8/1(日)
俺はすっかり明るくなった部屋で一人、鳴らない携帯を握り締めていた。
悶々としたものが胸に込み上げてきた。
いい加減、喉がカラカラなのに気づきグラスの水を一気に飲み、コーヒーを落とす。
鏡をみる。ひどいクマだ。
頭がボーッとしている。
彼女は昨日出て行った。そしてまだ帰ってこない。
これが意味するところの事を、俺は必死に頭から追い出そうとしていた。
鏡に向かって何度も繰り返す。
「オレハ、ワンコヲアイシテル・・・」
ベランダから外の風景を見る。
それはまるでフォーカスの合ってない、フィルターのかかったような世界だった。
気持ちをまぎらわそうと2chを見た。たまたま誰かが貼った「ありがとう」の
フラッシュを見て大泣きをする。泣いたら少し楽になった。
少しして、携帯が鳴った。
急いで最寄り駅まで走る。
息を切らして改札をくぐる。
入ってきた電車のドアが開く。
大勢が降りてくる中、一番遠くに・・・彼女の姿があった。
彼女が走ってくる。
俺も彼女に向かって走り出す。