【魅惑の真紅】名鉄パノラマカー【当然名電】

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189[1/4] ◆aPwp0KSVC6
○競争
時計屋の柴崎夫婦から許可を貰い、翠星石と蒼星石は池袋に行った。
そのあと、品川に向かおうとしたが、巣鴨から駒込に向かう山手線の車内で、蒼星石がこういった。
「青い京浜東北線の方が早そうだから、乗り換えようよ!」
「蒼星石!この電車は品川までいくですよ!まだ快速運転してないですよ!」
「僕は速いと確信してるんだ!お願いだ翠星石、乗り換えようよ!」
「だめです蒼星石。この電車に乗りなさい!」
「翠星石がダメなら、僕だけでも乗る!」
『まもなく田端です。京浜東北線へお乗換えのお客様はお忘れ物ございませんようお気をつけ下さい』
『ピンポーンピンポーン』
ドアが開くと蒼星石はいちもくさんに向かい側の京浜東北線に乗り換えてしまった
「そ、蒼星石!こっちに戻ってきなさい!」
翠星石がいくら呼んでも彼女は戻ってこない。ついにドアが閉まってしまった。
190[2/4] ◆aPwp0KSVC6 :05/02/22 19:21:08 ID:L9eyjmwo
「蒼星石のバカ…」
翠星石は向かい側の京浜東北線に乗ってる蒼星石のことに心配になってきた…。
万が一何かあったら…。
翠星石の乗ってる山手線の電車は足が速いせいかどんどん差を広げていく。
「翠星石、僕はこの区間の競争が大好きなんだ…。」
窓ごしに蒼星石はこうつぶやいた…。
西日暮里に電車は到着した。翠星石は蒼星石のいる京浜東北線の電車に行って、彼女にこう言った。
「一人ではあぶないですよ蒼星石、私もいっしょに乗りますから。」
「いや、僕一人っきりにしてくれ。僕の密かな楽しみをジャマしないでくれ。山手線に戻ってね」
翠星石は仕方なくさっき乗ってた山手線の電車に戻った。戻った瞬間同時にドアが閉まってしまった。
「蒼星石…まさか、この区間のバトルを…。」
その想いが一瞬翠星石の頭によぎった。
足が速い山手線の電車は京浜東北線の電車をちびちびと離して行く。
(僕は、このバトルが大好きなんだ…。)
蒼星石はその思いのもと、京浜東北線の電車に乗ってた。
191[3/4] ◆aPwp0KSVC6 :05/02/22 19:22:06 ID:L9eyjmwo
両電車は上野駅に着いた。山手線の方に集客し出足が遅くなってしまい、京浜東北線の電車が先に出た。
(このバトルのドキドキ感がたまらないんだよ、翠星石)
山手線の電車は得意の駆け足でちびちびと京浜東北線の電車に近づき東京駅では並んで減速に入り同時刻に停車した。
だが、間隔調整のため山手線の電車の発車は京浜東北線の電車より少し出遅れてしまった。
(やっぱ僕の思ったとおりだ、こっちが先に着きそうだ)
(蒼星石、こんなのどこが楽しみなんですか!もう…)
電車はいまだ京浜東北線の方が先に進んでいる。そのあとを山手線の電車が得意の足早さで追いかけてくる
(早く着いてくれ京浜東北線!)
蒼星石は心に念じた。
(こっちが負けてどうするんですか!しっかりするですぅ山手線!)
翠星石がちょっぴり焦り気味になった。
もうすぐ両列車は田町の駅に着く。依然山手線の電車は京浜東北線の電車を追いかけている。
どちらも減速体制に入った。どちらもキビキビ減速していく…。そして停車した、京浜東北線の方が先に。
192[4/4] ◆aPwp0KSVC6 :05/02/22 19:23:07 ID:L9eyjmwo
蒼星石はホームをつたって後に停車した山手線の電車に乗換え、車内に居る翠星石にあった。
「な、なぜそっちが先につくって予測できたのですか?」
翠星石はとっさに蒼星石に聞いた。
「この時間帯の山手線の外回り、間隔調整する電車があるんだよ。」
「そうだったんですか?」
「時刻表を熟読してればわかるよ、翠星石」
「…」
翠星石は返す言葉を失ってしまった。蒼星石が私以上にオタだったなんて…。
今日も京浜東北線の電車と山手線の電車は重複ダイヤでのバトルを繰り広げている。
このバトルは決して終わりそうにもない…。(終)