戦略検討のために、答案からいまの学生の宇宙イメージのありようを
分析してみた。
1.宇宙と人間とのつながりが見出せず、人間(自分)を宇宙において
きわめてちっぽけなものと見なす世界観。
最初に書いたのはこれだが、これがいちばん数としては多い。自然
科学的宇宙イメージの影響が大きく、それをほとんど内在化している
グループだ。
これに関してはシュタイナーの『教育の基礎としての一般人間学』です
でに言われている。
人びとは魂を通して宇宙全体と結びつく可能性を完全に失っています。
人びとは人間の魂の本質が全宇宙と関連しているということを理解
することができないのです。ひとりの人間と宇宙全体との関連が明ら
かに理解できた時はじめて、人間本性そのものについての理解が
生じてくるのです。 P21-22 一部改変
これは「唯物主義的ニヒリズム」である。私は文章を通して、魂レベルの
不安や戸惑いを感ずる。「なぜ私はここにいるの?」という魂の声が
聞こえ、それがまた「いったいお前は何をなしえたのだ?」という声が
無数の黒い鳥のように私の頭を旋回し始めるという悪夢がイメージされ
る。まあこれが「がっくし」の最大の原因であった。私は「人間と宇宙は
無関係ではなく、宇宙において人間は確固たる存在の意味を持って
いる」ことを示す霊的な義務があったのである。そのことを自覚できな
かったのは大きな失点であった。
唯物主義的ニヒリズムに影響されてしまうのは、つまり世界観的に
素朴実在論から離陸することができていないからである。素朴実在論
が科学理論信仰と結合しているのが現代の唯物主義の特徴である。
したがってこのグループに対する戦略は、素朴実在論を徹底的に解体
することによって、「存在の問い」という疑念を魂に呼び起こすことである。
すべて理解できる者はおそらくいないであろう。しかし、少なくともその
「問い」だけでも魂の中に呼び起こせるならば、いつか自分自身でその
答えを見出すこともできるに違いない。それは、今生という範囲のことか
はわからないが、そのように「種を蒔く」ことが私の任務でもある。