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名無し野電車区:
そろそろ21時を回り繁華街の人通りも少なく、終電も迫ってきたので席をはずし品川駅の京急線乗り場へと向かった
コンコースの照明は薄暗いがホームレスの溜まり場であった通路は昨年に全て閉鎖され
出口は1箇所だけに縮小されたので悲しいほどのだだ広さは感じられない
ホームへ行くと21時02分普通文庫行最終を待つ人が数名
沿線住民の急激な高齢化と減少に加え京浜東北線が130Km/h運転で並走してることもあり、当線の利用者もますます激減し、列車本数も大幅に削減され、利用者がゼロに等しくなった普通車停車駅のほとんどは廃止された
やがて定刻で電車が入線
12両分あるホームに4連はやはり不釣合いだ
転換クロスシートに身を沈めて窓外に目をやる
ほどなく浮かび上がる不気味なシルエットは数年前廃止された新馬場駅の残骸
JRの羽田乗入れで荒れ果てた蒲田での乗り降りはゼロで4両で15人余りの乗客を乗せた列車は川崎へと向かう
120Km/hくらいは出してるだろうが並行する京浜東北線の列車は120Km/hを軽く越える速さでわが列車を追い抜いていく
上大岡でほとんどの乗客が降り、残る客は自分だけだ
ファソラシドレミファソー、と音程の狂った悲しげなモーター音をあげながら金沢文庫へ向かって行った