萌えてます!E231系 Vol.24

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265名無し野電車区
運転協会誌7月号に次世代車両(901系〜)の開発に関わった束の運輸車両部長
の話が載ってて、ちょっと興味深かったので一部コピペ

JR東日本では首都圏の車両のE231系への置き換えを進めている。この車両は
新系列車両と称し、国鉄時代に製造されていた車両とは、構造、価格、保守
等すべての面で考え方を異にしている。これは平成4年に登場した901系
通勤型電車と量産型の209系にそのルーツがある。この車両を担当した一人
として、すでに十数年前になったこの車両開発がどのように行われてきたかを
中心に述べることとしたい…

JR東日本が発足し首都圏の通勤、近郊型電車の置き換えが始まり、205系、
211系が大量に投入されてきた。この大量投入を進める中、その先の電車
のあり方について様々な議論が進められた。その中で当時のY副社長から、
「重量半分、価格半分、寿命半分」を実現する車両を検討するようにという
課題が車両開発担当者に課せられた。10%削減という課題であれば205系
の延長上での検討で終わったかもしれないが、あまりにも革新的なこの課題
に車両開発の担当者は頭を悩ませた。ここに、今までの車両開発には無い、
大胆な発想での開発を余儀なくされたのである。

この課題を解決するため、前提となる考え方を明確にすることから始め、

 『重量半分』は編成としての総重量の半減
 『価格半分』は一定数量発注時の価格を半減
 『寿命半分』は車両の耐用年数13年間のメンテナンスフリー化

の考え方として車両の構造、性能を検討することとした。特に寿命に関しては
13年で使用不可能になる車両の設計は困難であることから、13年で置き換えても
経営を圧迫させない車両として考えることとした。
〜略〜
266名無し野電車区:04/07/30 20:34 ID:lPqyDBhc
メンテナンスをどのようにするかが重要な課題であった。ライフサイクルコストと寿命設計
の観点から、基本的には13年間ノーメンテナンスを目指すこととしたが、最低限の修繕、
取替えや調整を必要とするものもあり…

最も議論となったのは台車関係部品の寿命設定であり、長寿命とするか一定期
間で交換等をするかで、金属にするか、ゴム系でよいかなど、大きく設計が変
わることになるため、慎重な判断が必要となった。
最終的には東京圏を走行する車両では、車輪の使用限度から7年で車輪交換の
ための解体が必要と判断し、台車に関しては7年に一度解体修繕をすることと
し、各部分の寿命は解体するものは7年、解体しないものは13年と決定した。

量産に繋げるために、事前の検討やベンチテストなどにより、車体で2種類、
内装で3種類、主回路機器で3種類、台車で2種類などに絞り込んだが、それ
らを実走行の同一条件で比較する必要があった。開発担当者は正当な評価をす
るには3編成欲しいという思いと、未だ海の物とも山の物とも分からないもの
に投資するのは経営の観点では無理な話であり、1編成10両で試験したい要素
をすべて盛り込み、試験方法を工夫する事で投資を最小限にしようとする案が
担当者の中で検討された。そこに投資計画を担当するY氏から
「この開発に車両課はどの程度の思いで取り組んでいるのか」
と聞かれ
「3大課題を100%クリアーはできないかもしれないが、どうにか量産にもって行き
たい」と伝えたところ
「では3編成作ってもよいが、205系と211系はもう作らないがよいか」
と問われ、ナイフをのど元へ突きつけられた思いであった。車両課の担当の中で
も「リスクが大きい」という意見や「この機会を逃すと今後も205系をつくり続
ける事になるから、思い切って取り組もう」など意見がぶつかり合い議論が行わ
れたが「次世代を担う車両を我々の手で作りたい」という思いが勝ち、Y氏にそ
の旨を説明、3編成30両の試作車両の投資計画が承認された。