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797見玉尼
それでは その石井教道氏が なぜ法然上人全集を編纂したのか 

「宗学に携わって居るものとしては 元祖教学の真研究を盛んにせねばならない責務を感ずる。
素より元祖教学の研究は従来微に入り細に及んで為されてはいるが 材料並びにその取り扱いの
点に就いて現在の研究から見れば遺漏なしとはしないのである。」
鎌倉時代の和漢混合の文体と正徳版の成分化された漢文と比べた例をあげて 
「史実の上に非常な相違がある等 ただ正徳版のみを以って正鵠を得たものと信じて
憑依する訳にはいかないのである」とあり 教学研究のため偽本と呼ばれる書物もあえて編集した
理由が述べられています

さぁ ここから重要です

「偽書と云えば 一般には無価値なものとされているが 少なくとも源空の名の下に世に貼り出さねば
ならなかった時代と場とを考えて見る時 その偽書はかなりに重要な役割をもっている事が伺い知られる
のである。例えば聖商が「源空作建暦法語」の指示に依り 頌義三十巻を選述して新浄土宗義を建立し
室町期から江戸期にかけて学会を風靡した如き 又 念仏算 念仏占い等卜筮に至るまで【贋用】して
民間信仰を導かんとした努力も買わねばならない」

と はっきり 念仏占いを【贋用】と記されています

つまり 石井氏は宗学の発展のためにも あえてこうした偽書も編纂したのであり その中でも念仏占いが
記されている第八集は「所詮真偽未詳のもの八十六編を集め」当時の贋用してまで布教していた努力にも
宗派の歴史的研究のひとつとして提議したものと考えられます

「本書は法然坊源空の研究を進展するにあたり とくにその遺文類個々における史料批判の確立を目指し
終始一貫して実証的な姿勢によったものであり ここにこそ刊行の主たる目的が存すると云うべきである」」

※「」内は石井教道著 法然上人全集 序文より原文抜粋