1 :
272:
2 :
寝られないホケ部:02/11/17 09:42 ID:8Fqprz3P
2かな
3 :
ねえさん:02/11/17 09:42 ID:xsMIZxw2
(・ω・)
4 :
名無しさんの初恋:02/11/17 09:42 ID:uZeaLrbH
3かな
5かな
6 :
272:02/11/17 22:52 ID:MlunSNej
何かまたdat落ちしそうなのでage(汗)。
7 :
名無しさんの初恋:02/11/18 08:32 ID:3O7Uj7Vk
保守
8 :
名無しさんの初恋:02/11/18 22:31 ID:1dedSFoW
age
「HALF」 第1話 「LOST DREAM」
*
「一番最後に見た夢だけを 人は覚えているのだろう
幼い日に見た夢を 思い出してみないか」
ヘッドホンから、聴き慣れた音楽が流れてくる。
僕はそれをBGMにしながら、目の前の民法のテキストを読んでいた。
そこには日常生活では決して使わないような難解な言葉が並んでいる。
読んでいると睡魔が時折襲ってくる、そんな退屈な作業だ。
僕だって、好き好んでこんなものを読んでいるわけではない。
司法試験。日本で最も難しいとされている試験。
こいつに受かるためには、出来うる限りの法律と判例の知識が要求される。
それ故受験者は膨大な量の法律とその解釈を暗記しなければならない。
暗記、ひたすら暗記。味気ない、極めて非創造的な作業。
しかし、その退屈さに耐えた者のみが合格する事ができる。そんな世界に、僕は生きていた。
ふと目を上げると、僕と同じような作業に没頭する学生が見えた。
一体彼は何が楽しくてこんな事をやっているのかと思う。だが、傍から見れば僕も同じなのだ。
眼鏡をかけたいかにも神経質そうな顔立ち。同じような事をやると、風貌まで似てくるらしい。
その事に気付いた時、僕はかすかな自己嫌悪に陥った。
それからしばらくして、僕は大学の図書館を出た。モチベーションが上がらなくなったのだ。
やはりここの雰囲気は好きになれないな、ふとそう思った。
空を見上げるとほのかに光る星空が見える。
故郷の北海道の星空とは比較にならないが、それでも少し勉強でささくれだった心が癒された。
しかしそれと同時に、ぼんやりとした寂寥感が僕を襲う。
一体何のために僕はこんな生活を送っているんだろうか。
今まで勉強だけが生きがいのような人生を、僕は送ってきた。
もちろん、社会の役に立ちたいという想いがなかったわけではない。
弁護士になって社会の矛盾と立ち向かう。そういうヒロイックな感情が昔はあった気がする。
しかし、大学受験、司法試験と続くプロセスの中で、いつしかそうした青い感情は磨耗してしまったのかもしれない。
元々は手段に過ぎないものが目的に替わる。そうならないように自分を戒めてきた筈だった。
だが、現実の流れはそれを容赦なく押し流す。
周りに同じような人間が集まると、その中で自己を揺るがずに保つのは極めて困難な事だった。
幼い日に見た夢、か。駅に向かう道の途中で買った缶コーヒーを口にしながら、僕はひとりごちた。
一体それは何だったのだろう?
家は東武東上線の上板橋にある。池袋から10分前後で着く割には家賃が安い。
僕は上板橋駅の改札を抜けると、駅前のゲームセンターに向かった。このモヤモヤした気持ちを吹っ切りたかったのだ。
200円を取り出し、ドラムを模した筐体の前に座る。
スティックをリズムに合わせ力の限り叩く。そうする事で、少なくともその時は鬱屈した感情を吐き出せるのだ。
筐体から流れるプログレッシヴロックのメロディ。激しく落ちてくるノーツ。
だが、いつもはスムーズに叩けるこの曲が今日に限っては上手く叩けない。
どんどんゲージが削られていく。焦りがさらに正確さを失わせる。
最後の連打が微妙にずれた時、画面が急に閉じた。「YOU FAILED」。
ふざけるんじゃない。発散する筈のフラストレーションが、今は倍くらいになっていた。再び財布の入っているポケットに手を伸ばす。このままで終わるのは我慢ならない。
そうしていると、ふと肩に何かの感触があった。誰かが後に並んでいるらしい。
「ごめん、並んでるんだけど」
不機嫌そうな若い女の声。向こうに理があるのは確かなのだが、その時の僕にはその声がえらく気に障った。
「はぁ?」
不快そうな表情を作って振り返ると、そこにはどこか見覚えのある顔があった。
髪はかなり明るい茶色に染められている。やたらとけばけばしいマスカラも付けている。しかし、顔の造りは最後に会った6年前と変わっていなかった。
ほっそりとした顔立ち。薄い唇。少し大きめの目。少し低めの鼻。どこか控えめな雰囲気。
そして、忘れもしない、あの顔。
まさか?何でこっちに来ている?
彼女は札幌に残った筈だ。よく似た別人じゃないのか?
だが、目の前の相手も、怪訝そうな表情から少しずつ驚きの表情に変わってきていた。
そしてそれは、僕の想像が当たっている事を示した。
「ひょっとして隆くん?」
「・・・京香なのか?」
止まっていた時計の針が、再び動き出した。
「ひょっとして隆くん?」
「・・・京香なのか?」
沈黙が二人を包んだ。
何故ここに京香がいるのか?彼女は札幌にいるはずだ。
東京に来ていたとしても、こういう所で、そしてこういう形で会うはずはない。
しかし、目の前にいるのは紛れもなく、京香だ。
この不条理を、僕の頭は処理できなかった。
ただ焦るばかりで、発する言葉が見付からないのだ。
それは京香も同じだった。さっきから何か言おうと口を動かすが、何かを言いかけてやめている。彼女もまた、言葉を探しているのだ。
驚きで凍りついた表情のまま、僕らは下手な映画のワンシーンのように立ちつくしていた。
「6年・・・ぶりだね」
沈黙を破ったのは、京香だった。
「・・・そうだな、元気してたか?」
「うん、一応ね」
そう言うと彼女はぎこちなく笑った。
「隆くんはT大だよね?」
僕は少し驚いた。彼女と最後に会ったのは高1の秋だ。それもほんの少し顔を見掛けた程度に過ぎない。
それ以来、僕は京香と会っていない。というより、むしろ互いを避けていた。
「そうだね、今は司法試験の勉強中だけど。それにしてもよく知ってたな」
「噂には聞いてたし、それに昔から言ってたじゃない。『T大に行って弁護士になるんだ』って」
よく覚えているな、僕は苦笑した。京香の言う通り、僕は中学の頃から弁護士を目指していた。だが、そもそも何故そう思うようになったかは記憶から喪われているのだが。
「そっちはどうしてるんだ?てっきり札幌に残ってると思ってたけど」
「うん・・・色々あってね。こっちに越してきたの」
そういうと彼女はまたさっきのぎこちない笑いを浮かべた。
それを見た時に僕は、何かあると直感した。かつての京香は、こんな笑いを浮かべはしなかった。
幸福だった頃の記憶。控えめだけど、底抜けに明るい、京香の笑顔。
その頃の笑顔は、彼女から喪われていた。
あまり長く立ち話するのもなんだから、と僕らはゲームセンターを出た。
時計の針はもう11時を回っている。この界隈にこの時間に開いている喫茶店はない。
京香にその事を伝えると、「私も上板橋に住んでるから気にしなくていいよ」という答えが返ってきた。
僕はそれを聞いて嬉しく思ってしまった。それが僕の心の中に彼女に対する未練があったからなのか、それとも久しく女性との付き合いがないからなのかは分からなかったが。
彼女の家は城北公園から歩いて数分の所にあるという。「2週間前に越してきたから近所の事を色々教えてね」と、京香は言った。
思案した挙句、川越街道沿いのファミレスに行くことにした。ここなら駅近くにある僕の家からもそう離れていない。
「そういえば、何であんな所にいたんだ?」
薄暗い商店街を歩きながら、僕は京香に訊いた。普段は主婦と学校を抜け出した高校生で賑わうこの通りも、この時間だとほとんどの店は閉まっている。明かりがついているのは赤提灯くらいだ。
「うんとね、仕事帰りの暇潰しというかストレス解消というか」
そう言うと京香はバツが悪そうに笑った。
「あ、じゃあ僕と同じだ」
「うん、仕事してると何かこうもやもやしたものがたまっちゃって。でも、ホントにびっくりしちゃった。あの人うまいなあと思ったらさ、どこかで見た人だと思ってたんだけど。まさか隆くんとは思わなかったよ」
「こっちこそ京香に会うなんて思いもしなかったさ」
僕らは少しずつ川越街道の方に近づいていった。段々と道が明るくなってくる。僕はそのことに安堵した。仕方のないこととはいえ、暗い道を女の子と二人きりで歩くのはやはり少し気が引けていたのだ。
「ドラムマニア、京香は普段どんな曲をやるの?」
「版権曲ばかりかなあ。私、そんなに上手くないし」
「僕は版権はやったことないなあ」
そんな世間話をしているうちに、目的地が見えてきた。やはり京香とは話が合うな、そう僕は感じていた。
「隆くん、変わってないね」
京香がセルフサービスのコーヒーを僕の前に置きながら言った。
「ん?何が?」
「いや、そのセンスのない服装」
京香はクスクスと笑った。そこには少しだけ、あの頃の彼女の面影があった。
「んなこと言われてもしょうがないだろ、金ないんだし」
僕は普段からユニクロばかり着ている。一人暮らしの僕にとって、安価なユニクロは大変ありがたい。それにどうせ図書館や予備校で勉強するだけなので、飾りっ気のあるブランド物を着る必然性がないのだ。
「相変わらず、ファッションにはうるさいんだなあ」
「だってふつーにカッコ悪いもん。顔のベースは悪くないのに、それじゃ女の子が寄ってこないよ?」
「今は受験勉強で忙しくてそれどころじゃないんだって」
僕は苦笑しながらコーヒーに口をつけた。安い豆を使っているからだろうか、苦味がキツく感じられる。
そう、付き合っていた頃から彼女は僕の服装に色々注文をつけていた。デザイナー志望だった彼女からすれば「とりあえず着れればいい」という僕のセンスは我慢ならなかったらしい。僕らの意見の合わない、数少ない分野の一つだった。
「そういや、京香はなんでこっちに来たんだ?ひょっとしてデザイナーとして一本立ちしたの?」
そう言うと、瞬時に京香の顔が曇った。その後、さっき見せたあのぎこちない笑いを浮かべ、彼女は言った。
「・・・私には、無理だったみたい」
僕は、さっきの嫌な直感が当たっていたことを確信した。
忘れたくても忘れられない、あの大雪の日。僕が京香に刻みつけた、深く癒されがたい傷。一生消えない傷。
あの傷が、彼女の夢を諦めさせたのではないか?
重い、永遠とも思える沈黙。インクの染みのように、僕の心に罪悪感と後悔の念が広がっていく。
彼女に言える事など、何もない。十字架は未だ咎人に繋がれたままだという事に、僕は再び気付かされた。
長い沈黙の後、僕の思いを読み取ったのか京香が慌てて言った。
「隆くんが落ち込むことなんて全然ないよー。だって私の才能が足りなかっただけなんだもん」
そんな事はない。僕は心の中で即答した。
かつて見せてくれた服のデザイン。そこには、デザインについて全く知識もセンスもない僕が見ても光るものがあった。
もしこのまま磨かれていけば、いつか京香は凄いデザイナーになる。そう中学の頃の僕は思い込んでいた。
事実、彼女は弱冠15歳にして札幌のデザインコンクールで入賞を果たしていた。その時から既に学校に内緒でデザイン事務所のアルバイトをやっていた程だ。
だから、もし東京に来ているとすれば専属デザイナーとしてどこかの大手ブランドに引き抜かれたとしか思えなかったのだ。
「京香ならやれると思ってたけど・・・そうか」
僕はかろうじて言葉を口にすることができた。
「・・・現実は甘くないよね」
京香はそう言うと、寂しそうに窓の方に目をやった。通りではヘッドライトが光の筋を作っている。
「で、今は何をやってるんだ?」
「うん、色々と、ね」
そう言うと、京香は苦笑いを浮かべた。「色々って何?」と訊いてみたかったがやめることにした。彼女には似合わない厚化粧を見て、何となく今やっている仕事の見当がついたからだった。
恐らく、ここで水商売系の仕事をしているのだろう。その事にも、僕の心は痛んだ。
京香はどちらかというと地味なタイプだ。顔立ちは可愛いらしい雰囲気だが、性格的に少し控えめな所がある。そのくせ、プライドは結構高い。そんな彼女に水商売のような職業が向いているとは思えなかったのだ。
何故水商売をやっているのか、それは僕には分からない。ただ、そこには今の僕が立ち入れない、重い事情があるであろうことだけは推測できた。
「そっか、とにかく頑張れよ」
僕は、そう言うしかなかった。再びコーヒーカップに口をつける。冷めた安物のコーヒーの苦味は、やたらと口に残った。
僕らはその後互いの連絡先を教え合い、10分くらい他愛のない世間話をして別れた。
10月の風は肩に冷たい。一人家路についた僕は、別れ際に京香が一瞬だけ見せた、哀しみと寂しさとが入り混じった表情の意味を考えていた。
あの時彼女は何かを言おうとしていた。結局言葉にはならなかったが、僕には何となく京香が何を言おうとしていたのかが分かった気がした。
京香は、きっとこう言いたかったのだ。
「ごめんね」と。
彼女が謝る必要など、どこにもない。むしろ、謝らなければいけないのは僕の方だ。
しかし、僕にはその言葉を吐く資格すらない。
あの日の後、僕はずっと逃げ続けていた。京香からだけじゃない。京香を傷つけたという現実からも逃げた。
勉強に狂ったように没頭したのは、志望校に受かりたかったからじゃない。忘れたかったからだ。京香を、そして彼女と過ごした日々を。
そして、それがさらに彼女を傷付けた。気がついた時には、僕らの関係は修復不能なものになっていた。
あれから6年。京香は自分の夢を追うのを止めていた。
あの時彼女につけた傷が、京香の歩みを止めさせたのではないか。そうでないとは、僕には言えない。
罪は全て、僕の方にある。にもかかわらず安穏と日々を過ごしている自分が、この上なく汚い存在に思われた。
夜空を見上げると、薄明るく光る星がぼやけて見える。
それはこの街の灯のせいだけではない。
その日の夜は、眠れなかった。
それから2日が経った。勉強に手を付けるものの、全くと言っていいほどはかどらない。ノートは取るものの、自分でも何を書いているのか分からないような有様だ。
京香とはそれから会っていない。一応、「また会おうね」という内容のメールは来ていたが、それがいつになるのかは分からなかった。
今日は水道橋で予備校の講義がある。僕は予備校に着くと眠気で冴えない頭を無理に叩き起こし、一限のある大教室に向かった。
教室は一種異様な静寂に包まれている。たまに聞こえる私語も、試験や授業内容についての話ばかりだ。
席について10分程すると、40代前半の講師が教壇に立って民法の講義を始めた。普段なら一心に板書きをノートに写すのだが、今日に限っては眠気のせいか手が思うように動いてくれない。授業内容の退屈さも、それに拍車をかける。
そのことにいらつきながら、僕はぼんやりと今自分がここにいる意味を考えていた。。
そもそも僕は何で司法試験を受けるのか。今まで僕は、心の中にうっすらとした疑問を感じながら目の前の知識を吸収していた。これは「受かるための勉強」にすぎないのではないか、と。
しかし京香と再会してから、その疑問はよりはっきりとした形で現れるようになっていた。
「今まで僕がやってきたことは、逃避の延長線上にあるものじゃないのか?」
その問いを考えれば考えるほど、僕の意識は講義から離れていく。
気が付くと、最初の100分の講義が終わっていた。どうも講義中に熟睡していたらしい。
まだ睡魔に支配されている頭を叩きながら、僕は次の講義のある教室に向かった。
結局、この日もろくに集中できなかった。僕は最後の授業が終わると早々に家路につくことにした。
本当は補講が18時からあるのだが、到底出る気にはなれなかったのだ。もっとも、口を開けば試験と法律の話ばかりというクラスメートに対する嫌悪感もあったのだが。
校舎を出た時、後ろから肩を叩かれた。
「おう、坂元じゃねーか」
振り向くとこの校舎には不似合いな金髪の男がいた。風間だ。
「久し振りだな、最近どうしてたんだ?」
「ああ、最近ちょっとトレーニングしててな」
風間はニヤリと笑うと腕まくりして力こぶを見せた。かなり鍛え上げられている。
「凄い筋肉だが、そりゃまた何のために?」
「ふふっ、聞きたいか?」
「いや、別に」
そう切り返すと風間はいきなりチョークスリーパーをかけてきた。これでふざけているつもりなのだろうが、相変わらずの馬鹿力だ。
「ほう、俺様の言うことに興味が持てないと?」
「ううっ、苦しい苦しい!」
「で聞きたいのか?」
「……はいはい、聞きたいですよ」
風間はようやく手を離した。公衆の面前でやられたので、かなり恥ずかしい。
「実はな、最近ボクシングジムに行き始めたのよ」
「はぁ?」
「いや、ただ何となくやろうと思ってな。ネタ的に面白いだろ?東大生でボクサーというのも」
風間は大学のクラスメートだ。僕にはあまり友人がいないが、こいつとは何故か気が合った。東大生らしからぬ豪放さが風間の魅力ではある。もっとも、時々無茶をやらかすのがタマに傷ではあるが。
「まあネタとしては面白いけど、本気なのか?」
「やるからには世界取るよ、俺は」
そう言って風間は笑った。気が付くと僕らは後楽園ホールの近くに来ている。今日はプロレスの興行があるらしく、結構な人だかりだ。
「なあ、坂元。何でお前は司法受けるん?」
風間が少しだけ真面目な顔をして言った。僕はそのあまりにストレートな質問と、滅多にない風間の真剣な表情に一瞬気圧されてしまった。
「……そりゃ社会の諸々のトラブルを法律で解決したいからさ」
「ま、そう言うだろうと思ったけどな」
つまらなさそうにそう言うと、風間は目線をホールの方にやった。電灯に照らされた人々の長い列が、後楽園ホールの入口に連なっている。
僕には、風間の問いに正面から答えることができなかった。今の僕には、風間の質問は重過ぎる。
上板橋に着いた後、僕は夕食を買いに商店街のスーパーに行くことにした。
19時頃になると、てんぷらなどの惣菜がぐっと安くなる。僕は決して自炊が出来ないわけではないが、この安さは一人暮らしの人間にとっては大変ありがたいものだ。
僕はタッパーを持ち、今日の夕食となる惣菜を探していた。揚げ物ばかりだとバランスが悪いので、たまには別のものを買おうとサラダ売り場の前に来た。
ふと横を見ると、どこかで見た顔がある。化粧を落とし、紺のジーンズに黒のTシャツという地味な格好ではあったが、間違いない。京香だ。向こうも僕に気付いたらしく、目が合った。
「あ、隆くん」
「奇遇だな、こんな所で会うなんて」
京香の持つカゴの中を見ると、既にいくつかの惣菜が入っている。どうやら彼女も目当ては僕と同じらしい。
「そりゃ住んでる場所が近いんだもん、こういうこともあるよ」
そう言うと京香はくすくすと笑った。やはり京香は厚化粧よりもこういう方がずっと似合う。
「そういや、仕事は今日は休みなの?」
「うん、今日は休み。たまには休まないと、ね」
僕らは二人揃ってレジに並び、会計を済ませた。店員に「ご一緒でよろしいですか」と訊かれた時には少し焦ってしまったが。
「そういや、京香は夕飯はいつもこれなのか?揚げ物ばかりだと太るぞ」
「悪かったですね、どーせ自炊できないですよ」
そう言って京香はむくれた。そういえば、京香が昔作ってくれたケーキは恐ろしい味だったことを覚えている。
「いい加減料理覚えろよ、僕の方が下手したら料理できるんじゃないか」
「えっ、それじゃ今度食べさせてくれる?」
京香のその台詞に、僕はドキッとした。京香は何を考えてるんだろうか。少なくとも僕が京香なら、かつて自分を酷く傷付けた男にこんなノリで話すなんてことはしない。
「じょ、冗談はよせよ」
「またまたぁ、顔が赤いよ」
でも、京香にこんな風にからかわれるのは決して悪い気分ではなかった。
道が別方向の京香と別れ、家でシャワーを浴びていると携帯からメールの着信音が響いた。
風呂場から出て携帯を開くと、そこには京香からのメールがある。急いで開いた。
「今日は偶然だったね。ちょっとビックリしちゃった。ところで、今度の日曜空いてる?よかったらどっかで食事でもどうかな」
僕はどうリアクションしていいのか分からなかった。京香は本当に何を考えているのだろう?そう思いながら、心のどこかで喜んでいる自分がいた。
僕は左手にはめている腕時計を見た。16:10。まだ京香は現れない。
もう20分ほどこの改札前で僕は待っていた。もっとも、待ち合わせ時間に少し早く来てしまった僕も僕なのだが。
こうしていると、付き合っていた時を思い出す。いつも僕は時間より少し早く来ては時間にルーズな京香に延々と待たされていた。
あの頃は携帯なんてものはまだあまり普及していなかったし、まして中学生だった僕らにそんなものが買えたわけはない。だからデートで何の予告もなしに30分や1時間待たされたことも少なからずあった。
あの頃に比べれば、今は大分便利になったものだ。携帯ですぐに一応の連絡は取れるようになったのだから。
少しいらつきながら、僕はジーンズの右ポケットから携帯を取り出し液晶画面を見た。当たり前だが、京香からの連絡は未だにない。軽くため息をついて携帯をまたポケットに閉まおうとしたその時だった。
「遅れてごめーん」
そう言いながら京香がやってきた。薄茶色のカラーコンタクトはしているが、以前会った時のような厚化粧はしていない。秋らしいカーキ色のジャケットが、京香の雰囲気によく合っている。
「うーん、ちょっと遅いぞ」
「女の子には色々手間が必要なの」
京香はむくれた。こういう辺りも昔と変わっていない。でも、待たされたことに対するイラつきより彼女に会えたことに対する嬉しさの方がはるかにまさっていた。
僕らは池袋に出ることになっていた。京香はまだこちらに越してきて間がないので、色々案内して欲しいと言う。
「東京に来てどのくらいになるんだ?」
「うん、1年半くらいになるかな」
僕は少し引っかかるものを感じた。池袋に詳しくないのはまだともかく、上板橋に来るまで、京香はどこで何をしていたのだろうか。
「じゃあもう結構経つのか。それまではどうしてたの?」
そう言うと京香の顔は一瞬曇り、再会した時に見せたあのぎこちない笑いを浮かべた。
「……うん、ちょっと色々とあってね……ゴメン」
感情を押し殺したように言う京香に、僕は何も言えなかった。
僕の知らない6年という時間。その時間を、京香はどう過ごしてきたのだろう?
池袋に着くと僕らはとりあえずサンシャイン通りの方に向かった。池袋という街を知るにはとりあえずここは外せないと思ったのだ。
しかし、道中の会話はあまり弾まない。僕は京香に遠慮し、彼女もまた僕に遠慮してしまっている。「人ごみがすごいね」とか「思ったよりも普通の街だね」といった無難な会話しか出来ない。
僕は、彼女の過去について訊いてしまったことを後悔していた。そしてその後悔が、さらに僕を消極的にさせる。
サンシャインシティに行ってウィンドウショッピングをしてみたり、ビリヤードをしてみたりはしたものの、いまいち乗り切れないまま僕らは夜を迎えた。
夕食は風間が以前教えてくれた洒落たレストランバーにすることにした。せめて夕食くらいは格好をつけたかったのだ。
ボーイが案内した席は、薄暗い、ムードのある個室形式の所だった。なるほど、客層はほとんどがカップルだった。
「へぇー、何かロマンチックなとこだね」
京香が感心したように言う。僕は少し安堵した。ようやく少しは良い所を見せられたようだ。
「そういや、酒は飲めるの? ここ色々置いてるけど」
「うん、少しだけ。でも飲むより作る方が多いかな、カクテルは結構好きなの」
ボーイがお通しのスティッククラッカーをテーブルに運んでくる。僕はビールを、京香はカシスオレンジを注文した。
「へぇ、それじゃ家でもたまに作るの?」
「そうだね、気が向いた時に。でも基本的なやつしか作れないけどね。今度うちに来た時隆くんに作ってあげるよ」
僕はつい顔を赤くしてしまった。京香の家は近いが、さすがに一人暮らしの女性の家に上がりこむとなると照れが出てしまう。まして、今の僕は京香の恋人ではないのだ。
「あー、顔赤くしてるー。ホント分かりやすいよね、隆くんって」
京香がクスクスと笑う。ボーイがビールとカシスオレンジを運んできた。
「それじゃ、6年振りの再会に」
「うん」
互いに少し照れながら、僕らは軽く乾杯した。
「そういえば隆くんは大学でサークルとか入っていたの?」
京香がふと思い付いたように言った。テーブルの上にはカルボナーラとサラダ、スペアリブのローストがある。僕は口の中に入っていたパスタを胃に収めて言った。
「いや、勉強会みたいなのは入ったけどテニスサークルとかには入らなかったな。あんまそういうのが好きじゃなくって」
「勉強会って何の?」
京香は残り少ないカシスオレンジの入ったグラスを傾けた。酒はあまり強くないのか、ほのかに頬が朱く染まっている。
「法律研究会みたいなもんさ。でも周りがオタクっぽい奴らばっかりだったんですぐに辞めたけど」
「へぇー、何かスゴそうだね」
「うーん、一応判例とかの研究とかやってたけどね。でもあまり実践的じゃない気がして」僕は苦笑した。結局勉強会にいた1年は捨てたようなものだった。もし風間が色々僕を連れまわさなければ、大学生活は今よりもっと無味乾燥なものになっていただろう。
ビールを飲み干し、ボーイを呼んだ。ジンライムとモスコミュール、ウィンナー盛り合わせを注文する。ボーイはうやうやしく下がっていった。
「大学ってそんなものなのかなあ。もう少し面白そうな所だと思ったけど」
京香が少し不思議そうに言った。
「そんなもんだよ、ひょっとしたらうちが特殊なだけなのかもしれないけど」
「でも何かもったいない気がするね。隆くんせっかく東大に入ったのに」
「……そうかもな」
僕は切り分けられたスペアリブに手を伸ばした。肉汁が口に広がる。しかし、何故かあまり旨味は感じられなかった。
それからしばらくは酒を飲みながら色々話をしていた。好きな音楽のことや最近見た映画のこと。インターネットで見つけた面白いサイトのこと。最近してしまった失敗談。話題は尽きない。
僕らは少しだけ、6年前の恋人同士に戻っていた。京香は少し酔ってきたのか、随分笑うようになった。それが僕には嬉しかった。
店に来て1時間半くらい経った。大分金も遣ってしまったのでもうそろそろ店を出ようかと思っていたその時、京香がかなり辛そうな表情でうつむいているのを、僕は見た。
最初は酔って動けないのかと思い顔を覗いてみたが、違った。京香の頬の火照りは既に消えている。
僕は奇妙に思って「どうした?」と訊いてみた。すると京香は何度か躊躇する素振りを見せた後、意を決したように僕に向き直ったのだ。
「隆くん、相談事があるの」
「隆くん、相談事があるの」
そこにいたのは、僕の知らない京香だった。声はかすかに震え、顔に血の気はない。
こんなに何かに怯えている京香を、僕は今まで見た事がない。
「一体何があったんだ?」
僕は心配になって訊いてみた。しかし、うつむいて黙り込むだけで京香からは何の反応もない。
「なあ、本当に何があったんだよ」
もう一度訊いてみた。京香はそれを聞いて何か哀願するかのような表情を浮かべたが、その口からは何の言葉も発せられなかった。
気まずい沈黙が、テーブルを挟んだ二人の間に流れる。その中で、僕は少しずつ京香に苛立ちを感じ始めていた。自分から話を振っておいて黙り込むなどという真似は、かつての彼女なら絶対やらなかったはずだ。
付き合っていた頃の京香は、もっと正直に自分の想いを言う奴だった。確かに内気な所はあったが、それでもこんな中途半端なことは決してしなかった。
京香が抱えている事情が非常に重いものだと推測はつく。僕だって彼女のことが心配でたまらない。
なのに京香はそれを取り繕おうとする。ゲームセンターで再会した時もそうだ。あの時から彼女が再三見せるぎこちない笑い。それを見る度、僕はこう思った。
『何かあるんだったら正直に話してくれ、こっちまでいたたまれない気分になるじゃないか』と。
僕には京香に対する負い目がある。だからこそ、京香に何かあるのなら助けてやりたかった。それなのに、京香は何も言わないで一人で背負い込んでいる。
そして永遠とも思えるような無言の時間の後、京香が例の作り笑いを浮かべて言った。
「ううん、何でもないの。今言ったのは忘れて」
その瞬間僕の中で、何かが切れた。湧き上がる怒りを抑えきれずに叫ぶ。
「何でもないはないだろ!」
京香の体が、ビクンと震えた。しまった、と僕は思った。
「……ごめん……なさ…い…」
目に涙を浮かべる京香。僕は焦った。本心を隠すような彼女の作り笑いにイラついていたのは事実だったが、それを表に出すべきではなかった。
まして僕は6年前に京香を心身両面で傷付けている。その京香の傷に塩を塗り込むようなことを、僕はしてしまったのではないか?
「……すまない」
僕は、搾り出すようにそう言うのが精一杯だった。頭の中で深い後悔が渦巻く。
一体僕は何をやっているんだ。これじゃ6年前の冬と同じじゃないか。
自分の感情に任せて、京香の気持ちは何一つ考えない。これで僕は京香を傷付けたんだろ?
僕はちっとも成長していないじゃないか。情けない。あまりに情けない。
唇を血が出るくらい強く噛んで、僕は目を閉じた。
京香の顔を直視することなど、僕にはできない。
どのくらいの時間が経ったのだろう。一分か、二分か。
「隆くん、ごめんね」
ふと顔を上げると、京香は泣き止んでいた。まだ頬にはうっすらと涙の痕が残っていたが。
「……私が言い出したことだもんね…最後まで…言わなきゃ」
そう言うと、京香は顔を上げて話し始めた。
「……私、2週間前にこっちに越して来たって言ったよね」
「ああ。それが何か関係あるのか」
「実は……ある人から逃げてきたの」
僕は何か嫌な予感がした。京香の顔が、その台詞を吐いた刹那かすかに憎悪をあらわにしたからだった。
「ある人って誰だよ」
「……前……付き合ってた人……」
そして、ポツリポツリと京香は話し始めた。
僕は時折頷きながら京香の話を聴いていた。京香は時折声を詰まらせて辛そうにしていたが、そんな時には「話したくないならいいよ」と流してやった。
多額の借金。度重なる暴力。止まない浮気。逃げようとしたことも一度や二度ではなかったという。しかしその度追いかけ、泣きつかれた。
『お前じゃなきゃダメなんだ』
あまりの必死さに、それを京香は拒むことが出来なかった。
そして再び繰り返される日常。それがどういったものであるのか僕は訊かなかったし、京香も話したがらなかったが何となく想像はついた。
京香は1年耐えた。よくそれだけ耐えたものだと思う。しかし、遂に限界が来た。
彼女はその男が不在の隙をついて、その男と住んでいたアパートを出た。彼の借金を返すために貯めていた、預金通帳を持って。既に不動産屋で転居先は決めていた。
そして彼女は上板橋にやってきた。それが2週間前のことだ。
長い京香の話が一区切りついた。僕は軽く溜息をつき、ほとんど空になったウィスキーグラスをあおる。氷はほとんど溶けていたが、やけにアルコールが強く感じられた。
僕はその男に対する激しい怒りを感じていた。男として、絶対に許しては置けないタイプの人間だ。もし目の前にそいつがいたら、自分の感情を制御する自信はない。
少し冷静になりたかったが、それでも怒りがかすかに声に出た。
「それで、そいつは今どうしてるんだ?」
「……分からない。でもきっと今でも私を血眼になって探してると思う」
京香は心底怯え切った目をして言った。それはそうだろう。今までは京香は友達の家に逃げ込んでいたが、その度毎にその男は蛇のようなしつこさで京香の居場所を探し当てたという。
今回は全くの一人暮らしだが、それでもその男に対する恐怖は晴れないのだろう。
「もちろん、携帯やメアドは変えたんだよな」
「うん……でもやっぱり怖いの…今でも時々眠れなくなる」
京香の声は、また震え始めていた。その姿に、今まで抑えていた気持ちが少しだけ溢れた。
「僕が守ってやるよ」
えっという表情を浮かべる京香。僕は真っ直ぐに京香の目を見た。
「もう僕は京香が傷付く姿は見たくない。いつでも相談に乗る。少しは何かの役に立てるかもしれないから」
その台詞を聞くと、京香の顔が涙で歪んだ。
「…ねぇ、ちょっと…隆くんの…胸貸して…」
僕は席を立ち、座ったままの京香を抱きしめた。
京香の嗚咽を聞きながら、僕は彼女を守りたい、と思った。
それが、僕の贖罪なのだから。
11月の朝は、肌に冷たい。たとえ体をウィンドブレーカーで覆っていても、その寒さはつま先から染みてくる。
軽く屈伸を始める。その後に伸脚。両脚のアキレス腱を伸ばし、体を捻る。徐々に体が温まってくる。準備は出来た。
僕はゆっくりと走り始めた。最初は体の動きを確認するかのように。そして少しずつ、速度を上げていく。
呼吸は一定のリズムを刻む。脚の運び、腕の振り。これも大事なのはリズムだ。
それが決して乱れないように、自己を律する。丁寧にピッチを刻んでいく。
そうしていくうちに、段々と流れていく景色や周りの人影は目に入らなくなる。見えるのは目の前のコースと、自分の肺から吐き出される白い息だけ。自分の息遣いしか聞こえない。
自分だけが外界から遮断され浮き上がっていく、そんな感覚。それはある種の快感ですらある。
水曜と土曜、週二回の自分との「対話」。それは3年半前に東京に来てから続けている、僕の儀式だ。
タイムはともかく、城北公園の3kmのジョギングコースを一定のペースで走り切る。走っているうちに色々な想いが頭をよぎっていく。人間関係のこと、勉強のこと。不思議なことに、普段よりも走っている時の方がより冷静にそれらのことを考えられるのだ。
目にチラッとランニングコースの表示が見えた。残り半分。
少しずつ重くなっていく脚を感じながら、僕は京香のことを考え始めていた。
あれからもう6日が経っていた。あの日以来僕と京香の関係が劇的に変化したということはない。
僕は大学の授業か予備校、彼女は仕事。頻繁に会うようなこともない。
ただ、彼女からの電話やメールは増えた。中身は他愛のない話ばかりだが、それでも彼女から信頼されているようで少し嬉しい。
心配していた彼女の元恋人の件も、今の所は特に何もないようだ。僕はそのことに安心していた。
だが、僕はこれからどう京香と接していけばいいのか。そして、京香は僕をどのように考えているのか。
その所に、僕は迷いを持っている。僕には彼女に大きな負い目がある。それを京香がどう考えているのかは、今の所あまり分からない。
一見するとそんなに気にしていないのではというようにも思える。しかし、それはやはり甘い、自分に都合の良い考えだろう。
そして何より、僕自身彼女をどう思ってるのか。単に過去の贖罪のために動いてるだけなのか?それともまだ未練があるのだろうか。
おそらく後者が正しいのだろう。だが、僕に彼女を愛する資格はあるのだろうか?たとえ彼女がそれを許したとしても、僕自身が許せない。
残り1kmを過ぎた。大分呼吸も辛くなってくる。リズムを保とうと意識する。
そんな中で、どこかから「考えるな」という声が聞こえたような気がした。
案外、今は何も考えない方がいいのかもしれない。多分、それは正しいのだろう。
だが、それが僕に出来るのだろうか。また一つ、脚が重くなったような気がした。
「筆記用具を置いてください」
試験終了を知らせるチャイムが鳴った。
僕は軽く溜息をついてシャープペンシルを机の上に置く。
退室の合図が出た。筆記用具をバッグにしまい、3年前に買った使い古しのジャケットを羽織る。
軽く伸びをすると少し貧血を起こした。やはり試験当日にジョギングは体力面で辛かったらしい。
もっとも、試験そのものの出来はこれまでになく良く出来た。ことによると全国ランキングに載るかもしれない。上機嫌で退室すると、隣の部屋から風間が現れた。
「おう、どうだったよ」
「うん、まあ手応えありかな」
「珍しいな、お前がそんなに強気に出るとは。いつもは『全然だよ』とか言うくせにな」
風間が少し驚いた表情をした。
「たまには強気に出てもいいじゃないかよ」
「ふーん、そんなもんかね」
風間は右手を顎に当てて何か考える素振りをした後、出し抜けに言った。
「ほー、さては何か良いことでもあったか?」
ニヤリと笑う風間。京香のことは彼には言っていない筈だが。微妙に焦る。
「…いや、特にないけど」
「いーや、それは何かあるね。ズバリ、コレか?」
そう言うと、風間は右手の小指をピンと立てた。頭に血が集まっていくのが自分でも分かる。
「お前、ホンットに分かりやすい性格だなあオイ。そんなんで弁護士になれんのかよ」
「…うっさい」
腹を抱えて笑う風間に僕はふてくされて言った。
「んで、どういう風に知り合ったのよ?」
風間はマクドナルドのチーズバーガーをパクついている。僕は中学時代の同級生とたまたま上板橋で再会した、と言っておいた。京香との過去は話さなかったが、まあ嘘ではない。
「ほう、そりゃエライ偶然だな。運命的再会ってやつか」
風間はもう5個あるうちの2個めのハンバーガーに手を伸ばした。模試が体力を使うものであるのは確かだが、それにしても良く食べる。
「……まあね。というか、お前食べるの早くない?」
「ん?あー、実はプロテストが12月の21にあってな。それに備えてもうそろそろ減量しなきゃいけねえんだよ。だから今のうちに食い溜めとかねえと」
「へえ、そうなんか。で、見込みはどうなんだ? お前なら受かると思うけどさ、合格率は結構低いんだろ」
僕は手元のコーラに口をつけた。
「どっかのテレビ局の番組に出てる連中よりはずっと高けえよ。まあ、デビューしてからだな」
口の中に入っているハンバーガーの残りをジンジャーエールで流し込むと、風間は自信ありげな表情を見せた。
「んで、話を元に戻すか。その彼女とはどこまで行ったんだ? もうヤッちまったか?」
その言葉は、僕の癇に障った。
「そ、そんなわけないだろ!……まだそんなのじゃないし…それに…」
「あー、全くダメだねえお前は。これだから経験のない奴は」
肩をすくめておどける風間。しかし、それに真っ向から反応する気にはなれない。
再び京香への良心の呵責がうずく。告白やSEXで済む問題なら、こんなに悩んではいない。
僕と風間の間に、微妙な間が出来る。黙り込んだ僕を心配したのか、風間が珍しくシリアスな表情で言った。
「……まあお前にはお前の事情があるみたいだがな。あんまり難しく考えるなよ。考えれば考えるほど、恋愛は深みにはまるぜ」
「……ありがとう、助かるよ」
難しく考えるな…か。確かにそうなのかもしれない。
今の僕は、自分で自分を縛っている。それが自分を苦しめている。それは事実だ。
しかし、全てを捨てて自分がやりたいようにやれるほど、僕の心の荷物は軽くはない。
風間のように、自分がやりたい生き方が出来る奴が心から羨ましく思えた。
33 :
前スレからのファン:02/11/19 03:02 ID:dTVUeYLC
dat落ち、とても残念です…。
現行小説のログをUPしておきました。
34 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/19 13:32 ID:x3qPX9+i
前スレdat落ち残念です。
ということで今度は応援age。
35 :
名無しさんの初恋:02/11/19 16:55 ID:uFMgB61/
次回はいつですか?
36 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/19 22:27 ID:Xymh7H5o
今夜も保守age。
37 :
名無しさんの初恋:02/11/20 14:13 ID:z4fVypc4
a
38 :
名無しさんの初恋:02/11/20 23:30 ID:9Daf3DYJ
age
39 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/21 08:57 ID:tORq5eyI
おはよう定期age。
40 :
名無しさんの初恋:02/11/21 16:48 ID:jKrQHWU2
おやすみage
保守
42 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/21 18:03 ID:Q+RImRWx
保守age。
43 :
272:02/11/21 23:50 ID:5cZgwwAP
ご無沙汰してます。ようやっと例のレポ終わりますた…。
これでしばらくは執筆の時間が作れます(安堵)。
次回は土曜か日曜になると思います。それまでしばしお待ちを。
44 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/22 07:03 ID:CO+tss4X
>>272さん
おはようございます。
レポート乙です。
続編楽しみにしています。
無理せずに続けられてください。
45 :
名無しさんの初恋:02/11/22 11:09 ID:/oyzP3DW
>43 (272)
俺はいつもでもあんたをまってるよ。
46 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/22 21:22 ID:g0WhBfQX
夜の定期ageです。
週末は執筆がんばってください。
>>272さん
47 :
名無しさんの初恋:02/11/23 10:32 ID:V+BBMQXW
age
48 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/23 23:38 ID:VW0IUoiD
今夜も定期age。
49 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/24 12:14 ID:Oph63BVR
おはよう定期age。
50 :
272:02/11/24 13:48 ID:CzX1QEey
えっと、今第7話95%くらいまで完成しました。
校正を経て、今晩遅くか明日の朝にはUPします。
51 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/24 14:45 ID:Oph63BVR
>>272さん
お疲れさまです。
今夜は続きを見れないと寝れないです(w
でも無理はしないでくださいね。
首を長くして楽しみにしています。
52 :
名無しさんの初恋:02/11/24 19:54 ID:NtwTPrrn
家に帰り付いたのは、9時過ぎだった。模試が終わったせいなのか、それとも自分自身にやり切れなさを感じているからなのか、虚脱感で何もする気が起きない。
とりあえず、僕はマンダリンを淹れることにした。近くのコーヒーショップで買ってきた豆をコーヒーメーカーに入れ、ドリップされるのを待つ。
疲れた時にこうやってコーヒーを淹れるのは、僕の一つの習慣だった。
淹れ上がったマンダリンを喉に流し込む。深い苦味が疲れた体に心地良い。
僕はほっと一息ついた。この瞬間が、僕にとってささやかだが贅沢な時間だ。
濃い琥珀色の液体が喉を流れる度に、体の中に溜まっていた澱がそれと一緒に流れていく。
その時、携帯からのビリー・ジョエルの「オネスティ」が流れた。
液晶を見ると、「西原 京香」という文字。僕は受信ボタンを押した。
「もしもし?」
「あ、隆君?今大丈夫?」
「うん、まあ大丈夫だけど。どうしたの?」
京香の声が微妙に弾んでいる。何か良いことでもあったんだろうか。
「あのね、今日お店休みで晩御飯にカレー作ったんだけど、多く作り過ぎちゃって。それで少し食べてもらいたいんだけど…ダメかな?」
僕は危うく口にしていたコーヒーを吹き出しかけた。顔が急激に熱くなるのが自分でも分かる。
「い、いや…ダメじゃ、ないけど」
「えっと、もうご飯は食べちゃった?」
「あ、ああ……まだ食べてない」
「それじゃ、もし良かったら後でうちに来てくれない?一緒に食べようよ」
頭がくらくらする。それは疲れのせいなのか、それとも別の何かなのか。
「……うん、分かった…少し待ってて」
かろうじてそう言った僕の声は、自分でも分かるほど裏返っていた。
一体京香は何を考えてるのだろう?恋人でもない男を、自分の家に上げるとは。
僕は吹き付ける風に身を縮こまらせながら、京香の家に向かっていた。
場所は前に教えてもらっていたから分かる。ジョギングコースから近いので、迷うことはない。
それにしても、電話先での京香の能天気さには混乱させられるばかりだ。
確かにあれ以来、僕と京香との信頼関係は少しだけ強くなった。
京香にしてみれば、今東京で頼れるのが僕くらいだというのは分からないでもない。
だが、そこまで過去のことをすっぱりと割り切って考えられるものなのだろうか?
ゴチャゴチャ考える自分が馬鹿らしくすら思えてくる。
(あいつは昔から変にはしゃぐ所もあったからな、きっと今日もそれだろう)
とりあえず、そう思うことにした。
歩くこと約10分。京香の住むアパートの前に着いた。
部屋番号は確か…204だったはずだ。階段を上がり、部屋の前に立つ。
妙に心拍数が高まっている自分がいる。落ち付け。そう念ずるが、そう思えば思うほど体温が上がっていく。
困ったことになった。自然に京香と接する自信が、ない。
もちろん、僕が京香に対して明白な恋愛感情を持っている訳ではない。
負い目から生じる責任感みたいなものや単純な好意はあるが、それは恋愛感情とは違う……はずだ。
なのにどうしてこう落ち付かないのか?中学時代、彼女の部屋に入ったことは一度や二度ではないというのに。
僕は大きく深呼吸をした。リラックスするための常套手段だ。
大きく息をつくと、少しだけ落ち着いた気がする。ゆっくりとインターホンを押す。
「ピンポーン」
「はーい」
室内から京香の声。小走りで玄関の方に駆け寄ってくるのが分かる。
そして、ゆっくりとドアが開いた。
「やあ」
そう言って笑った僕の顔を見て、京香がおかしそうに笑った。
「ぷっ…隆君変だよぉ。何でそんな変な顔してるの?」
確かに、僕自身顔面の筋肉が妙な方向に歪んでいるのを感じていた。たまらなく笑いたい気分だ。
「そ、そうだなぁ…何でだろ。…くくっ、何だかおかしいね」
そう言って僕らは、顔を見合わせて大声で笑った。少し近所迷惑かな、と思いながら。
「へえ、やっぱ結構キレイにしてるんだな。僕の部屋とは大違いだわ」
僕は小さなテーブルの所に座り、キッチンにいる京香に向かって言った。
さっき笑ったおかげで、大分リラックスできた。少しまだテンションは高いが、さっきに比べればかなりマシにはなっている。
「うーん、かなり散らかってたから片付けたんだけどね。まだ少しゴチャゴチャしてるかも」
顔は見えないが、京香が苦笑したように言う。しかし、部屋は女の子の部屋らしくきちんと片付いていた。
薄い青で統一された室内やインテリアの配置が、非常に落ち付いた雰囲気を感じさせる。
そんな京香のセンスに感心しながら室内を軽く見まわすと、壁に掛けてあるキルトが目に入った。
他にも観葉植物や絵などインテリアはあるのだが、そこだけ何か浮いているというか、抜けた感じを僕は受けた。
僕にはあまり美的センスはないが、そんな僕でもそのキルトが凄いものであるのは分かる。複雑な柄と鮮やかな色彩。
部屋に合うように濃い青と薄い緑で彩られたそれは、昔京香が僕に見せたデザイン画と似たようなものを感じさせた。これは京香が作ったものなのではないか?
「なあ、このキルトってお前が作ったの?」
「うん…そんなに出来良くないけどね。暇な時にたまに作ったりしてるんだ」
どことなく寂しそうな声。それを聞いて、僕は胸が締め付けられるような思いがした。
京香は、まだどこかでデザインの世界に未練があるのではないか。そう感じたのだ。
キルトの青が、少し滲んだ気がした。
「お待たせー」
京香がカレーを持ってきた。皿からはほのかに湯気が立っている。
「お、なかなか美味そうじゃん」
見た目は普通のビーフカレーだ。ルーは若干濃い目で、具には大きめの牛肉のブロックが入っている。
しかし、前に京香は「自炊できない」と言っていたような気がする。昔のケーキの味も酷いものだった。
その事を思いだし、心の中で冷や汗が出てきた。しまったかな、と後悔してももう遅い。もう既に皿は目の前に出てきてしまっている。
「お水はいる?」
「…ああ、もらっとこうかな」
そう言うと、京香は再びキッチンに消えていった。エプロンを付けた後ろ姿が、どことなく色っぽい。
また心拍数が高まってきた。おいおい、何を考えているんだ。色々な意味で、全く落ち付かない。
「どうしたの?」
いきなり京香が顔を覗きこんで来た。頭が熱くなる。
「い…いや、何でもないよ」
「…変な隆君」
少し不審そうな顔をして、京香がテーブルを挟んで僕の前に座った。
「それじゃ、食べようか」
「そ、そうだね」
僕はスプーンを手に取った。一体どんな味なのか。思い切ってルーとライスを口に放り込む。
…美味しい。意外と言っては京香に失礼だが、思いの他マトモな味だ。
ちゃんと肉は事前に軽くローストしてあるし、ルーも2、3種類ブレンドしてあるようだ。「……お、なかなか…美味しいじゃん」
そう言うと、京香は嬉しそうに笑った。
「えっ、ホント?良かったぁ、少しカレー粉入れ過ぎちゃったかと思った。カレーだけはちゃんと作れるんだ」
「いやあ、昔に比べりゃすごく上手くなってるよ」
「えー、それ言わないでよー。」
そう意地悪く言うと、京香がむくれる。
そんな風にしてカレーを食べる。こんな時間も、たまには悪くないな。そう思いながら。
57 :
272:02/11/25 08:47 ID:s2NZZHln
一応、第7話です。ただ、後で改訂版出すかも…。
今回随分とマターリ目ですが、そんなに作者は甘くありませんw
次回は来週の週末辺りに。
58 :
名無しさんの初恋:02/11/25 18:12 ID:DYF8XTh8
期待age
59 :
名無しさんの初恋:02/11/25 18:14 ID:gWYsCFho
60 :
272:02/11/25 23:13 ID:qA/AejaC
ageついでに。何か僕だけでは間が持たなくなったので(汗)、どなたか「運命的出会い」について書いていただけたらなあ、と思っています。
もちろん、小説形式でもリアル話でも結構です。僕もそういう話読みたいのでw
(僕自身の話も書けないことはないんですが…今はやめときます)
61 :
名無しさんの初恋:02/11/26 03:36 ID:9aERkIYV
62 :
名無しさんの初恋:02/11/26 20:46 ID:aOhiPt8y
age
63 :
名無しさんの初恋:02/11/27 08:11 ID:Gf96c8Ec
age
64 :
名無しさんの初恋:02/11/27 18:05 ID:bnDmYVxr
asa
65 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/27 21:49 ID:euo6BkJi
遅くなりましたが目を通させてもらいました。
今回もお疲れさまです。
>>272さん
何か私も語れたらいいなあ・・・と思いますが・・・。
もし見つかって文章にできましたら、書かせていただきます。
引き続き続編も期待しています。
レポもがんばてください。
ということで期待age。
66 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/28 10:10 ID:pw9p+0DV
おはようage。
67 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/28 20:32 ID:6HkPfGDe
おやすみage。
明日も早いのでそろそろ寝るよ。
68 :
名無しさんの初恋:02/11/28 23:51 ID:3I2nUtDI
age
69 :
名無しさんの初恋:02/11/29 07:31 ID:FHr2HNLb
かき揚げ
70 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/29 08:54 ID:LtsWuihl
おはようage。
今日は天気いいけどどうも寒い・・・。
71 :
「恋愛」と書いて、「デキナイ」と読むゆうき(略:02/11/29 09:51 ID:Hmx+Fbpo
この時期は、毎年必ず女友達がいない。
一年を通して出会いはあるが、話すのが苦手な俺は、いつも遠くから見ることぐらいしかできない。
クリスマスを共に過ごす、初詣に一緒に行く、そして本命チョコを貰う。
普通の人にとって、ごくごく当たり前のこと、俺にはできない。
去年のクリスマス。俺は、ショッピングモールへ足を運んだ。何を求めに行ったのだろうか…。
よせばいいのに。
ベンチに腰掛け、ただうつむいていた。辺りは、大勢のカップルや家族たち。
しばらくじっとしてると、となりに家族が座ってきた。30代の父親。
……頼もしそうな気質が漂った。
勝てない。
俺がすごくみじめに見えた。これが世の中か。俺はこんなものなんだな。
72 :
「恋愛」と書いて、「デキナイ」と読むゆうき(略:02/11/29 10:10 ID:zM9eDaz1
また、俺はよく
「おまえ、女いるだろ?」
と言われる。よく言われる。
なんで顔で判断するの?まあ、ちょっとはうれしいが、
考えてみれば、みんなにそう思われて、誰も紹介してくれないのであろう。
かえってくやしいのだ。俺は。
今年も、毒男で終わるのか。
今夜は、枕を濡らして眠りにつけよう。
73 :
名無しさんの初恋:02/11/29 15:02 ID:dCALSNUo
>また、俺はよく
>「おまえ、女いるだろ?」
>と言われる。よく言われる。
これって、普通に誰でも言われるんじゃない?
よっぽどキモくない限りは・・・
>>73 それだけが、この人の自信なんだから、触れちゃ駄目よ!
ナルってる時がきっと幸せなのよ。
煽り、叩きはヤメレ。
76 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/29 21:08 ID:IyuLmehF
おやすみage。
77 :
名無しさんの初恋:02/11/30 09:47 ID:brOj7a/O
おはやうage
78 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/30 12:27 ID:/hPjkmmI
同じくおはようage。
79 :
名無しさんの初恋:02/11/30 20:29 ID:WUOg/aTo
今から執筆に入ります。
出来れば明日か月曜朝にはUPしたいですね。
80 :
272:02/11/30 20:30 ID:WUOg/aTo
って名前欄に名前入れるの忘れてました。逝ってきます…。
81 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/11/30 20:47 ID:cNVg/4o1
>>272さん
毎回お疲れさまです。
執筆がんばってください。
力作を期待age。
82 :
1:02/11/30 20:56 ID:qyvIrEWX
一目惚れって運命じゃないけど
運命のときも、あるかな?
それと何故か好き、とかも。
83 :
名無しさんの初恋:02/12/01 07:29 ID:we6C36Di
age
84 :
272:02/12/01 18:44 ID:rJtUcE87
とりあえず、先ほど第8話書き終えました。今から校正に入ります。
85 :
名無しさんの初恋:02/12/02 01:27 ID:6xZkLOW/
age
86 :
名無しさんの初恋:02/12/02 10:11 ID:0bhWGJVC
あげ。
87 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/02 20:41 ID:UoJYnvxf
272さん応援age。
校正乙です。
88 :
272:02/12/02 23:40 ID:C9/iBaLZ
申し訳ありません。完成にはもう少しかかりそうです。
まだまだ修行が足りないようで…。
89 :
名無しさんの初恋:02/12/02 23:41 ID:/gE2AcHR
焦らずよろしく。
楽しみにしていますので。
90 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/02 23:45 ID:UoJYnvxf
>>272さん
お疲れさまです。
のんびり待っています。
寒いので体調を崩されないように執筆がんばってください。
91 :
名無しさんの初恋:02/12/03 08:24 ID:bpzlBR+R
age
92 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/03 10:22 ID:uNMvsTV8
続編待機age。
94 :
名無しさんの初恋:02/12/03 22:33 ID:sCDLUEoE
age
95 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/03 23:45 ID:mVELu8y6
おやすみage。
96 :
名無しさんの初恋:02/12/04 07:57 ID:3ooA5E5j
age
97 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/04 10:59 ID:XKDRREfU
おはようage。
98 :
名無しさんの初恋:02/12/04 14:00 ID:LN/hU8ua
こんにちはage
岡村隆史・矢部浩之
100 :
(,,゚Д゚) ◆nyaa3V4N0I :02/12/04 14:12 ID:K3vA8Zft
( ゚Д゚)ニャー
101 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/04 18:29 ID:STulmx6P
夕食age。
102 :
名無しさんの初恋:02/12/04 18:29 ID:m4/iMEZE
103 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/04 22:10 ID:STulmx6P
おやすみage。
104 :
名無しさんの初恋:02/12/05 01:01 ID:EDyaRucw
あげ。
105 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/05 11:39 ID:pSyyCVQZ
今日もおはようage。
106 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/05 20:31 ID:2qs2/dvn
夕食age。
107 :
名無しさんの初恋:02/12/05 20:35 ID:DgZgmrGv
ひとめぼれは女の勘!
108 :
名無しさんの初恋:02/12/05 22:39 ID:Wb7qEFvC
109 :
名無しさんの初恋:02/12/06 00:22 ID:bgkm+FYS
110 :
272:02/12/06 01:05 ID:iu/u+zZJ
第8話改訂版、今書き終えました。しばらく推敲して、それからupします。
何か今までの倍の長さになってしまった(汗)
111 :
名無しさんの初恋:02/12/06 13:46 ID:lIdO6jvN
>110
2回に分ければ?
勝手に意見してすんません
112 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/06 19:16 ID:mDhAZ0DO
>>272さん
お疲れさまです。
楽しみにしています。
応援age。
長編でしたら複数回に分けてUPされたらよいと思いますよ。
113 :
名無しさんの初恋:02/12/06 22:35 ID:lIdO6jvN
夕食食べたage
114 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/06 23:03 ID:POyw6rjI
おやすみage。
115 :
名無しさんの初恋:02/12/07 03:54 ID:Nr9dSP8Z
飲み会帰りage
116 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/07 08:00 ID:ChJpj8+L
おはようage。
117 :
名無しさんの初恋:02/12/07 12:35 ID:b9W+0H3W
昼食age
118 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/07 19:41 ID:3hek/eND
夕食age。
あげ。
120 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/08 09:01 ID:0mKI374u
おはようage。
みなさんいい日曜日を。
121 :
名無しさんの初恋:02/12/08 10:28 ID:PTS1v/eR
開戦記念日揚げ。
それからしばらく軽い世間話をして、僕は京香の家を去った。
京香は以前に比べると大分明るくなっていた。ハイテンションだったといっていいくらいだ。
そんな京香の姿に少しドギマギしながらも、僕は安堵を感じていた。
別に昔のような関係に戻りたいと僕が積極的に願っているわけではない。ただ、ほんの少しかつての京香が戻ってきてくれたように思えたのが、嬉しかった。
家に帰りつき、軽くシャワーを浴びる。バスルームから出ると、携帯に京香からのお礼のメールが入っていた。
少しだけ顔がニヤけるのを自分でも情けなく思いながら、寝る支度を始めた。しかし、どうも目が冴えている。
京香の家に行った事で少しハイになっているのか、それとも模試から帰ってきて飲んだコーヒーが効いてしまっているのか。
一応ベッドに体を横たえてはみたものの、一向に眠気は襲ってきてくれない。
目をつぶっていても苦痛なだけなので、ぼぉっと天井を眺める。
そうしているうちに、一つの疑問が浮かんだ。
(なぜ京香は今日に限ってあんなにはしゃいでいたのだろう?)
これは京香の家に行く最中にも思ったことだった。確かに、元彼と離れることが出来て安心した反動はあるかもしれない。
だが、いつものメールや電話での反応に比べても明らかにテンションは高かった。まるで、僕を誘っているかのように。
それが、若干の違和感を僕に感じさせていたのは事実だった。どこかもやもやした気分を抱えているうちに、思考が曖昧になっていく。そして僕は、眠りについた。
翌朝は、大分遅く起きた。いつもは8時までには起きているのだが、今日に限って10時半まで寝てしまった。
しまったと思い、急いで顔を洗い身支度をする。今日は何も予定がないのだが、日曜は大学の図書館で勉強するのが習慣なのだ。
リズムを崩すのはやはり好ましくない。トーストとコーヒーだけのごく軽い朝食をとり、僕は大学に向かった。
大学での勉強は割とはかどった。やはり1週間前から勉強のペースは上がってきている。
無味乾燥な判例や学説も、何故か頭に素直に吸収されていく。
だが、時折昨日のことが頭に引っ掛かかった。京香に頼られているのは嬉しいのだが、どこか不自然な感が拭えなかったのだ。
そろそろ大学を出ようかという時、携帯が鳴った。風間からだ。
「おう、どうした」
「…スマン、今日泊めてもらえんだろうか」
珍しく少し参ったような声を出す風間。僕には思い当たる節があった。
「さては競馬でスッたな…」
「……面目ねえ。交通費くらいはあるんだが、うちのが確実にキレるだろうからな。ほとぼりが冷めるまでお前の家で避難させてもらえんか。頼む!」
こういう経験は今までにも2、3回ある。風間は競馬が趣味なのだが、その賭け方も荒い。一発で200万稼いだこともあるが、それと同じだけ負けるというのもしばしばだった。
奴が一人暮らしをしていた頃は、よく金を貸していたものだった。今でもたまに貸すし、借用書は結構溜まっているのだが。
1年くらい前からOLの彼女と同棲を始めてからは財布の紐を握られたのか少しは大人しくなったのだが、代わりに時々こうして「避難」を頼んでくるようになった。
全く困った男だと思いながら渋々承諾すると、「それでこそ心の友だ」とか言ってきた。
「あとで利子つけて返してもらうからそのつもりで」
そう冷たい素振りを装って言うと、風間が携帯の向こうで「そんなアホな!」と叫んだ。
「おう、飯まで作ってくれるのか。ありがてえな」
「僕も夕飯まだなんでね。しょうがないが、今度奢れよ」
僕はキッチンでパスタを湯掻いていた。横には、缶詰のミートソースの入ったフライパンがある。もっとも、少し手を加えてはあるのだが。
「そんな無体なこと言うなよー」
ふてくされた様子で風間が言う。
「なら今後は競馬に賭け過ぎないように…って茹で上がったかな」
寸胴から一つパスタを引き上げてみる。しっかりとアル・デンテになった。僕は流しにザルを置き、寸胴の湯を切った。
「おー。流石だねえ」
「おだてても何も出ないよ。お前のとこ、普段夕食は由奈さんが作ってるのか?」
盛り付けをしながら言う。
「いや、俺もたまには作るよ。大体3対1くらいであいつが作るが…っと来た来た」
僕はテーブルの上にスパゲッティの皿を置いた。
「んじゃ食うか」
「おう」
風間は下品にずずっと音を立ててスパゲッティをすすり込む。これで実家は横浜の開業医なのだから、人は見かけによらない物だ。
「お…これは……なかなか美味いな…。缶詰のミートソースじゃなかったのか?」
口にパスタをほお張りながら、風間が感心したように言った。僕はニヤリと笑う。
「実はちと手を加えてあるんだ」
「を、どんな?」
「スマンが、これは企業秘密」
そう言うと、風間が不平そうな表情をした。
「何だよ、そこまで言ったのなら教えろ。親友に何も言わないとはふてえ奴だ」
「分かったよ、ミートソースにバジルとタイムを少し、それと隠し味に鶏のレバーを加えた。これだけで缶詰でもそこらのレストランより遥かに美味いミートソースが作れる、というわけ」
「ほ〜。ハーブが入っているのは分かったが、鶏レバーとはねえ。今度やってみるか」
そう感心したように言うと、また風間はスパゲッティをすすり始めた。
「コーヒーは要るか?」
「おう、頼まあ」
「その代わり、あとで皿洗いやれよ」
「ちっ、しょうがねえな」
僕は豆をコーヒーメーカーに入れた。淹れ上がるまでしばらく時間があるので、テーブルに戻る。
僕はTVを見ている風間に訊いた。
「ところで、由奈さんはお前がプロ目指すことについて何て言ってるの?」
「ん?…ああ、あんま何も言ってねえよ。『直弘がやりたいようにやれば? それでダメでも、あんたがベスト尽くした結果ならしょうがないよ』とは言ってるがな」
「そうか、結構理解があるんだな」
「そこは愛ってもんよ」
風間はそう言って笑った。コーヒーが出来たようなので淹れて持っていく。
「おう、サンキュ…ところで、昨日話してた子のことなんだが。何か訳ありみたいだな。どうなんだ?」
「……どうって何がさ」
「いや、お前見てると何か変に自分一人で抱え込んでるように見えてな。そういう傾向あるし」
そう言うと風間はコーヒーカップに口をつけた。僕は迷った。京香とのことを言うべきか、言わないべきか。
僕のやったことは、人として許されるものではない。たとえ風間でも、言う気には到底なれなかった。
しかし、僕の心の中に迷いがあるのもまた事実だ。まして、昨日の京香の行動に対する戸惑いもある。
沈黙する僕に向かって、風間が言った。
「まあ訳ありなのは昨日の反応から見てて分かる。普通の元クラスメートじゃああいう反応はせんからな。だが、話すことで楽になることもあるんじゃないのか?」
真っ直ぐに目を見据える風間に、僕は折れた。
「分かった…話すよ」
僕は、京香がかつて付き合っていた女性だったこと、僕が彼女を傷付け「捨てた」こと―流石にこの詳細は「言えない」と言っておいたが―、
そして東京で再会した時彼女は心に傷を抱えていたことを風間に伝えた。もちろん、昨日の件も。
長い話になった。僕は時折口を潤すためにコーヒーを飲みながら話したが、すぐにカップは空になった。
風間は時折「それで?」などの相槌を打つだけで、ほとんど黙って僕の話を聞いている。
話が一区切りつくと、風間は考え込むそぶりを見せて、言った。
「……何かそいつ、危ういな」
「危うい?」
「ああ、あまり深入りしない方がいい」
「何でだよ?」
思いの他大声になってしまった。もう夜はかなり更けている。僕はしまったと思い、声を小さくした。
「何でそう思う?」
「勘、だよ。もっとも、それなりに根拠のある勘だが」
僕は何か嫌な予感がした。風間は勘が恐ろしく鋭い。そして、こういう時に言うことは、大抵真実だった。
「…勘、か……」
「まず、気になるのはお前を昨日家に呼んだことだ。かつて自分を捨てた男を家に上げるなんて普通じゃない。
考えられるのはいくつかある。彼女はもうお前のことを許している。それは否定出来ないが、それだけじゃ説明しにくい。
もう一つ、彼女がお前を利用しようとしている。借金背負ってるなら、そういう可能性だってある。
だが、どうもお前の言う彼女…京香さんと言ったか…のキャラクターじゃねえ。
一番考えられるのは、彼女は誰かに依存していかなきゃ生きていけないタイプの人間だ、ってことだ。
前彼からなかなか逃げ出さなかったこともその根拠だ。おそらく、その前からそういう『依存症』になってたんだろうな」
僕は風間のその台詞にギクリとした。やはり、僕が彼女を変えてしまったのか?
そういう僕の様子を察したのか、風間が溜息を吐いた。
「まあ、お前のせいでそうなったのかどうかは知らんよ。だが、あまり自分を責め過ぎてもしょうがねえだろうが。
とにかく、彼女はここで一人で生きていくにはあまりに弱過ぎるんだよ。だから、誰か一緒じゃないと怖くて仕方がない。
お前も一人暮らししていりゃ分かるだろう?この街は、一人で生きていくにはなかなか辛いもんがある。
まして、京香さんみたいなトラウマを抱えてる娘にゃあまりに苦しいだろう。だから、『孤独』を埋めたがるのさ」
「……だったら何故それが『危うい』んだ? 別に孤独を埋められればそれでいいじゃないか」
僕は怒りと苛立ちを隠せずに言った。風間の言っていることは正しいかもしれない。…だが、それだけに言って欲しくない。
「そこだよ。問題は。孤独を埋めるために、そういう奴は他者に100%依存しちまうんだ。自分の生を全部犠牲にして、な。
実の所、俺もそういうタイプの女と付き合っていたことがあったから分かるんだよ。
一緒にいると余裕がなくなっちまう。そのくせ、離れようとするとヒステリーを起こすからやってられねえ。
『依存症』だからこそ、相手が自分から離れるのが怖いのさ。むしろ、よく京香さんがその男から逃げてきたと感心するよ。
だが、結局彼女は自分の『生』を生きてない。そうである限り、たとえお前が彼女がお前に依存することを許したとしても結局互いが不幸になるだけだ。
だから俺は言ったのさ。『深入りするな』ってな」
僕は何も言えなかった。右手が軽く震えている。このやり場のない想いを、どこにぶつけろというのだ?
風間が軽く一つ溜息をついた。
「……まあ、お前には酷なこと言っちまったと思うよ。お前は責任感強い奴だし、彼女を救ってあげたいと思ってるんだろう。罪の意識もあるんだろうな。
だが、だからこそ深入りはよせ。そりゃ元彼が殴り込んできたとかそういう事態になりゃ別だがな」
「………なら、僕は……どうしたらいいというんだ?」
いつの間にか声まで震えている。風間の言っていることは正論だが…到底受け入れられない。
「……答えるのは難しいが…彼女が自分の『生』を歩き始められるように、支えてやることかな」
「自分の…『生』?」
「ああ。言ってることが矛盾してるかもしれないが、『依存症』を直させないとお前らの時間は6年前で止まったままなんだよ。
お前がそれでもいい、というんだったら俺は止めない。お前にはお前の『生』があるからな。
だが、一人の友人として言わせてもらえばお前が一人の女のために堕ちていくのは見たくないんだよ。
だから、もし彼女に関わるんだったら彼女が人に頼らず自分の人生を歩けるようにさせねえと。そうすりゃ、また道も開けるだろうさ。
お前と京香さんとの過去に、何があったか俺は知らん。だが、それと向き合って乗り越えるにはまずそこじゃねえのかな。
難しいのは分かるが、本気で彼女のことを想うのであればそうするしかないだろ」
僕は黙り込んだ。……確かに風間の気持ちは分かる。だが、どうやればそれが可能になるのか。
今の僕には…答えが出ない。
「……ま、ゆっくり考えな。これからどうするのかは、お前次第だ」
そう言って、風間は手元にあったコーヒーカップをあおった。
129 :
272:02/12/08 10:50 ID:KvyZyxkD
お待たせしました。第8話です。
2週間待たせてしまった分、量も倍…というわけではないんですけどね(^_^;)。
次回は来週末の予定です。
130 :
名無しさんの初恋:02/12/08 11:09 ID:dPFGZ3k2
昨日バイト先で逢ったお客さんに一目惚れしました。
私は小さな居酒屋で働いているので、お客さんと結構話したりするんです。
でも、その人とは別に彼氏がいます。
どうしよ…
131 :
_:02/12/08 11:09 ID:4163mJIf
132 :
名無しさんの初恋:02/12/08 18:32 ID:6FPY4WIT
とりあえずage
133 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/08 20:17 ID:0mKI374u
>>272さん
新作完成お疲れさまです。
今回も一気に読破しました。
続きが気になる終わり方というのも相変わらずで。
引き続き、応援ageです。
134 :
名無しさんの初恋:02/12/09 00:42 ID:hQiCr9go
age
135 :
名無しさんの初恋:02/12/09 00:43 ID:NBdHOQe+
136 :
名無しさんの初恋:02/12/09 22:15 ID:U6M+xgxc
age
137 :
名無しさんの初恋:02/12/10 12:29 ID:VkyFYa0a
保守あげ。
138 :
名無しさんの初恋:02/12/10 21:21 ID:SqYyzrV1
とりあえず、風間がムカつくな。
断定してるところがものすごく偉そう。
会ったわけでもないのに。
専門でもないのに。
フィクションにマジレス。
139 :
名無しさんの初恋:02/12/11 02:22 ID:1+RWF+En
温泉上がりage
140 :
名無しさんの初恋:02/12/11 17:46 ID:G1awoPBB
あげ。
141 :
名無しさんの初恋:02/12/11 18:02 ID:uDGXerw/
>272
執筆お疲れさまです。
質問なんですが、ミートソースに鶏レバーっていいんですか?
今度試そうかと思うんですが、
ついでにage
142 :
272:02/12/12 08:31 ID:OnuLioRg
今日辺りから少しずつ書き始めようかと思ってます。ついでにage。
>>138 えっと、本文中でも少し触れてますけど風間君にも嫌な思い出があるんですよ。
それプラス隆への友情の強さがああ言う物言いになったと思ってもらえれば。
>>141 ミートソースに鶏レバーは某番組からネタをパクらさせてもらいました(汗)。
ほんの少し入れるだけでコクと旨味が増えるそうで。
>142
そうなんですか。
じゃあ、また今度試してみます。
144 :
名無しさんの初恋:02/12/12 23:08 ID:D40qkJok
あげ。
145 :
名無しさんの初恋:02/12/13 02:37 ID:yTcQq7/s
おでんは、厚揚げに限る。
146 :
名無しさんの初恋:02/12/13 02:45 ID:oT3hZPXS
わお
147 :
名無しさんの初恋:02/12/13 22:53 ID:A2qLLqt2
あげ。
じゃあsage。
149 :
名無しさんの初恋:02/12/14 13:39 ID:jj25dVOx
age
さ
151 :
272:02/12/14 22:53 ID:2MOljtMd
就職活動が忙しくなったため少しアップは遅れそうです…。というわけでsage。
152 :
名無しさんの初恋:02/12/15 11:48 ID:thUO6xzH
age
153 :
名無しさんの初恋:02/12/16 00:48 ID:tLX5giaG
クッキーの確認ウザイ…
154 :
人生男子校 ◆i7zIFSplYA :02/12/16 01:04 ID:Itl3jCi8
僕は髪は油髪でニキビ沢山のオタクです
生まれてからパソコンだけが友達(相棒)です。
服装はダイエーで購入の1980円のダンロップの靴で
バックはヨドバシカメラの紙袋です。
代官山なんて行ったことありません。
音楽はアニメの声優の奴しか聴きません
顔はゴリラにメガネで青白くもはや人間ではないです。
スワッガー、バランス、ウィズってなんですか?
155 :
名無しさんの初恋:02/12/16 01:47 ID:AuYFeAtA
ついこの作品にのめりこんでしまった、、やるじゃん
次回も楽しみにしてるぞ。
156 :
名無しさんの初恋:02/12/16 01:47 ID:AuYFeAtA
ついこの作品にのめりこんでしまった、、やるじゃん
次回も楽しみにしてるぞ。
157 :
名無しさんの初恋:02/12/16 22:02 ID:29CJMRp5
age
158 :
名無しさんの初恋:02/12/16 23:04 ID:VHs0KTBy
test
159 :
名無しさんの初恋:02/12/17 18:01 ID:IloQPXc+
age
160 :
_:02/12/17 18:03 ID:wBO2i7i6
161 :
名無しさんの初恋:02/12/18 00:36 ID:FeBGJ49i
保守。
162 :
名無しさんの初恋:02/12/18 23:51 ID:87t63Hck
寝る前に保守。
163 :
名無しさんの初恋:02/12/19 22:59 ID:PGmenZz+
age
164 :
名無しさんの初恋:02/12/20 06:14 ID:YBt+dzyg
おはようage
最近ひよ子さん見ないね。
165 :
vv:02/12/20 06:15 ID:qFQtJMPA
166 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/20 12:43 ID:vTq4gMgJ
>>164 いますよ〜。
今度はdat落ち回避させたいものです。
167 :
名無しさんの初恋:02/12/20 12:46 ID:SxEsYssM
あまり運命じゃないかもしれませんが・・・
友達と商店街を遊んでいると、かわいいお菓子の店がありました。
いつもならとおりすぎるんですが、学校の先生がいたので話し掛けに店に入りました。
そのときに頼んだお菓子を運んできた男性店員が今の私の彼氏です・・・。
168 :
名無しさんの初恋:02/12/20 13:23 ID:YBt+dzyg
>166
あ、いらっしゃたのか。(安心)
>167
かなり運命的!うらやましい。どちらから声かけたんですか?
169 :
名無しさんの初恋:02/12/20 18:32 ID:SxEsYssM
>>168 えーと・・。私がその店員(彼氏)さんを見たときに、「あ、いいな」って少しばかり感じていたら
私の着ていた制服を見て、
「あ、○○高校の子だね?」って言われて、彼氏はバイトの店員なのですが。。
彼氏は私の聞いたことない、遠い高校でしたが、私の行っている高校は結構県内で有名なので
私の高校の話題で盛り上がってしまいました(笑
店長も良い人で「ソイツ(彼氏)と対談してもいいよ、貸しちゃる(笑」と言われ
結構話しててメアド&番号交換して、その日からメールをはじめたりして、
今はこの通りです(恥
170 :
名無しさんの初恋:02/12/20 18:38 ID:YBt+dzyg
>169
いいなぁ、うらやましい。自分には高校生とつき合う甲斐性はないですが・・
お幸せに!
171 :
272:02/12/21 15:16 ID:+gK5ceUs
今日か明日中にはupできると思いますage。
172 :
ラフル ◆2.Q2nZ8jdc :02/12/21 15:19 ID:nUv6iWbB
>>169 一言念を押しておくがお前のマンコは俺のものでもあるんだから
あまり使用しすぎないようにな。
173 :
恋人は名無しさん:02/12/21 17:10 ID:VYwapOap
友人の結婚式で
174 :
名無しさんの初恋:02/12/22 11:37 ID:hoK/DPkE
( ´_`)o0O(何か書こうかなあ・・・)
175 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/23 01:48 ID:vjYK65c9
>>272さん
執筆お疲れさまです。
応援ageしておきます。
続き楽しみにしています。
そして、12月が来た。
街はクリスマス一色だ。まだイヴまでは3週間もあるというのに、サンタクロースのコスチュームに身を包んだデパートの売り子が随分と目立つ。
(そうか、もうそんな季節なのか)
僕はぼんやりと思った。クリスマスなど、所詮恋人たちと子供のいる家庭のためだけのものだとばかり思ってきた僕にとって、ここ2、3年クリスマスなどというイベントと僕は無縁だった。
…そう、京香と別れた後、女性と付き合わなかったわけではない。大学1年の頃、クラスメートから告白されて渋々付き合っていた時期があった。
しかし、僕は彼女を本気では愛せなかった。何となく、彼女の想いに引きずられてダラダラと時を過ごしていただけのような気がする。
そして、付き合い始めてから3ヶ月も経たないうちに僕らの関係は破局を迎えた。丁度クリスマスを前にした、この時期の事だった。
元々内向き思考の僕と、何事も活発に動き回る彼女とはあまり相性が良くなかったせいもあったかもしれない。
しかし、きっとそれ以上に僕が彼女と深く関わることを恐れていたのが、破局の根底にあったのだろう。
だから彼女から別れの言葉を聞いた時、奇妙な事だが僕はどこかで安堵していた。また、「彼女」を傷付けるのが怖かった…のかもしれない。
京香と僕の間に起きた「事件」も、冬の出来事だった。だから、この季節にはロクな思い出がない。
(プレゼントか…)
予備校帰りにデパートのショウウィンドウを見て、ふとそう思った。
もちろん、一人暮らしの学生に買えるような額の物ではないことは分かる。ただ、京香に何か買ってやろうかなと思いついたのだ。
(…何を考えてるんだ僕は)
僕はそのアイデアを振り払った。あまりにあざと過ぎる。それに、この前風間に言われたことがまだ引っ掛かっていた。
京香が持つ「危うさ」。深入りするな、とも風間は言った。
京香を支えてやりたいという僕の気持ちに変化はない。それが恋愛感情なのかそれとも単なる贖罪の意識なのかどうかはまだ判然としないが。
だが、風間の言わんとしていることも分かるのだ。確かに、東京で再会してからの京香はどこか必要以上に人を求めているような雰囲気がある。
それが僕を惹き付けている面はあるのだろう。しかし、風間の言うことをあの時僕は否定できなかった。
それは、僕が彼女の持つ「危うさ」をどこかで認識していることでもあった。
ふとポケットの中の携帯を取り出し、京香から送られてきた最近のメールを読み返してみる。
僕らは最近あまり会う機会がない。それは京香の仕事が忙しくなってきたことが最大の原因だった。
彼女が休みの日は僕が弁護士事務所でのバイトとことごとくすれ違っている。
そんなフラストレーションから来ているのか、随分と「一緒に遊びたいな」という記述が目に付いた。
もちろん、京香に会いたい気持ちは僕も同じだ。だが、そうした京香の甘えのようなものがどこか気になってはいた。
(これが風間の言っていた「依存症」…なのかな)
僕は一つ、小さな溜息をついた。これからどうなるのだろう。そんな漠然とした不安を、僕は感じ始めていた。
上板橋の駅に降りると、改札前には今日も妙にキョロキョロと落ち付かない細身の男がいた。
(あいつ、また今日もいるな)
僕はそう思った。ここ数日、夜の時間帯になると必ず見かける。気になったので昨日駅員に聞いたが、大体21時頃から1時間くらいああして改札前で立っているらしい。
挙動不審なので一回駅員も聞いてみたとのことだが、「人を待っている」と言うだけで何もしないので、まだ具体的にどうかするということはないとのことだった。
(まさか…な)
僕は京香の元彼のことを思い浮かべていた。確かにあの男は怪しいが、京香が言っていた彼の特徴とは随分と違う。
その男は身長は僕と同じ170cmくらいで中肉中背、目が細くキツネのような顔をしているとのことだった。
しかし今僕の目の前にいる男はそれより背が小さいし、何より見た目の年齢が30代後半くらいとどう考えても条件に一致しない。
(…多分杞憂だろう)
僕は心に引っ掛かる物を感じながらも彼の前を通り過ぎた。
しかし、池袋を出る時に感じた不安感は、確実に大きくなっていた。何かが噛み合わない。どこか「歯車」がズレている。
そんな奇妙な落ち付きのなさを感じながら、僕は家路を急いだ。
だが、その嫌な予感が数日後現実のものになるとは、僕は想像だにしなかった。
179 :
272:02/12/24 08:07 ID:Kdjvf3yN
遅れてスミマセンでした。第9話です。
まだもう少し手直しするかもしれませんが、とりあえずupしました。
ようやくセミナーラッシュも終わったので、少しは時間が取れそうです…。
年内にもう一回up出来ればいいんですが(汗)。
>>174 歓迎ですよん。
>272さんお疲れです。
あと何回くらい続くんですか?
181 :
名無しさんの初恋:02/12/25 00:29 ID:gZa5qHVf
あげ。
182 :
名無しさんの初恋:02/12/25 00:38 ID:rnt6P54g
先日、早朝に
「アドレスわかんなくなっちゃったからショートメールにした。○○・・@」
ってメールが来て誰だ?って思ったけど「誰?」って返信してみた。
そしたら
「友人の携帯番号と間違えました・・・すいません」
って返ってきて、なんだそうかと思って放置しようとしたけど
退屈だったので「せっかくの機会だし、メル友にでもなる?」
ってダメもとで返信したらそこからメール交換が始まって、今日は初デートしてきちゃいました。
こくられちゃいました。
183 :
名無しさんの初恋:02/12/25 23:14 ID:Rc2V3Mbe
age
184 :
名無しさんの初恋:02/12/26 21:39 ID:BYOuzMmD
保守。
185 :
名無しさんの初恋:02/12/27 22:00 ID:bwaejAHT
ageときます。
186 :
名無しさんの初恋:02/12/29 00:26 ID:Z9TXwmly
hosyu
187 :
272:02/12/29 22:45 ID:sWeLmoiZ
年内のupは難しそうです…。ごめんなさい。
>>180 具体的に何回かというのは分からないですが、次回以降が前半の山場になります。
ということはあと2回くらい山があると思ってもらって結構です。
>>182 いいですねえ…。それにしても初デートで告られるというのも(汗)。
188 :
ひよ子さん ◆PMqnWNOWEY :02/12/30 11:40 ID:+9NZwcXs
>>272さん
UPお疲れさまです。今回も一気に読みました。
今年も残り少なくなりましたがよいお年を。
>>182さん
うらやましい・・・。
189 :
名無しさんの初恋:03/01/01 00:45 ID:a24gnVoU
あけおめあげ。
190 :
名無しさんの初恋:03/01/02 09:41 ID:HmMUdXIm
ageです。
191 :
名無しさんの初恋:03/01/04 00:59 ID:5MQuJ570
age
500突破急浮上
193 :
山崎渉:03/01/07 08:40 ID:tLk5h1DQ
(^^)
194 :
名無しさんの初恋:03/01/08 03:49 ID:SVh/aUGD
age
195 :
age:03/01/10 12:39 ID:mUid8iLr
age
196 :
名無しさんの初恋:
age