『統合失調症』

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676日本の精神医学教育の問題点

「この静的及び発生的了解という認識のニ源泉は学問的でないといって斥け、
感覚的に知覚できるものだけを取上げ、感覚的なものを通して了解された
ものは客観的なものとして取上げられないという人がある。けれどもこれが
究極の認識の源泉とすることが正しいという証明はできないので、そういう
人に反対することもできない。」
          『精神病理学原論』K. JASPERS みすず書房 28P

 この「了解」という概念を金科玉条とした日本の精神医学教育は、極めて
問題がある。「精神分裂病」ないし「統合失調症」という疾病概念は、
「了解」という不明確な概念を巧妙に誤用する。

「統合失調症」という疾病概念は自己完結的なものであり、拡大解釈によって
逸脱行動をほぼすべてその枠内で理解できるように組み立てられている。それ
に反論をとなえると「病識」や「悪化」いう概念を用いてその体系への回帰を
促すなど、まさにその病名を科された者の人権を踏みにじり、非人間化する危
険な差別概念である。そして、その病名を科されたことや強制的入院による二
次的な心的外傷後ストレス傷害の過酷さを無視し、その収縮/狭窄症状をも統
合失調症の内部概念である陰性症状の中で説明し、心的外傷を負い続ける人生
の中での「破綻」をも統合失調症の再発であり、それが自然経過であると言い
くるめてしまう差別的な疾病概念である。

 私は、極めて問題があると思います。