医者なんですが、医療事故の社会心理学的分析を

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1医者ですが:02/02/16 01:22
こんばんは。私は医者ですが、医療事故を心理学者がどう分析して
いるか、聞かせて頂けませんか。浅学で恥ずかしいのですが、
社会心理学に「社会的手抜き」という概念が有りますよね。
(綱引きに参加する人の数を増やすと、一人の出す力が下がるとか)
医療の現場に居る者として、これなどは、医療事故の誘引として
非常に大きなものではないかと思います。こんな事を考えて
いますが、現場の医者と社会心理学者の方たちの間の意見交換が
出来れば、と思います。
2名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/16 01:32
とても有意義で建設的な提案だと思いますが,
残念ながらこの2ちゃんねる心理学板には
意見交換ができるほど専門家が揃っておりません。
とりあえず私の知る限りで関連する本やサイトをご紹介しますので,
参考になさってください。
3名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/16 01:38
>1
たぶん心理学の知識と現場の知識が合わさらなければなんとも言えないんじゃ
ないかと。
4名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/16 01:41
>>2
ありがとうございます。実は、私は、某心理学者のメルマガの
愛読者なんです。数年前、務めていた国立病院で医療事故に
関する研究会があったんですが、その会で、社会心理学の
「社会的手抜き」の話を受け売りでしてみました。そうしたら、
同僚の医師達は物凄く関心を示したんです。ところが、意地の
悪い事務長が私の話をさえぎって、議論を深められませんでした。
憂さ晴らしではないのですが、この板は心理学のプロが沢山
居そうで期待しているのですが。
5医者ですが:02/02/16 01:42
あ、4は私です。
62:02/02/16 01:46
まずは心理学者による実際の医療事故事例(それも有名な)の研究報告。
http://revir.cc.yokohama-cu.ac.jp/safety/
7医者ですが:02/02/16 02:00
>>6
ありがとうございます。
82:02/02/16 02:23
ちょっと回線の状態が悪く,のろまですみません。

書籍で参考になりそうなものは,
山内桂子・山内隆久 『医療事故/なぜ起こるのか,どうしたら防げるのか』 朝日新聞社
大山正・丸山康則編 『ヒューマンエラーの心理学/医療・交通・原子力事故はなぜ起こるのか』 麗澤大学出版会
吉川肇子 『リスク・コミュニケーション』 福村出版
亀田達也『合議の知を求めて』 認知科学モノグラフ3 共立出版
海保博之 『人はなぜ誤るのか』 福村出版
海保・田辺 『ワードマップ/ヒューマン・エラー』 新曜社
海保・原田・黒須 『ワードマップ/認知的インターフェイス』 新曜社
ノーマン 『誰のためのデザイン?』 新曜社
正田 亘 『安全心理学』 恒星社厚生閣

また見つけたら書き込んでおきます。
9医者ですが:02/02/16 02:34
>>8

同僚ともども、御教示に深謝致します。
10PPP:02/02/16 03:36
医者とそれ以外の人間の立場の強さの違いってのも関係あるって書いてある本を読んだことがあるな.
昔のことだから詳しく覚えてねぇが.
こういう他分野との共同研究ってやってみてぇな.
11名無しさん@お腹へった:02/02/16 06:24
>>1さん

こういう話をして意味があるかどうか分からないけれど...

「社会的手抜きという現象がある」という事が指摘されていても、
それをどうやって解決するかについては、共通の見解、ないしは、
「こうすれば絶対OK!」っていう、解決方法は、特に提案されていないんですよ。

だから、3さんが言ってるように「じゃあどうやればみんなが手抜きしない
ようになるか」は、1さん達が、現場に則した方法を考えていくしか
ないのではないかと思います。

心理学者的なアドバイスをするとすれば、6で紹介されている報告書の
「まとめ」の1、つまり、
>(1)事故の抑止にあたっては、「エラーを犯す個人」との前提にたって、
エラーの検出および制御のしくみをデザインことが肝腎である。具体的
には、医療作業中のエラーに関する「気づき」を集約、照合・確認する
「情報集約センター」のような役割を以下を果たす存在の設置が望まれ
る。

というように、「気合いをかけて“エラーをなくせ!”と叫んでも、
エラーは絶対になくならない」という事実を受け入れた上で、
「エラーが起こっても、誰かがそれ見つけて、解決できる“システム”作り」
を強調されるのが有効かと思います。
12名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/16 06:32
駅員さんとかが「何とかよ〜し」と声を出して確認するのも
エラーを無くす為の工夫の一つだよね。
心理学が貢献したのかよくわからんけど。
>12
エラーが生じるという経験的知識も、
それを防ぐための手法も、心理学発生前からとっくにあったのだと思う。

医者の例だと、「ヒヤリとした・ハッとした」事例を収集して、
「どういう状況で事故が起こるか、何に気をつけたらいいか」
なんていう研究をしている人がいるそうだけど、
それだって心理学と直接は関係あるまい。
心理学はメカニズムを明かしはしても、
常識的に思う以上の対処法を心理学で作れることは、
実際にはそんなにないんじゃないかねえ。
14メンドクセェ:02/02/16 15:41
>心理学はメカニズムを明かしはしても、
>常識的に思う以上の対処法を心理学で作れることは、
>実際にはそんなにないんじゃないかねえ。

その常識的対処が出来ていないのが、ヒエラルキー構造の病院世界なのだよ。
常識は通用しない世界であると思われ。
医者や茄子をはじめとする医療従事者は学校を卒業するとそのまま病院に
入院するため、社会に出たことがない。
しかも病院の世界はなかなか閉鎖的だから、入った病院でなされていることが
正しいと思ってしまう(というか思わなければ排斥される)。

結構憶測入っているとは思うけどこれに近いのではないかと。
1513:02/02/16 15:45
日本の現状はひどいからねえ。まあ、保険保険のアメリカ流が正しいとは言い切れないが、
少なくともミスを防ぐという意味では保険会社の力が医者を上回る体制は頼もしいわな。
16名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/16 22:02
「医療事故/なぜ起こるのか,どうすれば防げるのか」の著者で
北九州市立大学教授(社会心理学)の山内隆久氏は,
2月14日,慢性骨髄性白血病で逝去なさいました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
17名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/17 00:00
>>16
おいくつだったのですか?
18名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/17 00:11
享年50。
若すぎる死です。
妻の桂子さんは上記の本の共著者であり,
>>6の研究報告でも共同で2つの章を担当しています。
19名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/17 14:23
山内先生の死去を>>16で知り、大変残念です。

医療を社会心理学的に捉える人が居ていいはず、しかし実際にそのような研究は多くなく、
あっても医療現場から見れば実に粗雑で的外れなものが多く、徒労を感じていたところ、
「医療事故」を読み、やっときちんと実際的に問題を捉える人が現れたのだな、
このような人とだったら一緒にやれる、と思っていたところでした。
20わんだ:02/02/17 14:33
>「医者なんですが」さん
リスクマネジメントについての業務をなさっている方ですか。
現在病院で行われている「ヒヤリ・ハット」がどのようにシステムとして変貌していくのか、
大変関心があります。
できましたら、現在なさっている活動についてお教え願えませんか。
>>13,14
腐れ厨房逝ってよし
>>14,15の間違い
13=15 結局同じこと
24名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/22 20:07
情報募集あげ
25名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/22 20:09
此処に医者がくると思う?
26名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/12 23:55
関連質問が来ていたので
あげておく。
27横レススマソ:02/03/13 03:17
私は人間工学を専攻してて、昔この手の研究を同僚がやってたことがあります。
実際現場行って調査していたのですが、現場の協力が仰げないこと時としてあります。
事故とかエラーに関する調査をしたくても、調査そのものを嫌がったり、
インタビューできても世間体を気にしてなかなか本音を話してくれなかったそうです。
たしかに、実際そういう研究に協力してる、ということになると、
「そこに事故があったのか」とか思われるのかもしれませんね。
2827:02/03/13 20:31
×「そこに事故があったのか」
○「この病院では事故みたいなことがあったのか」
29名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/30 02:14
おや,気づかぬうちに人間工学徒の書き込みが。
横レスなどと遠慮せずに,ageてくださいよ。
30名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/01 23:46
ヒヤリ・ハットは建設業界では意識する必要がないほど浸透している。
死ぬのは結局自分たちだからな。
医療業界に、本当にヒヤリ・ハットが浸透するだろうか。
死ぬのは結局患者たちだからな。

まず針刺し事故等の、「本気になれるネタ」を提供してやるのが重要と思われ
31名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/02 12:06
>30
針刺しで痛いのは看護婦。実権もってるのは、医者or事務長。
いまのところ、ヒューマンエラー絡みの医療事故は、看護婦の確認ミスになる
ところが多い。実行不可能なくらい、あらゆることの最終確認することに
なってるからねぇ。

誤診・誤判断でないかぎり、医者は傷つかない。
3231:02/04/02 12:09
>1
「社会的手抜き」よりも、勤務シフトとか労働時間の問題の方が、
大きいんでないかい。
準夜勤→夜勤→日勤なんてすりゃ、そりゃミスもおこるよ。病
院あたりの医者、看護婦数が少ない、とか研修医の宿直ってのが、
最大の問題。
33名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/02 12:25
針刺し事故って?
34名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/02 13:19
使用後の点滴や注射器の針を医療スタッフが誤って自分の体に刺し,
肝炎ウイルスやHIVなどに感染する事故。
35名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/02 15:33
>>34
ありがと。
怖いね
36名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/03 11:35
>31
では医者or事務長が傷つくネタって?何かある?
板違いかな
37=36=30:02/04/03 12:08
あ失礼
>誤診・誤判断でないかぎり
よく読んでなかった。

社会的に「死ぬ」ことへの恐怖を煽るのがいいのかな。
ミスは全て晒しますみたいな。
患者のプライバシーの問題以前にクリアせにゃならんこともありそうだが。
転じて労働環境改善の動きになればいいんでは。

まずは看護婦による指差し点呼奨励きぼーんw
逆効果だよ。
そんなことになったら、余計ミスを隠して罰を避ける方向に人は動く。
今の日本の医療過誤の問題はそういうところに根ざしてる。
ミスをするのは当たり前なんだから、免責にしてでも正しく状況を報告させ、
今後に生かしていく、というのがアメリカのやり方。
ちなみに、社会心理学じゃなく、スキナーだが。
罰を与えれば、人は行動を改めるより罰を避けるように動く、ってな。
嫌子なき医療改革を、ミスに罰を与えるより、
素直にミスを認める医者に好子を与えましょう、と。
もっとも、悪質な隠蔽工作には厳粛な刑事処罰が必要だろう。
ミスは仕方ないが、隠蔽工作は仕方ないでは済まされない。
うーん
軽微なミスを匿名でもなんでも報告させることで、情報を共有化し、
ハインリッヒの法則あたりまでは最低認識してもらう、と。
それが嫌子に基づいちゃ逆効果なんで、なんか強化スケジュールを考える、と。
大事故につながるようなヒヤリ・ハットは表に出したがらないのが通例、
その遠因を手繰っていくと慣れによる手抜きや横着だったり。
すべて晒しますではなく、軽微なミスを隠匿し続けた奴は晒す、かな。
ともかく隠匿=保身ではないよという状況をつくる。

大昔に心理学の基礎を学んだ筈の、知ったか春厨ニアリーな私、
スレ違い方向にしか書けないし、逝きます。
追記:建築におけるヒヤリ・ハットは、「高所」「労災」「KY活動」なんかもいいが
「職長」「TBM」なんかと一緒に検索すると現場が見えてくる。
42名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/17 17:22
医療事故対策会議の報告書が出たようだ。
厚生労働省もやっと本腰を入れ始めたようだね。
43名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/17 17:26
インシデントレポートのフォーマットがなぁ、、。
あれ読んでも、まともな事故分析ができん。
何も無いよりはましなんだけど、もうちと何とかならんものか。
44名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/17 00:58
保全あげ
45名無しさん@お腹いっぱい。:02/06/26 03:54
保全あげ
46moronian linguist:02/06/26 23:17
>1

詳しくないのですが、おそらく「帰属理論」または「原因帰属」をキーワードに
探って見られると有意義な知見がみつかるのではないかと思います。英語なら、

attribution theory

および

causal attribution

ですね。集団の中でなにか重大な出来事があった場合に、そのできごとを何の、
もしくは誰のせいにしたがるか、について的をしぼった推論をきかせてくれる
のは、この連中です。
47名無しさん@お腹いっぱい。
医者の持つ権威が医療事故につながったと言う事例が紹介されています。
結構有名な本だけど、チャルディーニの「影響力の武器」誠信書房
耳の薬の投与で、R earをRearとまちがえて、看護婦が肛門に耳の薬を入れたという話
社会的手抜きとはややずれますが