その数は現在十名に達し、性的暴行が十年続いてきたことや、被害を訴えても口止めするなど、卞牧師の夫人や側近が
隠蔽に努めてきたことも判明。男性信徒へのパワハラや、金銭面での疑惑も浮上した。
卞牧師は当初、被害を訴えていた女性たちを狂人扱いし、「精神錯乱だ。サタンの手下に立って、教会を破壊しようと
している」などと攻撃した。
それが一転、「謝罪する」と称して約五十名の信徒を教会に集めたのは、暮れの十二月二十日のこと。
ところがその場での発言は、罪を認めるどころか「相手が嫌がるのに無理やり愛情表現をしたことはない」と、
「合意の上だった」と言わんばかり。
代表の座から降りると表明したあと、卞牧師の所在は不明。関係者も連絡がとれないといい、すでにオーストラリアへ
脱出したのではないかと言われている。
韓国人牧師の性犯罪と言えば、「摂理」を思い出す。日本でも多くの被害者を生んだ教祖・鄭明析(チョンミンソク)。
だが、「摂理」は、もともと統一教会から派生したカルトだ。
しかし今回の「国際福音キリスト教会」は正統派のプロテスタントで、卞牧師は高い評価を受けてもいた。
それがいつの間にかカルト化していった事態に、キリスト教関係者の間にはショックが広がっている。
「外部の牧師たちがチームを組んで、この問題の解決にあたっています。二月三日には、教派を超えて連名で声明文を
出しました。これも初めてのことです」(前述の牧師)
罪を認めない卞牧師の態度で心にさらなる傷を負った女性たちは、警察への被害届提出と民事訴訟の準備を進めている。
(週刊文春 2009年2月26日号 37〜38ページ)