●●●●●北陸新幹線はいらない●●●●●

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5名無し野電車区
議論のネタをまいておきます。

整備新幹線には課題がある。いわゆる「並行在来線」問題である。
並行在来線とは、おおざっぱに言えば、
新幹線が開通する区間にほぼ沿って走っている在来線のことである
(厳密な定義はよく知らないので、他のサイト・文献をあたられたい)。
例えば、東海道新幹線であれば東海道本線にあたるような存在のものである。

この並行在来線、整備新幹線においては、
もともとの営業主体であるJRからの経営分離を確認するようになった。
その第一号となったのが北陸(長野)新幹線における信越本線の扱いで、
この時は高崎〜横川間、篠ノ井〜長野間はJR東日本がそのまま経営を受け継いだが、
当時鉄道の最急勾配区間として知られていた横川〜軽井沢間は鉄道路線を廃止し、
バス路線への転換となり、軽井沢〜篠ノ井間は長野県の第三セクターである
しなの鉄道に経営権を譲渡した。
6たねまき:03/10/05 23:11 ID:pnhoZCPl

なぜこのようにJRが在来線の経営を放棄してしまうのかというと、
新幹線と在来線、両方の線路を持っているとお金がかかってしまうのである。
それに、新幹線が出来れば在来線に特急を走らせる必要性がなくなるので、
特急料金の取れない在来線は全然儲からないものになってしまう。

JRは国鉄時代と違い民間会社であるから、
儲からない事業に手を出すわけにはいかない。
そういうわけで、整備新幹線を開業するにあたっては、
JRは在来線の経営分離ができるというスキームを構築したのである。
こうすることによって、JRを「第二の国鉄」化させることを回避しているのだ。

また、新幹線と在来線を別会社で運行させることにより、競争力を増すという意味合いもある。
新幹線と在来線を同じ会社で経営した場合の結果は、
JR東海の静岡県内区間の状況を知っている人ならよくご存じであろう。
7たねまき:03/10/05 23:12 ID:pnhoZCPl
それなら新幹線開業に伴う在来線にメリットは全くないのか、
というとそうではない。

今まで在来線のみではどうしても特急列車中心のダイヤを組むため、
普通列車は地域の実情を反映しないダイヤが組まれ、
それにより普通列車がどんどん寂れていくという悪循環に陥っていたが、
特急列車が新幹線に移行することによって普通列車中心のダイヤ、
すなわち地域の実情に合わせたダイヤ策定が可能となる。

実際に、しなの鉄道では信越本線時代よりも本数を増発して利用者の便宜を図っている。
また、新幹線駅への最も重要なアクセス手段としての活用も考えられる。

8たねまき:03/10/05 23:15 ID:pnhoZCPl
しかし、現実は甘くはない。
JRは在来線の経営分離に際して、地方の第三セクターへは無償譲渡ではなく
有償での売却という形でしか認めていない。
つまり、在来線鉄道を残したければ多額の金を出して買い取らなければならないのだ。

また、何とか金を工面して買い取ったとしてもその後の経営は厳しいものがある。
なぜなら在来線時代は特急料金を取ることで採算ベースに乗せることは可能であったが、
特急の役割は新幹線に持って行かれてしまうため、
普通運賃のみの収入で賄わなければならない。
仮に特急料金を取ろうとしても、
利用者は「どうせ別料金を取られるなら」と新幹線へ流れてしまうことになるだろう。

現在、大きく利益を出している第三セクター会社は北越急行(ほくほく線)など、
JRの特急が乗り入れている区間ばかりであり、
いかに特急などの有料上級列車の運行状況に収入を依存しているかがうかがえる。

また、JRほどの大きな鉄道会社であれば一部区間の赤字は他の区間の黒字でカバーできるが、
路線距離の短い地方の第三セクターではそれは非常に難しい。
結局、現在のスキームにおいて運賃の大幅値上げは避けられない。
9たねまき:03/10/05 23:17 ID:pnhoZCPl
あまりにも乗客が少ないような路線であれば廃止してバス転換も可能かも知れないが、
乗客が少なくても鉄道を維持しなければならない場合がある。
それが2002年に開業する東北新幹線延伸部である。

なぜこの区間の在来線を残さねばならないのかと言うと、
現在東北本線経由で関東〜北海道間の貨物を運搬しているJR貨物の問題があるからである。
現在、貨物輸送はすっかりトラックが中心になってしまったが、
本州〜北海道間の物流は本州と北海道が道路で結ばれていないために鉄道のほうが圧倒的に早く、
JR貨物の唯一と言ってもよいドル箱路線となっている。
しかし、ここを廃止されてしまうと貨物列車は他の路線を迂回するほかなくなり、
鉄道の優位性が下がってしまう。

新幹線の線路に貨物列車を走らせるのが最も合理的な解決策だと思われるが、
旅客列車よりも重い貨物列車が走ることによって線路保守の負担が増大するとして、
JR旅客会社は未だに新幹線の貨物併用を認めていない。
10たねまき:03/10/05 23:18 ID:pnhoZCPl
それならばJR貨物が線路を持ってしまえばいいという考え方もあるかも知れないが、
JR貨物は現在でも経営状況は芳しくなく、
「JRを第二の国鉄にはさせない」という観点から、
さらに負担を押しつけるのは適切ではない。
11たねまき:03/10/05 23:19 ID:pnhoZCPl
結局地方自治体を第二の国鉄化させているような感も否めない。
整備新幹線は線路の保有を日本鉄道建設公団(鉄道公団)、
列車の営業をJR旅客会社が行うこととなっているが、
このスキームを並行在来線にも当てはめて、
鉄道公団等の公的機関が一度並行在来線を買い取り、
それを地方の第三セクターに貸し付ける
といった在来線版上下分離方式の活用も考えてみる余地があろう。