「開業39年で赤字解消」
◆市営地下鉄 市民部会が提言書 小田急乗り入れ前提
川崎縦貫高速鉄道線(市営地下鉄)の経費縮減策を検討してきた同線研
究会市民部会は三十日、中原区の市中小企業・婦人会館で「効率的で採算
性のとれる事業を目指して」と題する提言書を阿部市長に手渡した。市の
計画では一度も黒字転換せず事業として成り立たないものの、小田急多摩
線との相互乗り入れを前提に車両費や運行本数を削減すれば、開業三十九
年目での累積赤字一掃は可能だと結論づけた。
同部会は今年三月に発足。十人の委員が七回の公式会合と、週末を中心
に十九回の勉強会を重ねてきた。
提言はまず、全線(新百合ケ丘−川崎)開通時の市の需要予測と収支計
画(総事業費七千百五十六億円)を検証。「一日当たりの利用者数約三十
万人は約二十二万人にすぎず、開業十八年目の累積赤字解消はおろか六十
年間で一度も黒字が出ない」と批判した。
そこで、小田急との相互乗り入れ実現で需要が二十二万人から約4%増
えると仮定。同時に@急行運転をやめて運行本数も百八十八本から三十本
減らすA一両五百万円の中古車両を使うなど車両費を大幅に削減する−な
どにより事業費は五千三百二十一億円で済み、四十年以内に赤字がなくな
ると試算した。
一方、検討課題の一つだった京急大師線との直通運転は、技術的な問題
があり、行わないことが盛られた。
堀田靖二部会長は「採算性を考えれば、小田急との相互乗り入れは不可
欠。各駅停車のみの運行が適当」と骨子を市長に説明した。阿部市長は
「短期間で熱心に議論してもらい、立派な提言書を頂いた。市民が地下鉄
事業について専門的な意見をまとめあげた例は国内にないのではないか。
参考にしたい」としている。
来月一日には学識者部会が提言を行う。
(14年10月31日東京新聞川崎版朝刊25面)