彼女が走ってきた
行き交う人の群れがまるで俺と彼女との間にあった溝を1つ1つ埋めるかのように
通り過ぎてゆく
俺は彼女を抱きしめた
彼女は泣いていた
俺も泣いていた
「おかえり・・・ワン子さん」
「えへへ・・・ただいま。帰ってきたよ、約束通りミルキさんの胸に・・・」
7/31(土)
この日、俺は彼女を見送った。
彼女は米国から帰ってきた彼と会うべく家を出た。
「わたし・・・ちゃんと帰ってくるからね、大丈夫だからね」
指切りをした。
俺は何も言えなかった。
ただ一言、「がんばってね・・・」と。
そしてこの日、彼女は戻ってこなかった。
俺は暗い部屋で一人、鳴らない携帯を握り締めていた。