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140没個性化されたレス↓
人間を高度に合理的かつ聡明なものとみなさず、
極めて非合理的で誤りを犯しやすい存在であると
し、その個々人の誤りは社会的過程を通じてのみ
訂正されると考え、 不完全な材料をできるだけよ
く活用することをめざす接近方法は、おそらく英国
の個人主義の最も際立った特色であろう。そしてこ
の反合理主義的接近方法がイギリス思想界において
優勢であるのは、主としてバーナード・マンドヴィル
の与えた深い影響によるものと私には思われる。

F・A・ ハイエク
141没個性化されたレス↓:2008/02/24(日) 19:22:54
ポパーといえば日本では「反証可能性」とか「歴史法則主義」などの科学的思惟の方法論
の哲学者として高く評価されながら、その業績全体が間接的に保守主義思想を擁護するも
のになっている。
ポパー哲学の核心については、なぜか積極的に無視されてきた。
しかし、ポパー哲学が批判の対象としたのは、ことごとく保守主義に敵対する思想である。
保守主義を守らんとする者にとって、ポパー哲学の知見は必携である。

日本の学界は戦前からヘーゲルになぜかひどく魅せられて来た。
マルクス主義を断固としてはねつけた西田幾多郎ほどの碩学でさえヘーゲルを頻繁に引用し
ヘーゲルにのめりこんでいった。
このような日本において、本格的なヘーゲル批判の書であるポパーの「開かれた社会と
その敵」が邦訳された時、日本でもヘーゲル離れが進むと考えられたがそうはならなかった。
この原因は、日本のポパー研究者はポパー哲学を恣意的なつまみ食いをしてヘーゲル批判の
部分を存在しないことにしたからである。
142没個性化されたレス↓:2008/02/24(日) 19:23:31
日本の学会、メディア界、教育界をしてマルクス主義を残存せしめているのは
マルクス主義の論理が弁証法で武装されているからである。
マルクスがヘーゲルを継承し発展させた弁証法は、マルクス主義に対する批判
の一切を無視することを正当化するばかりか、この批判に逆襲する情動に駆ら
せる宗教的魔力を持つ。
143没個性化されたレス↓:2008/02/24(日) 19:24:23
弁証法は自己への批判を封殺する論法でもある。
実際にヘーゲルは「弁証法は普遍的で抵抗できない神の力であるから、<弁証法の前>
という裁きの庭に引き出されればどんなに確固たる真理であっても真理であり続けるこ
とはできない」と、弁証法に基づく公理に反するものはすべて、仮に科学的真理であろ
うと神の力に裁かれて科学的真理であることはできなくなるとヘーゲルは考えたのだ。
この故にポパーは、弁証法とは「全く科学的内容をもっておらず、形而上学的である。
弁証法は非科学的である」との結論に至った。
テーゼとアンチテーゼの間の矛盾について、この矛盾がジンテーゼへと進歩するから、
つまり建設的で有益だからこの矛盾を容認すべきである、との弁証法論は、矛盾の解決
という試行錯誤を排除することにおいて、真理の探究を阻害するとポパーは言う。
(「ひとたび矛盾が容認されるなら、一切の科学が崩壊せざるをえない。矛盾が望まし
いとするなら、矛盾を排除する必要は無くなり、一切の進歩が終焉せざるをえない」)
144没個性化されたレス↓:2008/02/24(日) 19:24:45
ポパーは全体主義思想の系図にあるヘーゲル/コント/マルクス/J.S.
ミルらを一くくりにして「神託的哲学」とした。
これは、ポパーの学問的功績の1つである。
預言者ぶるこの4名の思惟方法を「歴史法則主義(historicism)」
あるいは「神託的哲学」と名づけて一括して論証したのだ。
預言者マルクスの予言が「社会科学が隠されている未来を解き明かす」
という神託に過ぎないことを明らかにした。マルクスは社会科学と自然
科学とを完全に混同した。この点に関する論証でポパーを凌ぐ者はいない。