465 :
( ・∀・)つ〃∩ヘェーヘェーヘェー:
ドライブのつもりが道に迷った。
辺りは霧で何も見えない。困りながら車を進めていると、明りのついた一
軒の家を見つけた。
「あらまぁ、迷ったんですか。大変ですねぇ。」腰の低いおばあさんがいた。
夕食時ということで、食事をご馳走してくれた。山菜汁だ。
しかも、霧は明日になると晴れるから泊まっていきなさい、とまで言う。
特に用事が無かった私はご厚意に甘えた。
布団に入り、天井を見上げていると、ある事に気づいた。
「霧、山菜汁、・・・そうか。」
呟いた時にはもう手遅れだった。
「あのぉ・・・。」
手遅れだとわかっているが、もしかしたらという淡い期待を胸に
隣の部屋で寝ていたおばあさんに向かって小さな声で話しかけてみた。
「・・・あのぉ・・・すみません?」
返事がない。ただの屍のようだ。・・・いや、屍ではない。
よく見るとパーマン所有のコピーロボットではないか。
「ま、まさか・・・」
ある考えが頭をよぎった。そしてその考えを確かなものにする
決定的な文字が目に飛び込んできた。
「星野・・・スミレ・・・」
台所のほうへ行ってみるとまだ電気がついている。
「あらまぁ、起こしてしまいました?」
おばあさんがこちらに気付いて話しかけてきた。
「お、おばあさん!」
興奮してしまっている姿を見て少し驚いているようだが、構わず話を続けた。
「夕食の山菜汁がおいしくて、こちとらもうキリキリまいだよ!」
言った!言ってやった!
布団の中から見上げた天井の落書きを見て思いついた痛恨の一撃だ。
「え?・・・あ、そうでしたか。まだ残っているんで宜しかった一緒にどうですか?」
おばあさんには全く効いていなかった。が、やっと言えた満足感と空腹感で
遠慮なく一緒に頂くことにした。しばらく談笑した後、唐突に聞いてみた。
「それはそうとおばあさん。もしかして昔アイドルじゃなかったでした?」
その意外な一言におばあさんは一瞬びっくりしたかと思うと態度が豹変した。
「え?・・・いやぁ、もう昔のことですよぉ〜。やめてくださいよぉ〜。
照れるじゃないですかぁ〜。今をときめくパーヤンさんなんかの
足元にも及ばないですよぉ。しかしよく気付きましたねぇ。
さすがですねぇ〜おにいさん。お若いのによくご存知でいらっしゃる。
博識ですねぇ〜。いやぁまいっちんぐ。なんちて、テヘッ」
・・・腰の低いおばあさんだった。