【青森〜函館】北海道新幹線34【H27年度末完成へ】
きのうの読売に新幹線でてますた。
2005.1.10 読売
【整備新幹線】1973年、全国新幹線整備法で建設が決まった北海道、東北、北陸、
九州の新幹線計画 曲折30年 見えない「終点」
四年ぶりとなる「整備新幹線」の新規区間着工が、二〇〇五年度政府予算案に盛
り込まれた。計画から三十年余。整備新幹線はその都度、政治のテーマとなり、
紆余曲折をたどってきた。悲願の着工に沿線の期待は膨らむが、財源問題など、
先行きはなお不透明だ。 解説部 木戸 健介
<歴史>巨額事業費着工足踏み
来年度新たに着工するのは、北陸新幹線の富山−金沢聞のほか、手つかずだった
北海道新幹線の新青森〜新函館問と九州新幹線・長崎ルートの武雄温泉−諌早間。
これで、一九七三年に計画が決まった路線すべてで工事が始まるが、整備新幹線の
歴史は足踏みの連続だった。
「国士の均衡ある発展」をうたった新全国総合開発計画(六九年)を受けて、
高速幹線鉄道網を全国に張り巡らせる整備新幹線は、高度成長時代の産物
ということができる。事業費も巨額で、二〇〇三年四月の試算では、計画の完成には、
なお4兆6000億円がかかる。
だが日本経済は、七〇年代の石油危機、続くバブル崩壊で長期低迷する。
八七年の国鉄民営化では、「整備新幹線は新生JRの経営の崖を引っ張りかねない」
として、慎重論も高まった。
本格着工は九一年にずれ込み、その後は工事の進ちょく状況を見ながら次の区間に
着手する方式に。今回の新規着工は、東北新幹線(八戸〜新青森)などで六年後完成の
めどがたったのを受けての決定だ。
ただし、昨年暮れの政府・与党申し合わせで、今後の取り扱いは「必要に応じ随時見直」
す、となった。これには将来の新規着工を前倒す意味合いもあり、
未着工区間を抱える自治体は「早期着工に弾みがつく」と歓迎している。
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<ネック>「根元利益」JRが反発
整備新幹線建設の最大のネックは、財源の手当て。来年度着工区間の総事業費
約1兆1600億円のやりくりも、難航した。整備新幹線の建設費は、国と地力自治体が
2対1の割合で賄い、営業主体のJRは「受益の範囲で」負担する。国の負担の内訳は、
公共事業費と、JRから入る譲渡収入=解説=の二本立て。ところが、二〇一二年度
までの譲渡収入は着工済み区間の財源に決まっており、新規には回せない。そこで、
二〇一三年度以降の分を前倒しで活用することになった。
将来の財源不足を見越して、「根元(ねもと)利益」という考え方も国から示された。
ある区間の開業は、接続する別会社の営業区間(根元)の乗客増をもたらすとして、
その利益を建設に活用しようという発想だ。例えば、北海道新幹線で東北新幹線も
増収となるため、東北を運行するJR東日本も北海道の事業費を出すべきだ、となる。
こんな議論が起こる背景には、「もうけばかりを優先するJR」に対する与党の不満
がある。だが、JRは「根元利益は民間企業としてのJR各社の経営判断と相いれない」
と強く反発しており、火種を残す結果になった。
また、新幹線開業後JRから経営分離する並行在来線の問題もある。在来線は地元
が第三セクターで運行するが、ほとんどは赤字。九州新幹線・長崎ルートでは、佐賀県
の一部自治体が「地域の足が切り捨てられる」と反対、具体的な着工時期が決まらない
ままでの見切り発車となった。
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<波及効果>地方が期待 検証も必要
わが国の鉄道の大動脈である既設新幹線と異なり、整備新幹線には地域開発の
要素が濃い。それだけに、活性化策を真剣に模索する地方が寄せる期待は高い。
「開業問もない東北、九州は、部分開業でも観光客が大幅に増えており、新幹線信仰
に拍車がかかっている」 (国土交通省・幹線鉄道課)との見方もある。
実際、国交省は、今回の新規区間の経済波及効果について、「北海道新幹線は
費用の約三・七倍、北陸も約二・三倍」とする試算を発表。「公共事業費が縮小する
中で、新幹線など効果の大きな事業に予算を重点化した」という。
だが、一方で、人口流出といったマイナスの効果を指摘する声もあり、評価は人
によってまちまちだ。
山内弘隆・一橋大大学院教授(交通経済)は「費用・効果分析が妥当かどうか、
着工前に広く情報開示して吟味するとともに、開業後は、事前の予想を検証すること
が不可欠」と話す。
「建設推進」を叫ぶ政治家の声にも押され、整備新幹線は事後の評価が行われて
こなかった。しかし、いまや″聖域″ではない。どの程度効果があるのか、行政には、
客観的な評価による国民への説明責任が求められている。
※整備新幹線の譲渡収入
JR3社が1991年に東海道など既設新幹線の施設を買い取った代金で、
60年間分割で払う。その一部、約1兆9000億円が整備新幹線の財源になる。