◎○ホッカイドウおぼーんスプリントステークス○◎

このエントリーをはてなブックマークに追加
432旧、鉄拳後談。
 積み残し、というほどでもありませんが、「昔話」や「今話」とは
別に、技術開発に関連した補足として、書かせていただきます。

 鉄道技術の研究・開発機関は多岐に渡ります。鉄道会社そのものは
もちろんのこと、車両メーカーなど私企業も含まれます。
 ただ、施設や構造物に関連したものは、直接または短期で利益につ
ながる要素が少ないだけに、私企業で行なっているところはほとんど
ありませんで、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(機構)
と財団法人鉄道総合技術研究所(総研)で行なわれています。

 機構には、前身の鉄建公団の経緯にある「鉄道事業の運行部門と建
設部門の分離」にあるように、鉄道会社の経営的な考え方からは乖離
した技術畑一本みたいな考えがあります。
 そのため、ちほく線の高速化の概算でお話したように、特段必要と
しない工事を見積もり工費が高くつく傾向にあります。
 また、(昔話かも知れませんが)「これでは危険だ」となれば頑と
して首を立てに振らない傾向もありました。例えば、千歳線の札幌貨
物からの合流付近では千歳方面の線路は振られることがありますが、
あれを「危険だ!」と主張し続けている元職員がいます。でも、平然
と(新札幌に停車するので最高速ではないでしょうが)高速運転して
いるのですから、JRとしては安全性に問題ないとしているのです。

 一方、総研は、国鉄の分割民営化によって蓄積された技術の分散を
防ぎ、JR各社で共用化することを目的とされており、つまりは鉄道会
社側の考えに沿った組織であります。
 当初は同じようなテーマを機構と総研とで扱うことはなかったので
すが、機構に依頼すると高いし硬いしで、総研に依頼することも多く
なったようで、機構側とされる当方にしてみれば、「身内だけで得た、
検証の取れない結果を産み出していないか?」という懐疑的なものも
あります。

 (一旦、送ります)
433旧、鉄拳後談。:04/12/25 11:11:34 ID:xVpn69+d
>>431の続きです。

 機構では整備新幹線の建設という目的に則って、各種の技術開発を
行なっております。北海道新幹線の建設の着工にあたり、青函の新幹
線と在来線の混在運行の技術開発にやっと着手でき得る予算を計上さ
れたこととなります。
 また、総研でも新幹線と在来線の混在運行をテーマに技術開発がさ
れており、これはフリーゲージトレインが主ですが、トンネル内での
速度の異なる列車同士のすれ違いによる風圧実験も行なわれています。

 機構側の考えとは、「青函は3本目のレールを敷けば新幹線は走ら
せることはできるだろうけど、同時期に貨物も走らせるところまでは
想定していない。それが安全かどうかはこれから考えること。」とい
うものであります。
 総研側の現在の見解とは、「風圧は新幹線には真摯な影響を与えな
いし、在来線でも通常に走行している分には被害の及ぶ危険性は少な
い。」とされています。「ない」ではなく「少ない」のです。
 この両論をもって、おそらく鉄道会社は「機構は3本目を敷いてさ
えくれればよく、混在運行は総研と考え、問題ない方法で対処する」
となるでしょう。
 新幹線建設に際し、JRにも負担を求めれば、当然安価におさめる方
向に出るでしょうから、尚のことと思います。

 いくら声高に「危険性がある」と言ったところでも、実際にその指
摘の被害が発生しないと、中国の故事の「杞憂」と同様であります。