もの凄い勢いで誰かが質問に答えるスレ21565

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136ひよこ名無しさん
お借りします。

テレゴニーという概念自体は、古代ギリシャの神話が元になっている。
つまり、英雄とされる人物が英雄であるのは、神が人間とセックスしたあとで、
人間どうしでセックスしたことによって生まれた子供が、神の形質を引き継いでいるからだ、
という発想による。これは、事実というより、古代に頻繁に見られる思想だが、
神の血を引いているから彼らは支配層である、という論理展開から派生するものと思われる。

実は、遺伝に関する諸法則が発見されたのは意外と新しい。
つまり、ダーウィンの『種の起源』が出版されたのが1859年、
メンデルの法則の発見が1865年、それが正当に評価されたのはメンデルの法則の再発見の1900年であった。
それまでは、生物が無機物から突然発生するという自然発生説が強く信じられており
(これが完全否定されるのは1861年)、発生と遺伝に関する学説は神学・オカルト学説の色合いが強いものだった。

テレゴニーに関しても長く信じられてきたのは根拠があるというより、むしろ、近現代まで発生・遺伝の
研究が遅々としてすすんでいなかったことの傍証の1つであると考えられる。

さて、テレゴニーに関してだが、長く伝説を根拠にした学説であったが、1820年に第16代目モートン伯爵という
貴族がその証明を訴えてから、ようやく検証可能な学説として生物学の俎上にのることになる。
彼は、シマウマの牡馬とアラビアの栗毛の牝馬を飼育していた。ある日、シマウマの代わりにオスの白馬を
購入し、栗毛の牝馬と飼育していたところ、牝馬から足に奇妙なシマのある子供が産まれた。
これが、シマウマの牡馬との性交により、牝馬の形質転換が起こったテレゴニーの証明であると主張したのだ。

この発表から半世紀を経て、遺伝粒子説(のちの遺伝子説につながってくる)を唱えていたAugust Weismannは、
ブラジル、アフリカ、イギリスなどで飼育されている馬のデータを集め、以前にシマウマを飼育していなくても
祖父母、あるいは更に前の代にシマのある世代がいれば、一定の頻度で足に奇妙なシマのある子供が
産まれることを発見、これをテレゴニーの否定と同時に、上の代からの隔世遺伝であるとして証明した
(実際は、劣勢遺伝に基づく遺伝)