鉄道唱歌(五)関西・参宮・南海編
http://www.tanken.com/sangu.html 三〇 今ぞめでたく参宮に すまして跡に立ちかえる
汽車は加茂より乗りかへて 奈良の都をめぐりみん
三一 はや遠ざかる奈良の町 帯解寺も打ちすぎて
渡るながれは布留の川 石の上とはここなれや
三二 都のあとを教へよと いへども答へぬ賎(しづ)の男(お)が
帰るそなたの丹波市 布留の社に道ちかし
三三 三輪の杉むら過ぎがてに なくか昔のほととぎす
今は青葉の桜井に 着きたる汽車の速やかさ
三四 ここよりおりて程ちかき 長谷の観音ふし拝み
雄略帝が朝倉の 宮の遺跡もたづねみん
三五 初瀬列樹(なみき)の宮のあと 問はんとすれば日は落ちて
初瀬の川の夕波に ふくや初瀬の山おろし
三六 さぐる名所の楽しさに 思はずのぼる多武の峰
峰にかがやく鎌足の 社のあたり花おほし
三七 桜井いでてわが汽車は 畝傍耳無香山の
鼎に似たる三山を 前後に見つつ今ぞゆく
三八 畝傍の麓橿原に 始めて都したまひし
御威も高き大君が 御陵をがめ人々よ