(つづき)
『仏教は時間空間を超えた実体は、われわれの経験外にあるから、その存在を肯定することも
否定することもできないとして、これを取り扱うことを禁じた。それは時間空間内の限られた経験
能力しかもたないわれわれは、時空を超えた絶対者の存在を証明することが不可能であるばか
りでなく、かりにその存在が証明されたとしても、それは現象内だけに限られているわれわれの
世界とは無関係である。すなわち本体界はわれわれの苦悩やその解決にも、修行やさとりにも
無関係のものであるから、これを問題とすべきではないとしたのである。(p133)』
(『東洋思想5/水野 弘元著「縁起説の基礎としての法印/1.諸行無常」』東京大学出版会刊)
ただし、これらは我々凡夫や未完成者にとって当て嵌まることであって、
大いなる能力を獲得しているゴータマのレベルにはまったく当て嵌まらないことです。
我々の役には立たないから説くのを辞めただけです(ゴータマの指導方針として)。