
医療法人「国立あおやぎ会」(太田怜理事長)が8月31日、創設10周年記念事業の一環として、駅舎を
「『歴史的建築物』(文化財)として残せる一助になれば」と500万円を市に寄付しており、これを基に
駅舎保存のために寄せられた寄付金を保存事業に活用する。
「レプリカ」では文化財とならず、寄付の趣旨にも反することなどから、「解体」が不可避と判断した場合は
市も「全解体保存」を目指すとみられる。
(2006年9月2日 読売新聞)

ttp://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news001.htm