逆浸透膜(RO)を放射能除去の観点から議論するスレ
福島原発の汚染水処理システムの淡水化装置の資料
ttp://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111105_01-j.pdf のP8に、ROオタクから「ああ、やっぱりね」というデータが掲載されれているので解説します。
このP8は、淡水化装置の実績(頑張り具合)を示したグラフなわけですが、ここで、淡水化装置のRO部分が、
「塩化物イオン(1.9%程度)を0.025%程度まで低減」
とあり、蒸発濃縮部分も含めた総合的なイオン濃度ppmの低下量の折線グラフが示されています。
この「塩化物イオン」というのは、海水中の「塩(NaCl」の事だけをさしているのではなく、
水中に含まれる、イオン類の一切合切を差しているはずです。
グラフの縦軸がppmと表示されていて、いかにも、「粒の数」のような表現になっていますけど、
ROユーザには、おなじみの、TDSメータ値という奴です。
TDSメータ値というのは、水に2本の電極を突っ込んで、電流がどれくらい流れやすいか、
水の電気伝導度を測定して、その値を、「この水が食塩水と仮定したらどれくらいのppmか」
と強引に換算しているだけの値なのです。
実際の測定対象の水は、海水のイオンやら、セシウムやらストロンチウムやらヨウ素やら、
いろんなイオンがごちゃごちゃにまじっているわけで、そのごちゃごちゃの雑多な
イオンがまじった水の電気の流れやすが、食塩水に換算したら13000ppmぐらいの濃度になります、
と言う意味です。
淡水化装置のROは、食塩水換算で1.9%の食塩水を0.0025%程度にまで薄くする事ができると
いうことで、除去率に換算すると99.86%程度になります。
この資料が嘘でないなら、汚染水の中の海水由来の食塩やら、核燃料由来の、
イオン化した放射性物質やら、ともかくイオンであるものを一切合切、
イオン種ごとに除去率に少々の差はあるにしても、概ね99%ぐらいはは除去できているはずです。
本当に放射性物質がROで99%ぐらい除去できているか
>>17で教えてもらった、東電発表の詳細データを検証してみました。
発表資料の数字をエクセルに打ち込んで(以下の表1)
核種毎の除去率と濃縮倍率を計算してみました。(以下の表2)
ttp://ameblo.jp/mickey6809/image-11119733015-11727594136.html 空欄は、データがなかったり、測定結果がND(検出限界値未満)の場合です。
ROの入口と浄水出口の値から除去率が計算できます。
ROの入口と蒸発濃縮装置入口の値から濃縮倍率を伺い知る事ができるだろうと考えました。
ROの排水出口の濃縮された汚染水はタンクにためられ蒸発濃縮装置入口に流れます。
間にタンクがあるため、測定値の変化にタイムラグが生じるはずで、
濃縮倍率の値は、除去率よりは正確さにかけるとは思います。
上記のURLの表2の通り、Cs,Co、Mnの放射性同位体に関しては、
RO入口と、RO浄水出口のデータが測定されており、除去率は99%以上で、
>>72の資料P8の記載と矛盾がありません。ストロンチウムに関しては、
RO浄水出口のデータはないのですが、蒸発濃縮装置入口のデータがあり、
ここの濃度がRO排水と同じと仮定すると、濃縮倍率1.8倍とか2.6倍という値になってます。
ストロンチウム濃度が濃くなった分だけ浄水の方は薄くなっているのは間違いありません。
RO装置無いにおいて、ストロンチウムが生み出されていない限り。
ストロンチウム濃縮倍率からストロンチウム除去率が逆算できるかな?と思って計算してみたのですが、
除去率が100%を超えてしまいましたw
RO排水濃度と蒸発濃縮装置入口濃度の値に、タイムラグがあるでしょうし、
測定誤差もあるからでしょう。
東電発表データからストロンチウム除去率をちゃんと逆算することに関しては、「いまひとつ」という
検討結果になりましたが、
(1)他の核種で99%除去できていること。
(2)その値は、ROのTDSメータ測定値での除去率と大差ないこと
(3)排水のストロンチウムに注目したら、ROがストロンチウム濃縮装置として稼働していること
(=浄水に注目したらストロンチウム除去装置として稼働しているはず)
は確認できました。
>>60に書いたとおり、福島原発の淡水化装置のROでは、排水:浄水比率=6:4で運転されているようですが、
家庭用の逆浸透膜浄水器では、排水:浄水比率は、3:1、4:1、5:1あたりを目途に運転するのが一般的です。
この比率を大きくすればRO浄水の純度はあがるのですが、排水を外部に捨てる事ができない福島原発では、
RO浄水の純度をあげる観点よりも、RO排水の濃度を上げる観点を重視して設計されているのだと思います。
濃度の高い排水をROが作り出し、蒸発濃縮装置でその排水から、塩分を除去する、という設計になっており、
塩分(含む放射性物質)の除去の主役は、ROではなくて、蒸発濃縮装置なんだと思います。
主役ではないが99%程度は放射性物質は除去しているが、ともかく、、元の値が濃すぎる!
>>70のまとめ通りなのだと思いました。