これらの場合に連結してある各電車は、自動連結器のスキ間だけ動いて、
次の電車に当たると乗客は衝撃を感じるのである。この不具合を除くために
電車には連結部にスキ間のない連結器、すなわち密着連結器を採用する
ことになった。普通の自動連結器は構造が変わっても互いに連結できるが、
密着連結器は特殊な構造を有し、種類の違ったものは互いに連結ができない。
わが国の電鉄会社ではすでに密着連結器を採用していたものが数社あったが、
アメリカの製品が多く、その種類も種々あり、また住友式を採用する会社
もあった。国鉄が密着連結器を採用する場合に1社の製品を採用すれば、
その後はいつもその種類を購入しなければならなくなるので、まず国産品
として国鉄形密着連結器を製作することが計画された。工作局車両課の
柴田衛氏(柴田式自動連結器発明者の弟)が適当なものを考案したので、
鉄道省で特許を取り、これを電車に採用することになった。
その後アメリカにおいては高速度列車が発達し、これら高速度列車には
密着連結器が採用されることになった。そしてそれらは普通の自動連結器
とも連結し得るために、連結器の外側にある種の装置を設ける構造なので
大型であった。わが国においてもこれと同様なものがすでに製造されており、
電鉄会社でこれを採用したものがある。国鉄の連結器取換作業の成功は、
ジュネーブにおける国際連盟の労働委員会に宣伝された。当時第1次大戦の
影響により、わが国は4大国の一つとして外交界でも動きをなしたが、
労働条件が悪いとして国際連盟の労働会議ではしばしば苦境に立ったので
あった。そこで労働者の安全のためにヨーロッパ鉄道ににおいて自動連結器
を採用することをわが国の実績を基として提唱し、この問題で労働会議の
指導的立場に立ったのは愉快なことであった。これは昭和3年のことであり、
ヨーロッパでは国際間の種々の問題で自動連結器採用の実現を見るに至ら
なかったが、国鉄から山下興家氏が派遣されて国際における連結器取換作業
を説明し、大いに賞讃された。ヨーロッパの鉄道は国際輸送があるため、
この工事を実行しようとすれば、各国が一致してこれに賛同しなければ
ならないのであり、それが困難な事情にある。ドイツ鉄道のごときはネジ
連結器に満足できないので、シャルフェンベルグ自動連結器などを特殊な
列車に試用していたが戦後新造されたディーゼル動車など、一般列車に
編成する必要のない車両には自動連結器が採用されたという。
ここで島安次郎氏のことについてもう少し述べておこう。島氏がアメリカへ
派遣された時に笠間杲雄氏が同行を命ぜられたが、笠間氏は経理局にいて
英語の達人であった。アメリカで島氏が各地を視察した時、どこでも意見を
求められたが、至るところで適正な意見を述べられたので、通訳もやり甲斐
があったという。戦時なのでアメリカの鉄道はマッカーズー氏の管理の下
におかれていた。島氏とマッカーズー氏の面会を計画されたが、互いに時間
がなかった。ある駅で島氏の乗った列車とマッカーズー氏の乗った列車が
停車して行き違うことがあったので、特に5分間停車して面会されたという。
どんな話があったかというと、日本では国有化を行なったが、その結果は
どうだというのである。島氏は、今までのところでは成功していると答え
られたという。その後アメリカでも鉄道国有化が行われた。材料を得るため
に派遣されたわずかの人が鉄道ミッションとしてこのように尊重されたのは、
島氏の意見にアメリカ人が傾聴したためと思う。笠間氏は十河元国鉄総裁と
親しく、その後外務省に転じ第1次大戦当時パリの日本大使館に駐在し、
その手腕を発揮した。特に英語に優れており、わが国の自連取換工事を労働
会議に提出するために尽力した人で、後にはイラン大使となった。第2次
大戦が激しくなり、最後の引揚船阿波丸にて潜水艦のために生命を失った
のである。
島氏は前にも述べたように実に偉い人で、工作系統といわずその手腕が認め
られた人である。満鉄理事の時、理事はそれぞれ分担事項を有していたが、
島氏は分担事項がなく、全体を総覧されたので、副総裁になれと他からすす
められた。しかし、なられなかった。副総裁になると種々の宴会などに
出なければならない場合が多くなって仕事ができなくなる。自分が理事と
して多少でも仕事ができたのは副総裁にならなかったからだとは、私に対
する述懐であった。この偉い人の伝記を残したいと思って、私は国鉄時代の
事柄を書いて、車両工業協会(現車両工業会)の印刷物に出してもらって、
伝記をまとめようとした。鈴木貞氏が車両工業協会の理事の時、車両工業
協会の前身であるかつての車両統制会の会長が島氏であったのだから、
同協会の仕事として伝記をまとめるように頼み、鈴木氏も共鳴して一部
着手されたが、結局できなくなってしまった。まことに惜しいことである。
〜終わり
150 :
鈴木光太郎:2005/06/03(金) 02:56:41 ID:bwkVsy8t
お疲れさまでした。
国鉄部内の人間関係などの様子も文章から読み取れました。
日本のいわゆる「国鉄形密着連結器」は柴田(弟)氏の独創考案なのか?
何らかの前例の改良なのか?興味が出ました。
151 :
鈴木光太郎:2005/06/03(金) 11:35:28 ID:s7OB3q+s
>>150 は書き間違い
>>146に「密着連結器を採用していたものが数社あったが、
アメリカの製品が多く」の記述がありました。失礼しました。
ネジ式から自動連結器に一斉交換できたことで外交でも有利になる材料となって
いたとは……奥が深い。
153 :
鈴木光太郎:2005/06/03(金) 22:13:20 ID:oWy+71sC
>>116 遅レスですみませんが、伊予鉄が電化までこのタイプのねじ式連結器でしたね。
>>14 ウィルソン式は日本鉱業佐賀関鉄道で営業使用されていましたね。
ドロップ連結器を上げろ
158 :
鈴木光太郎:2005/06/08(水) 11:12:03 ID:nfiPJmRb
159 :
名無し野電車区:2005/06/08(水) 13:34:57 ID:ritKrhzX
>>158 ほえ〜、貨車でドローバーとは! 珍しいでつね。
160 :
鈴木光太郎:2005/06/08(水) 17:57:43 ID:5MQYAjuL
Model Railroadersの1970年代か1980年代に1/87図面が出た気がします。
5両程度ずつまとめて、棒連結器(?)にしてました。
161 :
鈴木光太郎:2005/06/08(水) 22:12:51 ID:aHpc3iK3
>>160 図面はModel Railroadersの1976年、2月号でした。
5両は間違いで、4両づつまとめて、ドローバー連結。
標準、124両編成の場合のブレーキ空気漏れを防ぐため、エアホースの取り外し式を止めて
ついでに固定連結化。1972年から始めた、と書いてありました。
162 :
名無し野電車区:2005/06/11(土) 14:40:41 ID:TuhWkKiG
あげ
滅多に編成両数の変わらない鉱山鉄道では合理的なんでしょうね>ドローバー。
日本でも岩手開発あたりが導入したら面白そうですが。
ただ、引き出し時に連結器にかかる引張力がちょっと気になります。
164 :
鈴木光太郎:2005/06/11(土) 23:47:35 ID:iFdj3+Eo
ちなみに、4両固定編成貨車の前後端の連結器はタイトカプラーに見えます。
引き出しはバカ力カ?(馬鹿チカラか?と書きました)
165 :
名無し野電車区:2005/06/13(月) 20:39:54 ID:qgrSdMU0
連結器上げ
166 :
名無し野電車区:2005/06/15(水) 06:15:51 ID:7nJoEQzE
あげ
167 :
名無し野電車区:2005/06/17(金) 00:23:45 ID:WXgILZSC
げあ
以前ソウル駅でムグンファ在来型客車のベスティビュールバッファを観察していたら、
駅員に何をやってんだと聞かれて説明に困ったことがあった。
正直に訳を話して、「日本の列車に比べ発車時の衝撃が小さく素晴しい」と誉めたら喜んでた。
日本じゃ新京阪のデイが導入したものの、摺動部の潤滑がうまくいかず諦めましたが。
大陸系の鉄道では特に問題なく運用しているようですが、何かコツでもあるんですかね。
>何かコツ
何が起ころうと「ケンチャナヨ」ですませてしまう度量の広さ
170 :
鈴木光太郎:2005/06/18(土) 15:47:51 ID:S0v68uIa
171 :
名無し野電車区:2005/06/18(土) 16:51:39 ID:LOKFG5nW
>>170 毎度変わったものをうpしていただき、ありがとうございます。
う〜ん、すごい簡易的な連結器ですねぇ〜・・・
スレ違いですが、そのHPの蒸気やヘロい線路も気になりますな・・・
172 :
名無し野電車区:2005/06/18(土) 17:02:15 ID:LOKFG5nW
それにしても、遊間が広すぎ・・・バッファー付いていたって、あれじゃあガツンガツンとショックの方も相当大きいんでしょうね。
レールの継ぎ目もかなりのもんですねw
>>170 興味深いサイトありがとうございます。
ヘロい連結器の背後で自己主張するブレーキホースが泣かせますな。
しかしわざわざ博物館にラックレールまで残してあるとは…。
現在のインドネシア国鉄の写真も楽しいですね。
さりげなく写っている都営6000とかレールの継ぎ目とか。
174 :
鈴木光太郎:2005/06/18(土) 21:51:11 ID:pxL+A0TM
>>171 >>172 >>173 どうもです
私個人にとっては見ものは、2-12-2蒸気機関車、軸配置愛称名Javanic でしたが、
この方面はスレ違いになってしまうので。
>>174 その辺の続きは蒸機スレにてお伺いするとして、あの連結器は、何て言う連結器でしょうか? バッファー&リンクの一種だとは思いますが・・・
176 :
鈴木光太郎:2005/06/18(土) 22:58:19 ID:pxL+A0TM
>>175 これも名前は解らないです。
どっかに視野の広い解説書があれば、と願ってるんですが。
177 :
名無し野電車区:2005/06/20(月) 08:25:57 ID:f/51k6d+
あげ
178 :
鈴木光太郎:2005/06/21(火) 03:03:31 ID:5yP49Hfa
179 :
名無し野電車区:2005/06/21(火) 11:03:00 ID:Uufo//MM
>>178 こりゃまた、ゴージャスな客車ですね。一見、オープンデッキみたいに見えますが・・・
そうそう、連結器スレで話題にして良いかどうか知りませんが、車両の連結間隔って、やっぱ各国で相当違いが有るんですかねぇ?国内でも、南海は広めって言うし。
180 :
鈴木光太郎:2005/06/21(火) 15:16:30 ID:os/REmat
国内では福島交通がかなり長い棒で貨車を引いてた気がします。
米国のインターバンでも急曲線で連結間隔の長い例があった気がするんですが、
ネット写真が見つからない。
181 :
鈴木光太郎:2005/06/22(水) 03:10:07 ID:hesB85iO
182 :
名無し野電車区:2005/06/22(水) 09:21:39 ID:XZ+L+XUR
>>181 どっかで見たなぁと気になって手持ちの資料(と言っても、たかが知れていますが)を調べたら、TMSのNo.694(2002 3月)のp37の上の方に、ちょこっと貨車の連結状態が見れる写真がありました。確かに連結棒のようです。
183 :
蓼食う虫:2005/06/22(水) 10:43:07 ID:ExZ+tw4Y
>>181 確かに、連結器ですね。
同様の物は沼尻鉄道で実物を見ました。朝顔連結器で
オーバーハングの小さい二軸車では通常のリングで、
オーバーハングの大きいボギー車や大型の二軸車では棒状の連結器を
使用していました。棒状の連結器と、鉄の丸棒の両端をつぶして
穴を開けただけの物ですが。
184 :
鈴木光太郎:2005/06/22(水) 13:05:02 ID:uNXCKira
185 :
名無し野電車区:2005/06/24(金) 04:07:38 ID:rXvUZb0p
保守
そういえば貫通幌の構造ってわかる?
貫通幌にも色々あるが。
単なる貫通幌か、バッファー機能付きか・・・
日本で一番最初に密着連結器を装備した車両は、何でつか?
189 :
名無し野電車区:2005/06/29(水) 19:37:39 ID:kUedhzyR
保守
190 :
名無し野電車区:2005/07/01(金) 19:31:14 ID:x85xWmmR
あ(ry
ry)げ
192 :
名無し野電車区:2005/07/03(日) 12:09:05 ID:B077p9Ur
ry)g(ry
193 :
名無し野電車区:2005/07/06(水) 11:11:52 ID:BqjSYgjB
保守
194 :
名無し野電車区:2005/07/07(木) 10:27:35 ID:3EJxCfZa
自動連結器(密着自動も可)の発車するときの衝撃でハァハァしている
俺は変態でしょうか?
195 :
鈴木光太郎:
ガッツーン、の衝撃で窓の外を見ると、ホームの景色が音もなく、ゆっくり後退。
10年以上体験してないです。