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名無し野電車区:
メンテナンスをどのようにするかが重要な課題であった。ライフサイクルコストと寿命設計
の観点から、基本的には13年間ノーメンテナンスを目指すこととしたが、最低限の修繕、
取替えや調整を必要とするものもあり…
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最も議論となったのは台車関係部品の寿命設定であり、長寿命とするか一定期
間で交換等をするかで、金属にするか、ゴム系でよいかなど、大きく設計が変
わることになるため、慎重な判断が必要となった。
最終的には東京圏を走行する車両では、車輪の使用限度から7年で車輪交換の
ための解体が必要と判断し、台車に関しては7年に一度解体修繕をすることと
し、各部分の寿命は解体するものは7年、解体しないものは13年と決定した。
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量産に繋げるために、事前の検討やベンチテストなどにより、車体で2種類、
内装で3種類、主回路機器で3種類、台車で2種類などに絞り込んだが、それ
らを実走行の同一条件で比較する必要があった。開発担当者は正当な評価をす
るには3編成欲しいという思いと、未だ海の物とも山の物とも分からないもの
に投資するのは経営の観点では無理な話であり、1編成10両で試験したい要素
をすべて盛り込み、試験方法を工夫する事で投資を最小限にしようとする案が
担当者の中で検討された。そこに投資計画を担当するY氏から
「この開発に車両課はどの程度の思いで取り組んでいるのか」
と聞かれ
「3大課題を100%クリアーはできないかもしれないが、どうにか量産にもって行き
たい」と伝えたところ
「では3編成作ってもよいが、205系と211系はもう作らないがよいか」
と問われ、ナイフをのど元へ突きつけられた思いであった。車両課の担当の中で
も「リスクが大きい」という意見や「この機会を逃すと今後も205系をつくり続
ける事になるから、思い切って取り組もう」など意見がぶつかり合い議論が行わ
れたが「次世代を担う車両を我々の手で作りたい」という思いが勝ち、Y氏にそ
の旨を説明、3編成30両の試作車両の投資計画が承認された。
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