職場で席替えがあった。
「サクソンさん、私、どの席になるんですか?」
「僕の隣」
「えええっ!」
「嫌?」
「嫌っていうか・・・」ちょっと顔を赤らめるY子。
「嫌なんだ、ふーん、そう。俺のこと嫌いなんだ」と、意地悪なことを言ってみる。
「ええ、そんな!そんなことないですよ!」
Y子はなぜか焦りだした。俺はますます意地悪に言ってみた。
「よくわかった!もういいよ、Y子は別の島ね!」
「えー・・・!」
「・・・(ちょっと言い過ぎたかな)」
「サクソンさん・・・私、サクソンさんのこと嫌じゃないです・・・!」
Y子はちょっと必死になって言い訳しはじめた。
なんだか悪いことをしているみたいな気がしてきた。
「うん・・・もういいよ」
しかしY子は、俺が本当に怒っていると思ったようだ。
顔を赤くして、Y子はこう叫んだ。
「私、サクソンさんのこと、嫌いじゃないです!」
「いいってば」
「 ・ ・ ・ 私 、 サ ク ソ ン さ ん の こ と 、 好 き で す ! 」
職場に響くY子の声。
はっと我に返るY子。聞き耳を立てる他の同僚。
その場は俺は冗談で切り替えしてごまかした。
からかわれてる?いや、騙されている?なんにしても落ち着かないぜ。
できの悪い妄想みたいな話だけど、実話。
事実は小説より奇なりだな。