1 :
好きなぁ :
2000/09/14(木) 23:00 オペラントの後に嫌悪刺激を提示するのが「罰」。 オペラントの後に嫌悪刺激を除去するのが「負の強化」。 そう習った気がするのですが、生理学者や医学者が書いた 一般向けの本で「罰」=「負の強化」と説明しているのを 見うけます。 これは誤用? それとも業界による違い? U斐閣の心理学辞典の「負の強化」の項には 両方の使い方が書いてありました。 専門の方、教えてください。
2 :
好きなぁ :2000/09/14(木) 23:11
「罰」=「負の強化」の具体例を挙げると、 『脳と心を考える』伊藤正男(文化勲章?) 『「多動性障害」児』榊原洋一 前者は学習、後者は行動療法の文脈だったと思います。
3 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 00:35
そりゃ、完全なる間違い。 この手の間違いは昔からよくある。誤用がいつの間にか慣用になったのか。話にならん。 正確に言うと、 罰その1:嫌悪刺激を呈示すること(正の罰?)。または正の強化刺激を除去すること(負の罰?)。 罰その2:オペラントの生起直後に、ある刺激を呈示することでその後の当該オペラントの生起頻度が低下すること(正の罰?)。 または、ある刺激を除去することでその後の当該オペラントの生起頻度が低下すること(負の罰?)。 要するに、単なる物理的定義(その1)と機能的定義(その2)がある。 一方、 負の強化:オペラントの生起直後に、ある刺激を除去することでその後の当該オペラントの生起頻度が上昇すること。 強化というのは、正であろうが負であろうが、生起頻度を上昇させる手続きのこと。 生起頻度の上昇がなければ「強化」とは言えない。 だから、強化≠報酬。 「罰」も「報酬」と同様にあいまいな使われ方がされるので、 「強化」に対して「弱化」という言い方をしたりする(上の「罰その2」の用法)。 ただ、これはスキナー派の機能的定義なので、他派は多少違うかもしれない。 しかし、断じて「罰」=「負の強化」ではない。
4 :
好きなぁ :2000/09/15(金) 01:26
詳しい説明ありがとうございます。 でも誤用であることが明らかなら、放置するのはまずいですね。 とくに伊藤正男さんのようなその道の権威と呼ばれる学者が 書いているのは影響が大きいですよ。 専門の方に是非とも糾弾していただきたい。
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 01:31
なんか社会的学習理論のほうでも そのへんの用語が混乱してませんでした?
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 01:43
ちょっとズレるが,去年出た精神保健福祉士受験用のテキストで 古典的条件づけとオペラント条件づけをまるっきり取り違えて 数ページにわたって混乱を来たしているのがあった。 あまりにもひどいので出版社に電話したら,同じような指摘があって 緊急会議中とのことだった。 その後正誤表がはさまれたようだが,これってテキストとしては致命的でしょ。 執筆者は家族療法系の人みたいだった。
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 02:40
>執筆者は家族療法系の人みたいだった。 さすがにやってくれるねえ(ワラ
8 :
マルシンド :2000/09/15(金) 09:18
福祉系や医歯薬系国試に出てくる心理系の問題は ほんとにひどい.間違った知識が「国定化」されてるのだ. それもちゃんとした「心理学者」が作っているんだから罪重いよ. あと,罰と負の強化は学生さんも間違えやすいところだから 教える方も注意して,図表を使ったりケースをあげたりして きちんと教える必要あり.俺は「この区別試験に出すよ」と言って 注意を引くことにしている(実際試験によく出す).
9 :
マルシンド :2000/09/15(金) 09:20
そういえば嫌悪刺激などの罰になる刺激のことを 「負の強化子」とか「負の強化刺激」とか言う人たち &そう書いてる教科書があって,それが混乱の一つの原因かも.
10 :
夕日書く :2000/09/15(金) 10:43
本社の心理学辞典は中島義明大先生に監修してもらっているので、 内容に絶対間違いはありません。
11 :
名無しさん :2000/09/15(金) 11:15
明らかに間違ってるよね。 私が辞典のその項目書くなら、「負の教化と罰を混同した表記が間々見られるが、 それは誤用である」ってはっきり書くね。ちなみに、社会的学習理論で用語が混 同しているのは、Bandura自身が誤用して用いていたから。 ところで、脱馴化(dishabituation)という用語も誤用されている。 本来は、刺激Aに馴化させた後、別の刺激Bを呈示し、再び元の刺激Aを出した ときに、この刺激Aに対する反応が回復すること。 乳児知覚心理学では、刺激Aに馴化させた後、別の刺激を呈示すると反応が見ら れることを脱馴化といっているが、これは正しくは馴化の刺激特定性という。 有斐閣の心理学辞典はこの誤用の方だけ掲載されている。書いたのは河合優年。 お前、乳児知覚心理学以外の馴化研究、勉強してるか。 辞典で間違い書かれると困る。心理学用語の試験するとそうした誤用を書く 学生がいるから。もちろん不正解にするが、学生が不正解の理由を聞いてきた とき説明するのが大変。場合によっては、間違いであることを示すために英米 の教科書や辞典を見せることになるが、学生の英語力がないときは、その部分 翻訳してやることになり、訳出時にごまかしているんじゃないかと思われたり して。理解してもらったとしても「なんで辞典が間違ってるんですか?」って いう問いに答えるのは難しいよねぇ。「この項目の執筆者はその分野の専門家 じゃないの。監修者の先生の何も知らないのね」「なんでそんな人が辞典書い ているんですか」「それは出版社にコネがあるし、彼らが厚顔無知だからだよ」。
12 :
名無しさん :2000/09/15(金) 11:17
↑ 2行目「負の強化」ね(恥)。
13 :
名無しさん :2000/09/15(金) 11:20
↑ 4行目「誤用して用いていた」→「誤って用いていた」ね(恥) 下から2行目「監修者の先生の」→「監修者の先生も」ね(恥) 2ちゃんだから許して。
14 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 14:50
教科書レベルの誤用の話も痛いのですが, 自分の担当授業において,「なぜ実験心理学専攻の私が, 社会心理学系を教えねばならないのだ」ということありませんか. 私なんかその口,じぶんで授業やってて,痛いなーと思いつつ どこかで誤用してるんだろうなぁ.
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 16:51
般教の先生ならまだしも、 APA元会長のBanduraとか、 運動学習の神経機構の研究でノーベル賞の声もある伊藤正男が そんなこと書いてるのはひどすぎないか? それを放置プレイしちゃう他の研究者も悪いが。
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 17:09
負の強化って イメージしにくいんですが、具体的にはどうなんでしょうか? 不安→行動→不安消失 これって負の強化でいいのでしょうか?
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/15(金) 17:39
肩が重い→水子供養する→肩がすっきり なんていうのもそうか?
18 :
Skinner :2000/09/15(金) 18:06
>16@`17 それでその後、当該行動が増えれば負の強化なり。
19 :
伍長 :2000/09/15(金) 18:11
固定ハンを記入するのを忘れていた。3は私です。 >16 動因低減=強化という立場もあるだろうし、そういう強化理論を採用するのだと言ってしまえばOKかもしれないが、 スキナー派の機能的定義の方が明快で、スキナー派以外でも採用している人が多いのではないかな。 「消失」するのは刺激であって、動因や不安が消失するかどうかは別の理論的問題。 行動→刺激消失→行動の生起頻度増大 これが「負の強化」という誰の目にも明らかな現象です。 生起頻度増大がなければ強化とは呼ばないことにしませんか。 具体的イメージとして オモチャ屋の前で子供が泣き喚く→母親が叱り続ける→子供が泣き続ける→母親が折れてオモチャ屋に入る→子供が泣き止む 母親:折れる(行動)→子供が泣き止む(子供の泣き喚きの消失)→「折れる」行動の生起頻度増大 子供:泣き喚く(行動)→母親が折れる(母親の小言の消失)→「泣き喚く」行動の生起頻度増大 >17 実際には、水子供養した直後に肩凝りが治らなければいけないわけですから、 時間的ギャップを埋めるもっと細かな分析が必要。ルールが介在すると思う。
20 :
伍長 :2000/09/15(金) 18:38
そういえば、昔、大きな心理学事典で、 「アベロンの野生児であるカスパーハウザーは・・・」 という記述を読んで、ひっくり返ったことがある。 いつからヴィクトールがドイツ貴族になったんだっちゅうの。
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/16(土) 09:18
このスレッドの影のテーマは、 明らかな誤用が流通しているとき 誰がどのようにして糾していくべきかということだと思う。 研究者個人がクレームつけても限界があるみたいだし、 学会レベルでの対応が必要なのでは? でも、学会内部での統一見解ができていなきゃお話にならないか。
22 :
↑ :2000/09/16(土) 10:39
日心の「原理・方法」で発表しちゃえ。
23 :
半可通 :2000/09/16(土) 15:51
14さんとは逆に自分は社会心理学が専門ですが 心理学概論や行動科学の授業では学習理論を必ず教えます。 佐藤方哉やレイノルズで学んだ私の理解では、 負の強化と罰は(スキナー派の用語では)非対称で、 オペラント直後の刺激の消失によって当該オペラントの出現確率が増大したとき、 その事態を負の強化と呼び、その刺激を嫌悪刺激(=負の強化子)と呼ぶ。 オペラント直後に嫌悪刺激が出現する事態を罰と呼ぶ。 つまり、負の強化を定義する中で嫌悪刺激の概念が導かれ、 さらにそれに基づいて罰が定義されると了解しています。 でも、心理学専攻以外の学生に教えるときはそんなに厳密ではなく、 1さんの言うように負の強化と罰を対比的に教えています。 これは許容されるでしょうか? また、罰に言及していない教科書もありますけど、 罰使用の問題点も含めてやはり教える必要はありますよね? 専門の方のご意見を聞かせてください。
24 :
↑ :2000/09/16(土) 17:46
強化も罰も、その後の反応変化をもとに定義されます。 正の強化:反応→刺激呈示 その後、反応増大 負の強化:反応→刺激除去 その後、反応増大 正の罰:反応→刺激呈示 その後、反応減少 負の罰:反応→刺激除去 その後、反応減少 これが基本です。つまり、操作的定義です。一般には、 快刺激=正の強化子=負の罰子 不快刺激・嫌悪刺激=負の強化子=正の罰子 です。したがって、一般的に、 正の強化:反応→快刺激の呈示(快感情を生む) 負の強化:反応→不快刺激の除去(快感情を生む) 正の罰:反応→不快刺激の呈示(不快感情を生む) 負の罰:反応→快刺激の除去(不快感情を生む) となりますが、上記「=」は常にそうであるとは限りません。 例えば、オスの闘魚が輪くぐりをすれば、他オスの姿を見せるという手続きに より、輪くぐり反応を増大させることができます。操作的にこれは「正の強化」 になります。しかし、他オスは快刺激でしょうか?闘魚のオスは自分の縄張り に侵入してきた他オスを排撃しますから、むしろ不快刺激でしょう。 強化子や罰子はあくまで操作的に決定され、その刺激を動物がどう感じるかとは 別の問題です。最近、日本の行動分析学では強化子・罰子の代わりに好子・嫌子 という言葉を用いようという運動がありますが、上記の理由により私はこれに反 対しています。
25 :
24 :2000/09/16(土) 17:56
続きです。 「罰使用の問題点」については必ずふれて下さい。 しかし、罰は有効です。というか、上の操作的定義により、 反応減少効果のない場合は「罰」ではありません。 私は罰の副作用と罰使用の原則という形で教えています。 しかし、罰の副作用・問題点として挙げられることの多くは 嫌悪感情を生む場合、特に嫌悪刺激呈示による正の罰を念頭において 述べられていると思います。この点をはっきり書いた教科書は日本語 ではあまりないと思います。
26 :
24 :2000/09/16(土) 18:03
連続書きこみ失礼。 Banduraによる「負の強化」という言葉の誤用に関してですが、彼の著作を 読むと、彼は「強化」という言葉を「賞(いわゆる強化)」と「罰」の上位 概念として用いているような気がします。そして「賞」を正の強化、「罰」 を負の強化と呼んでいるようです。 例えば、彼はあの著名な実験に関して「代理賞の効果はなかったが、代理 罰の効果があったので、代理強化効果が認められた」といったことを書いて います。
27 :
半可通 :2000/09/16(土) 23:01
なるほど。 2ちゃんは心理学辞典よりよっぽどためになる。 24さん、ありがとうございます。 ところで概論レベルで「罰」にも「随伴性」にも触れていない教科書は本当に多いですよ。 上のほうで叩かれてたPSW向けの教科書なんて論外ですけど。 専門外の人に学習理論を教えるうえでのミニマル・スタンダードってなんだろ。
28 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/16(土) 23:19
age
29 :
24さんに質問。 :2000/09/17(日) 03:51
「罰の副作用」と「罰使用の原則」とは具体的にはどのようなものですか? また「正の罰」と「負の罰」(=いわゆるタイムアウト?)での違いはありますか? とくに「負の罰」についての詳しい解説を見かけないので,知りたいです。 厨房な質問でごめんなさい。
30 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/17(日) 17:20
心理学って難しいなぁ
31 :
24 :2000/09/17(日) 18:08
罰の副作用(思いついた順) 1.罰子を与える人あるいは周囲の人や物に対する攻撃行動が生じやすい。 2.罰事態からの逃避または罰事態をあらかじめ回避しようとする行動が 生じやすい(逃避・回避行動の負の強化)。 3.対象となっている反応だけでなく、行動の全般的抑制を生じやすい。 4.罰により効果的に行動を減少できると、これは罰子を与える側にとっ て負の強化となり、類似の事態で罰手続きを多用しがちになる。 5.罰子を与える行動を、罰子を受ける人や周囲の人が観察学習する可能 性がある(いたずらして殴られた子供は、殴る行動を学習する)。
32 :
24 :2000/09/17(日) 18:23
罰手続き使用の原則(思いついた順) 1.適度な強度の罰子を用いる (弱すぎると、馴化により効果がなくなるが、不必要に強すぎると 倫理的にも問題) 2.罰事態からの逃避・回避が困難な状況を設定する。 3.対象となっている反応を罰する。罰するのは反応(行動)であって、 人ではない(「罪を憎んで人を憎まず」に通ずるところあり)。 4.対象となっている反応が生じたら、直ちに罰する(即時罰)。 5.対象となっている反応が生じたら、常に罰する(連続罰)。 6.代わりとなる反応を強化する(罰された反応は何らかの強化を受け ていた可能性があるので、失う強化子の補填をする)。 7.対象となっている反応だけでなく、他の反応も記録する (攻撃行動など不適切行動が生じている可能性があるから)。 8.罰子を与える側は自分でもその罰子を経験しておく。 (適切な罰強度の検討に有用、また罰により生じうる副作用をある程度 予測できる)
33 :
24 :2000/09/17(日) 18:46
負の罰はタイムアウト以外にも「弟をいじめたらおやつをあげない」といった 手続き(これを省略訓練という)があります。 負の罰の場合、問題となっている反応をすると負の罰子(通常は、快刺激) が失われる(タイムアウト)か予定されていた負の罰子がキャンセルされる (省略訓練)ます。いいかえれば、問題となっている反応をしなければ、この ような結果を招きません。したがって、問題となっている反応以外の反応が現 れた場合に正の強化子を得ることになります。 もちろんこれは、正の罰についてもそうで、この場合、問題となっている反 応以外の反応が現れた場合に負の強化子を得ることになります。 どのような反応が他行動として出現するか、これは刺激の特性にある程度依 存しますから、通常、嫌悪刺激を用いる正の罰と、通常、快刺激を用いる負の 罰では異なると考えられます。 具体的には、負の罰の場合、上記の「罰手続き使用の原則」のうち、6と7 に特に注意する必要があるでしょう。逆に、「罰の副作用」のうち3は無視し てよい(むしろ反応の全般的増大がみられることあり)でしょう。
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/17(日) 23:51
>伍長氏 >「消失」するのは刺激であって、動因や不安が消失するかどうかは別の理論的問題。 不安は刺激と考えたらだめなのかな? 反応→不安消失 は負の強化ではダメ?
35 :
心理学教授 :2000/09/19(火) 00:51
平成12年度後期,心理学Uの受講生諸君! 今度の試験範囲はこのスレッドだ。
36 :
伍長 :2000/09/19(火) 01:42
>34さん 「不安」の定義は? まあ、34さんの自由ですが、私はイヤ。 35の先生?の試験では、相当な根拠を書かないと、たぶん点をくれないのではないかと・・・ どうなんでしょう? 先生。
37 :
マルシンド :2000/09/19(火) 19:11
24さんが正確に書いてくれた内容,俺は 心理学科じゃない大学の教養の心理学でも 必ず教えてるよ. みんな一体何を教えてるんじゃ?
38 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/20(水) 10:13
マルシンドさんが教えている大学は日本語が通じるところらしいから羨ましい。 私が教えている大学は「劣等感」が読めなくて試験中に質問する奴がいるようなところです。 (ちなみに私大歯学部ね) そんなところでこのスレッドを試験範囲にしたら... 80%は不合格でしょうね。
39 :
マルシンド :2000/09/20(水) 12:35
俺は介護系の専門学校とかもっと「レベルの低い」ところでも 同じことを教え方は様々だが教えているよ. 試験も論述式でも大丈夫なくらい理解度も高いよ, こういう問題って日常生活に直結してて教えやすいと 思うけどなあ.
40 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/20(水) 13:20
最近の概論用教科書での「学習」の扱いは, 学派の勢力関係を反映してか(失礼)相対的に減っていて, 記憶研究の中の一分野という位置づけになりつつありますね。 (かつて記憶を言語学習と言い換えていた時代がありました・・・) 記述の詳しさ,正確さの点でも概論用教科書はこのスレッドにはるかに及びません。 日本全国の大学・専門学校で講じられている心理学の内容も 教科書のレベルから推して知るべしでしょう。 でも学習理論は20世紀心理学の成果の最も重要な部分ですし, 今後も有効でありつづけると思います。 最近の学生は教科書に太字で書いてあることしか覚えないようですから, ここに集ってらっしゃる先生方の力を結集して このスレ程度の内容を太字で書いた教科書を作ってくださいませんか。 (皮肉ではありません)
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/20(水) 14:41
スレの趣旨から外れますが、 行動分析系の先生方が勢ぞろいしているようなので質問させてください。 先生方は概論の授業をなさる場合、精神分析をどう扱いますか? まったく触れない? 批判的に紹介する? 精神分析系の先生方にも逆の質問をぶつけてみたいですが。 自分の学問的立場と相容れない内容の扱い方はどうあるべきなのでしょうか。
42 :
>40 :2000/09/20(水) 16:12
43 :
マルシンド :2000/09/20(水) 18:37
>41 これは他の「行動分析系」とは少し違うと思うけど, 俺はフロイトや精神分析はちゃんと評価している. フロイトの業績は「意識が行動を決定していない」ことを 明らかにしたこと.そして,精神分析は行動を「無意識」という 意識のメタファーを使って説明した. 一方行動主義は「環境との相互作用」から行動を説明した. 俺はフロイトがいなければ行動主義もなかったかも知れないと 思っている. で,授業でも最初に「心理学の目的と心理学史」について 述べる時に,そう教えている. そして,異常行動の分析と治療といった単元で 再び精神分析を取り上げ,行動療法との違いを明確にした 上で,「問題行動の」治療法としての行動療法の優位性と 「人間と状況をとらえるメタファー」としての精神分析の 意義を論じる. ほんとに評価していない理論や分野についてはまったく触れない. 不公平で不十分な教え方をするのはよくない. とくに「教養の心理学」では心理学の知識を概論的に述べるより 「心理学的な考え方」(行動と心に関する常識や意識を疑う) ことを伝えることが大事だと思うから.
44 :
伍長 :2000/09/21(木) 01:40
>記述の詳しさ,正確さの点でも概論用教科書はこのスレッドにはるかに及びません。 >日本全国の大学・専門学校で講じられている心理学の内容も >教科書のレベルから推して知るべしでしょう。 ふーん。私、他専攻の人間で、学生時代に学習理論(行動分析だけでなく)を個人的に勉強した者ですが、 このスレッドの内容って、基礎的で、別に高度だとは思わないんですよね。 たしかに、専門外の人(特に教育系、次いで臨床系)が書いた教科書はデタラメが目立ちましたが、 『学習心理学』の名を冠した教科書はちゃんとしてましたよ。少なくとも私が読んだものは。 『心理学概論』みたいな本でも、『図説・現代の心理学』だったかな、シリーズものの翻訳本なんかは楽しい内容だった。 各章に、SF作家兼科学評論家のアシモフ(合掌。もう新作は読めない・・・)の洒落たコメントなんかが載ってたりして。「学習」以外の部分はコメントできる立場じゃないけど。
45 :
41です。 :2000/09/22(金) 00:20
>43 丁寧に答えていただき、ありがとうございます。 マルシンドさんのようにご自分の方法論について明確な哲学を持ちつつ、 幅広い視野で学問を語れる方に私も学んでみたいです。 >44 ほかのスレで展開されているマルシンドさんとの掛け合いを興味深く拝見しています。 伍長さんは心理学プロパーではないのですね。 でも伍長さんのような存在が心理学を鍛えていくために是非とも必要です。 これからも心理学を叱り、また励ましてください。 なんか、心理学の代表みたいな言い方をしてすんまそん。
46 :
心理学教授 :2000/09/23(土) 03:29
心理学徒なら、このスレ全部読んでおけ!
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/23(土) 17:59
平成八年度臨床心理士試験から‥‥‥ オペラント条件付けに関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。 a、中枢神経系が関与する随意反応のみに適用される。 b、強化スケジュールには連続強化法と間欠強化法がある。 c、報酬訓練、回避訓練、弁別訓練などの形式がある。 d、弁別刺激はあるオペラントの出現に先行(同伴)する刺激で、それが 提示されるとオペラントの出現頻度が増大する。 e、負の強化とは、あるオペラント行動に続いて嫌悪刺激を呈示する 操作で、そのオペラント行動を減少させる。 正解(間違った記述)はeだそうで、この問題を作った人は(正の)罰との区別をつけている。 ただし、間違った記述はeだけじゃなくてもう2つある。 aは、中枢神経系のない動物や神経細胞1つでもオペラント条件づけが生じるから×。 dは、反応を低下させたり(例:「止めっ」という教示)、反応の型を変えたり (例:赤なら左、緑なら右;緑なら速く反応、黄ならゆっくり反応)する刺激も 弁別刺激だから×。 bも消去スケジュールがあるから、完全な文とはいえないが間違いではない。 これが大学入試なら出題ミスということで新聞記事になる。
48 :
↑ :2000/09/23(土) 18:59
こんな試験受けさせられる臨床の院生もかわいそうだけど、 こんな試験で資格をもらえる臨床心理士っていうのも...。
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/23(土) 22:09
いっそのこと、この板で「心理学共通一次試験」でもやりますか? ...世代がバレてしまう。
50 :
↑ :2000/09/24(日) 09:54
冗談だとは思うがあえてマジレス. 「共通一次」なんかできないし,する必要もないというのが 心理学の現状だし,かつ,面白さだと思うね. だって,「答えがひとつ」の問題をいったい何問作れる? 答えがひとつなのが良い学問,というのが20世紀の学問 答えの多様性も社会的文脈の中で許容するのが21世紀の学問, とは考えられないかなあ.
51 :
↑ :2000/09/24(日) 23:45
でも、択一式の試験問題の正解は一つにしておいてほしいなあ。
52 :
>47 :2000/09/25(月) 07:39
解説中にある 「神経細胞1つでもオペラント条件づけが生じる」ことを示す研究は どのようなものですか? 教えてください。
53 :
47 :2000/09/25(月) 15:32
例えば、ラットの海馬から神経細胞を1つ取り出して、3回発火するたびに ドーパミンを与えるようにすると、発火頻度が増える。ドーパミンを与える のを止めると発火頻度は減少。発火と無関係にドーパミンを与えても発火頻 度はほとんど増えない。論文は以下の通り。 Stein L@` Xue BG@` Belluzzi JD. In vitro reinforcement of hippocampal bursting: A search for Skinner's atoms of behavior. J Exp Anal Behav. 1994 Mar;61(2):155-68. Xue BG@` Belluzzi JD@` Stein L. Related Articles In vitro reinforcement of hippocampal bursting by the cannabinoid receptor agonist (-)-CP-55@`940. Brain Res. 1993 Oct 29;626(1-2):272-7. Stein L@` Xue BG@` Belluzzi JD A cellular analogue of operant conditioning. J Exp Anal Behav. 1993 Jul;60(1):41-53.
54 :
52 :2000/09/25(月) 23:15
>47 文献まで示してくださってありがとうございます。 ドーパミンが強化子になっているんですね。 オペラント学習は個体レベルの行動ダーウィニズムであり、 エーデルマンの主張する神経ダーウィニズムと平行関係にあるというようなことを 「脳から心へ・心の進化の生物学」のあとがきで金子隆芳先生が述べていたのですが、 これらは両者を結びつける研究といえるかもしれませんね。
55 :
52 :2000/09/25(月) 23:26
ところで、もうひとつ厨房な質問なのですが、 ”Xue”という名前は何と発音するのでしょう?
56 :
ヒッキーKAN :2000/09/26(火) 06:51
>マルシンドさん 勉強になります。 僕は、うつ治療の足しになるようにと、 心理学の勉強を試みたことがありましたが、 類型論や発達段階をみて、「使えねえ」 と、投げ出したままでした。 でも、43のレスをみて、心理学にも実践的な 分野があると知り、感動しました。 これからも祈・永久age
57 :
テクノ湯 :2000/09/26(火) 08:11
おれも56のようにうつ治療のヒントを心理学に求めたが、 行動主義だけではちょっと物足りないような気がするのだが。
58 :
47 :2000/09/26(火) 10:45
>>52 =54
Xueをなんて読むかはわからないですね。「スー」かなぁ?
残り2人の方がこの研究のメインで、この人はその下で仕事している人では?
とりあえず、『固有名詞英語発音辞典』(三省堂)で調べてみたけど、載っ
てませんので、お手上げです。
>>57 うつなら、学習心理ではSeligmanあたりと認知行動療法の流れを勉強した方が
いいでしょう。
徹底的行動主義では、多くの行動が強化をもたらすような環境を設定していく
ような介入をするだろうけど、これは日常生活では非常に困難。1人のうつ者
に数人の行動分析家がついて始終行動を見てないと無理だと思う。自己モニタ
リングという方法があると反論されそうだけど、これはそもそもうつ者には向
いていないと思う。
59 :
テクノ湯 :2000/09/27(水) 07:03
>47 レスどうも。 最近、かなり興味あったのは、うつを徹底的行動主義ではどうとらえるか なんだが。内的言語行動も対象にできるとうたうくせに、実際可能なのかな? 否定的言語行動の機能を考えようと思ってもさっぱり検討つかぬ。 逆にいえば、機能もわからないのに、否定的言語行動を変容しようと思っても、 無理じゃないのかという気もするのだが。
60 :
52 :2000/09/27(水) 07:49
>47 わずらわせて申し訳ありません。 私も「スー」だと思うのですが。
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/09/28(木) 18:15
あげ
62 :
52 :2000/09/28(木) 23:40
>47 TVを観ていて気づいたのですが、 オリンピックの新種目のシンクロナイズド・ダイビングで 金メダルを取った中国の選手の一人が「桑 雪」で、 その英語表記が”Xue”でした。 でも発音は...聞こえなかった。
63 :
テクノアイランド :2000/09/29(金) 00:05
>52 Xueを中国語で読む場合は「シュエ」と読むのだ。 >テクノ湯 そのHNはもしかしたら......
64 :
52 :2000/09/29(金) 16:05
>63 ご教授ありがとうございます。 もの知りさんが見てくれていてよかった。
65 :
テクノ湯 :2000/09/30(土) 18:38
>63 バレてるみたいね。失礼。
66 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/03(火) 17:52
そういえば、昔の誠信書房の心理学事典も、「負の強化」を「罰」と混同してたな。 今はどうなってる?
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/11(水) 12:43
自らの心の病の治療と理解のために 心理学を勉強してる人って結構いるんだね。 そういう人にも読んでもらいたいから、あげとく。
68 :
伍長 :2000/10/12(木) 01:12
「神経細胞1つでもオペラント条件づけが生じる」話は驚いた。 これって、オペラント条件づけの起源と関係あるんですかね? それと、58でせっかくSeligmanの名があがっているので、 「学習性無力感」と「うつ」との関係を誰か解説してくれませんか? スレッドのタイトルと全く関係ないわけでもないし、56@`57両氏のためにも。 文献を読めって言われそうだけど、そこを何とか一つよろしく。
69 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/12(木) 06:43
>自らの心の病の治療と理解のために >心理学を勉強してる人って結構いるんだね。 ほとんど役に立たないけどね>心理学 勉強してよけい悪くなることは多いけど。
70 :
↑ :2000/10/12(木) 07:11
それは勉強不足でしょ。
71 :
69 :2000/10/12(木) 07:29
>70 ほんとに役にたたないって。 心理学なんかやるとよけい意識が病気に むかっちゃって鬱々になるっていうパターンがほとんど。 心理学なんてそんなもんだよ。 バカなカウンセラーは崇め祭ってるけど。病気の経験が ないから何もわかってないんだよね。空想してるだけだから。
72 :
↑ :2000/10/12(木) 07:34
正確に言うと、心理学は本来、 心の病の治療を目的とする学問ではないということだな。 それを知らずに中途半端にはまると悪化させることもあるだろう。
73 :
>69 :2000/10/12(木) 07:40
あと心理学とカウンセリングを同一視するのはやめてね。
74 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/12(木) 09:19
自分の病気が治らないのをカウンセラーのせいにして暴れておられるだけです。 同情はしてあげましょう。
75 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/30(月) 01:42
あげ
76 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/30(月) 01:49
なるほど。いつも朝の6時から7時にあばれるわけか。
77 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/30(月) 02:04
他のレスでカウンセラーがアテにならないようなので、 (実情聞いたらサギみたいなんだもん。 問題の表現を言い変えてるだけで、解決しない。) 自分でどーにかするしかないという(病気じゃないんですけど、 悩みがあるので)自衛なんですが。心理学への興味。 (しかし、カウンセラーって自分の悩みはどうやって 解決してるんだ・・・。)趣旨違いですみません。
78 :
>77 :2000/10/30(月) 07:40
表現を言い換えるだけで解決する問題もあるんです。
79 :
こころある名なしさん :2000/10/30(月) 07:50
このスレで論じられていることは心理学の基礎知識。 心理学徒も悩める人も、みんなこのスレ最初から読んでみて。 もっとも後者の人の役に立つ保証はないが。
80 :
テクノ湯 :2000/10/30(月) 21:51
>伍長氏 >それと、58でせっかくSeligmanの名があがっているので、 >「学習性無力感」と「うつ」との関係を誰か解説してくれませんか? 対処不可能な嫌悪的な出来事を伴う経験は、学習の低下をきたす。 ↓ 行動レパートリーの獲得に問題がでてくる。 ↓ 貧弱な行動レパートリーは社会的強化子の少なさに繋がるので、 喪失体験(強化子が受け取れない)時、他の強化随伴性で置き換えることができない。 ↓ 抑うつ状態 と考えたが、私は心理学者ではないので、訂正をよろしく。
81 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/31(火) 00:01
>問題の表現を言い変えてるだけで、解決しない。 心の問題というのは悪性腫瘍とはちがう。取り去るという事はできない。 「日常で防衛・解決していた問題」→なんらかの契機→「心の問題」or「症状」 となっている場合が多いのだから、その位置をもとに戻す事で治療になるという理屈。 口先で言いかえるのではない。あなたの心の中の意味を言いかえるのだな。
82 :
77 :2000/10/31(火) 05:38
あー、どうもお騒がせしてすみません。 (さすがに、オペラントは聞いたことあります。) >81ゲシュタルトの問題?
83 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/11/01(水) 04:21
>82 趣旨が違う
84 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/11/05(日) 13:57
agetoku
85 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/11/10(金) 02:11
86 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/11/11(土) 19:04
1
87 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/11/12(日) 20:16
88 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/11/15(水) 14:21
>80 多分,行動分析的には以下のようだと思います。 1.自発反応に対し,嫌悪刺激や消去事象が生じる。 2.自発反応の生起頻度が減少する。 3.1.2.が繰り返されることにより,先行条件である条件性刺激や,文脈刺激が反応の生起頻度を低下させる。 4.条件性刺激や文脈刺激が場面般化をする。 →この自発反応の低下状態が学習性無力感であると考えられます。 問題は,レパートリーが獲得されないことではなく,行動が自発されないことと,罰コントロールが続くことにより,先行刺激への過敏性が生じることが問題であると思います。 行動分析的なアプローチとしては,系統的脱感作とリラクゼーション(嫌悪刺激がレスポンデントな反応と結びつくためと過敏性への対応),適切なレパートリがなければSST(Social Skill Training)などを行います。 ただし,鬱病自体は脳内の伝達物質の分泌異常という病理的な問題もあるので,投薬による治療が中心になると思われます。 鬱病と学習性無力感の関係は,風邪と熱のようなかんけいではないかと考えられます。 風邪というのは,病気の名称です。熱というのは症状を差す言葉です。ただし,風邪でなくても熱は出ます。 つまり,学習性の無力感は,前述のような構造により自発の反応の生起頻度が減少している状態を指す言葉で,医学的な診断でも定常的な状態でもありません。 それに対し鬱は,安定した状態を指します。 学習性の無力感を生むような状態が長く続くことが鬱につながる可能性はありますが,イコールではないというところではないでしょうか?
89 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :
2000/12/09(土) 00:35 こんなに勉強になるスレもあったのか。