228 :
海豚:
自分が泣いた話じゃないけれど。
僕の彼女は片足が生まれつき不自由で、調子が良い
時は杖で、調子が悪い時は車椅子の生活です。
そんな彼女ですが僕は彼女の杖代わりになったり、
車椅子を押して散歩したりと普通に生活しています。
去年の夏ですが彼女が密かに海水浴に行きたいけれど
言い出せないでいる事を彼女の親から聞いた私は、彼女
とその願いを叶えようと二人で海水浴に行きました。最
寄りの駅まで電車で行き、駅からやや距離があるので、
駅からタクシーを使いました。
その時の彼女は調子が良く杖をつきながら出歩けたの
で、きっと楽しい海水浴になるだろうと期待をふくらま
せていました。
その海水浴は僕ら二人にとってとても楽しい思い出に
なりました。
229 :
海豚:03/07/06 00:28 ID:mglDX/NO
砂浜は杖が埋まってしまい彼女は一人で歩けなかった
けど、荷物と彼女を背負っている僕を見て、僕らを浜辺
まで乗せてくれたタクシーの運転手さんが荷物を持って
くれました。
海の家のおばさんは僕が持ってきたパラソルを見て、
それじゃ彼女が寝そべられないだろうと言い、大きなパ
ラソルを貸してくれました。パラソルのレンタル料を払
おうとするとおばちゃんは「彼氏さんのがんばりにご褒
美だよ。いらないよ。」と言ってお金を受け取ろうとし
ませんでした。
ライフセーバーの方たちは「何か困った事があったら、
何でも言ってくれて良いから遠慮しないで。」と声をか
けてくれました。
お昼ご飯を食べる時も海の家のおじさんは「出来たら
持って行ってあげるから浜で待っていな」と言い、本当
に僕らのところまで出前してくれました。食べ終わった
時には食器を取りに来てくれたばかりか、かき氷をおご
ってくれました。
砂浜で彼女が砂遊びをしていたら、小さな女の子が一
緒に遊んでくれました。
230 :
海豚:03/07/06 00:28 ID:mglDX/NO
そしてそろそろ帰ろうと帰る準備をしていると、なん
と朝のタクシーの運転手さんに声をかけられました。話
を聞くと、僕らが帰る頃に電話してくれと海のおばさん
に頼んでいてくれたそうです。そして僕らは海の家のお
じさんとおばさんに何度もお礼を言ってタクシーに乗り
ました。
そのタクシーの中で彼女は突然泣き始めました。驚い
た僕と運転手さんがなだめようとすると「ちがうの、す
ごくうれしいの。ありがとうね、本当にありがとうね。
とっても楽しかったよ。」と僕と運転手さんに何度も言
いました。運転手さんも涙ぐんでいました。
世の中、まだまだ捨てたもんじゃないと思いますよ。
今年もまたあの浜辺に行きたいな。
長くなってごめんなさい。