「あ、うん」そう言って少し近くに身体を移動しました。
隣の布団から、俺の布団に隣子の手が伸びてきて、俺の手を掴みました。
「…」何も言えないままでいる俺。…そして、
「あ、あのさ。そっち行ってもいいかな?」と言います。
隣子は無言で、手をギュッと握りかえしてきました。
緊張しながら隣子の布団に入り、隣に寝ました。
あたりの静けさが心臓の音だけを強調します。
「…ドキドキしますね」
「…う、うん」
「あの時は、なんか、勢いに流されて言っちゃったから、ちゃんと言わせて…」と俺は言いました。
同じく無言でギュっと手を握る隣子。
「こうやってると実感する。俺、隣子のこと好きです」
「…うん、私も」
隣子の手がさっきより強く俺の手を握りました。
隣子の心臓の音も、ドキドキと聞こえてくるようでした。
「あの…さ。こんな事、今言うべきじゃないかも知れないんだけど」
「…?」
「えーっと。…その。俺、こういう経験なくって…どうしていいか…」
少しの間があって、隣子の唇が俺の唇に触れました。
「やり方なんて無いですよ。ただ好きって気持ちにまかせるだけです」
手を握っていないほうの隣子の腕が俺の背中に回りました。
「鉄筋さん、大好きです…」
………。
………。