古来から湖西地域は、京都・奈良の都と北国を結ぶ交通の要衝として栄え、中でも陸上交通は、比叡・比良の山麓を湖畔に沿って
走る西近江路や、塩漬けされた鯖を運搬する街道であったことから鯖街道と呼ばれる若狭街道が主となり、これらの街道と
大津方面への湖上交通の拠点である港町や宿場町として栄えてきました。
このように、琵琶湖と山岳が一体となって醸し出す魅力的な自然環境や、遺跡・街道筋の町並みなどの歴史文化遺産、
さらにはこういった自然環境・歴史環境の中で、「高島クレープ」、「扇骨」などの独特の地場産業・伝統工芸が育て上げ
られてきました。しかし、明治時代以降、社会資本の投資が第一国土軸を中心に行われてきたため、今日でも第1次産業
を中心とした産業構造になっています。
1)自然環境の保全と活用による魅力的な定住環境づくり
本圏域には、社会資本の整備の相対的な遅れのほか、積雪地帯のハンディをどう乗り越えるかという課題があります。
その中で、地域の定住性を高めるためには、湖と山の豊かな自然環境を最大限に生かしながら生活関連基盤や教育・文化環境
の整備を図ることで、他地域にはない魅力的な居住環境をつくりあげていくことが求められています。
また、高齢化が比較的早くから進行し、今日では県内でも最も高齢者比率の高い圏域となっており、老人福祉施設の整備
も進んでいるものの、圏域外からの利用者が多く、圏域内需要に対応しきれない状況にあります。そこで、圏域内の高齢者の
入所需要を考慮した施設の整備などを進めていく必要があります。
2)京阪神、環日本海等との連携を図る交通基盤の整備
湖西地域は古くから京阪神地域と環日本海地域とを結ぶ交通の要衝であり、ひと・もの・情報の往来によって地域経済も
支えられてきました。しかし、近年、その利点は他の地域に比べて相対的に低下しています。今後の地域振興においては、
これらの地域や県内の大津方面との交流・ネットワークを強化することが重要であり、圏域内も含めて、交通基盤の整備充実と
利便性の向上を図る必要があります。