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( ・∀・)つ〃∩ヘェーヘェーヘェー:
「住み慣れたこの家のこの窓から見える海が一番好きなのよ」
そう呟く母親に、有紀は溜め息まじりに答えた。
「お母さん。本当にごめんね。1ヶ月経ったらニューヨークから帰ってくるから。
それまでの辛抱だからわかってちょうだい」
そう言って母親を乗せた車椅子を押す有紀は、とはいえ、母親のことが気が
かりでならなかった。しかし、夫が赴任しているニューヨークに1ヶ月ばかり
行かなくてはいけない。悩んだが、母親を説得し、有紀がいない間、老人介
護センターに入ってもらうことにした。
「それでは母を宜しくお願いします」
介護センターの職員が有紀の母親の車椅子の取っ手を握って有紀に言った。
「お任せください。お母様にこちらの生活に慣れていただけるよう最善を尽く
します」と。
「じゃあね、お母さん。1ヵ月後に迎えに来るからね」
有紀の母親は一瞬悲しそうな目をしたが、やがて笑顔で有紀を見送った。
と同時に有紀の母親にとって、娘のいないつらい日々が始まったのだった。
「あらあら、山本さん」
有紀が去った翌日、センターの職員が有紀の母親に近寄った。
有紀の母親が車椅子で窓の外を眺めているのだが、身体が左に傾いていた
ので、急いで職員が体勢を元に戻してあげた。
「ここから見える海は、私はどうも好きになれないわ」
「そうですか、あちらの窓からはまた違った風景が楽しめますよ」
その翌日、違う職員が有紀の母親がまたもや身体を左に傾けているのを見
つけ、体勢を元に戻した。
「この窓から見える海も、私はどうも好きになれないわ」
あくる日も、あくる日も、母親は窓の外を眺めているのだが、身体を左に傾けて
は、職員がその体勢を元に戻してあげたのだった。
1ヵ月後、母親を引き取りに来た有紀に向かって、母親はこのセンターの職員
の対応の悪さを怒ったのだった。
さて、有紀の母親は何故センターの職員の対応の悪さを怒ったのでしょうか。
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