【毒書】純情恋愛でも鬱【紅葉前線】

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569鉄筋 ◆ugxIXvsIg2
8月27日(金)
色々と考えてみたんだけど、やっぱり勧誘なのかどうかは確かめたくて。
27日(金)の夜に隣子に電話をかけてみました。
電話は2〜3回のコールで繋がって、なんだか懐かしい隣子の声が聞こえます。
「もしもし…鉄筋さん?」と、少し冷たい感じの声でした。
「あ、もしもし。あの…今から時間ありますか?話があるんですけど」
俺は電話で済ませるつもりだったんだけど、お隣なのに電話もなんなので、
ということで隣子の部屋で話をすることに。

もう来ることはないと思っていた隣子の部屋のテーブルに向かい合わせで座ります。
出されたお茶を飲みながら、2人はしばらく無言で時間だけが過ぎていきました。
「あの…お話があるんですよね?」と、沈黙を破ったのは隣子でした。
「うん。…あ、日曜は来れなくてすみません。えと…まずはそのことなんですけど」
遠まわしに聞こうとも思っていたけど、うまい言葉が見つからずそのまま口に出しました。
「そのイベントって…勧誘、とかじゃないんですか?」

一瞬、驚いたような表情を見せた隣子は、すぐに元の表情に戻って言いました。
「…あ。やっぱり判ってたんですね」
予想していた答えとはいえ、やっぱりショックでした。「終わったな…」と思いました。
この時の俺は自分でも何を言ってるかわかりませんでした。
「ああ、やっぱそうだったんだ。おかしいなと思ったよ。
 こんな可愛い子が俺に飯作ったりしてくれるなんてあるわけないもんな」とか、
「大丈夫。こういうこと今までもあったし慣れてるから」とか、
頭の中にあった言葉を吐き出すように喋っていたと思います。

隣子の顔も見れずに俺は「んじゃ、帰るから」と言って自宅に戻りました。