【大宮】京浜東北線part3【大船】

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 23日、JR京浜東北線が電気系統トラブルで停止し、乗客約1000人が
2時間半にわたって車内に閉じ込められた事故。復旧までに時間がかかり、
気分が悪くなった乗客16人が救急車で運ばれた。非常時におけるJRの対応の
まずさが目立ったうえ、開放できる窓が各車両に2カ所しかない構造などに
問題はなかったかを検証した。
 トラブルが起きたのは同日午前9時25分ごろ。大森消防署によると、
蒲田−大森駅間で停止した大船発南浦和行き電車から「気分が悪くなっている
人がいる」との119番通報を受け、午前10時25分ごろ、現場に救急隊員が
到着。約20人が降車し、うち6人が病院に運ばれた。
 その後、後続の車両に牽引(けんいん)され、午前11時50分ごろ、
蒲田駅に戻った。ホームで乗客の対応をした蒲田消防署によると「しゃがみこみ、
自力歩行できない人もいた」といい、10人が病院に向かった。停電で空調が
ダウンし、車内の換気が不十分だったため、酸欠状態に陥った可能性もある。
 乗客の男性会社員(38)は「酸素が薄い感じがした。天候のせいもあるが、
窓が2カ所しか開けられなかったから空気の流れが悪く、車内は曇った状態だった」
という。
 開放できる窓が限られれた車両は山手線や中央線など多くの通勤電車でも
導入している。JR東日本東京支社は「気密性を高め、冷暖房の効率を上げるため」
として、「非常時には、ドアが手動で開けられるので問題ない」と説明するが、
今回は東海道線が平行しているなど、安全面を考えてドアは開けず、
気分が悪くなった人以外を降ろすことはしなかった。
 鉄道アナリストの川島令三さんは「空調が止まれば、換気ができなくなる。
窓が開かないのは冷暖房費を下げる企業利益を優先した考え方」と切り捨てる。
ドアを開けなかったことも「東海道線と反対側を開けるのは困難ではなかったはず。
乗客が転落、負傷した場合の責任問題を恐れたのだろう」とみる。
 後続車両による牽引を決定するまで、タイムロスはなかったか。同支社は
「故障車両が自力走行できる可能性を探りながら、牽引を決定するには通常でも
2時間近くかかる」と説明した。
 しかし、川島さんは「同じような事故を想定し、自力走行できるかを試験して
いたのか」と批判。「いずれにせよ2時間はかかりすぎ。対応がマニュアル化し、
臨機応変に動ける職員がいなかった。全体的に及び腰だった」とみている。
 今回のトラブルでは電気系統がショートしたことで、一時、白煙が上がった。
実際に火災となった場合には1分、1秒が生死を分ける。川島さんは「非常時の
乗客サービスを考えていない企業体質を露呈した」と対応のまずさを指摘している。

http://www.sankei.co.jp/edit/kenban/tokyo/index.html