★――夜11時近くになってからプレスリリースが発表されるなど、突然という感の強い今回の退任劇ですが、
率直なところどのような感想をお持ちになりましたか?
麻倉氏: 実は、私と久夛良木さんはホームシアター愛好家という間柄なのです。
ある時、スクリーンはどれがいいかなんて話をしていたのですが、別れ際に「ちょっと」と声をかけられ、
人のいないところに連れて行かれ、「(現職を)降りることにしたんだ」と突然、告白されました。
そのとき、「ああ、これで久夛良木さんはやりたいことができるようになるんだ。素晴らしいことだ」
と直感的な思いました。人類のためにやりたいことができるかな、とも思いましたね。
握手をして、全人類のために頑張りましょうといいました。
そのときの久夛良木さんは、とてもさばさばしているように感じられました。
――「久夛良木健」という人物はさまざまな言葉で語られます。
プレイステーションというゲーム機を作り出したプランナー、ビジネスマンであり、技術者であり、
また、経営者でもありました。人物像をどのように評価されますか。
麻倉氏: 何百年という長いスパンで評価するならばとにかく、
大変に稀有な才能の持ち主であることは間違いないでしょう。
彼のすごさは、革命家と事業家の両方の資質を十分に備えながら、
一般ユーザーの眼も兼ね備えていたことです。革命家としての側面だけを取りあげても、
ビジョンと行動力を兼ね備えていたことは特筆に値します。
自分の想いを現実にできるひとはそうそういませんからね。
彼の仕事ぶりは若い頃からソニーでも突出していたそうです。
私は1998年に「ソニーの革命児たち」という書籍を刊行するにあたり、
本人を含め非常にたくさんの人に取材をしましたが、当時を知る人は異口同音に
「彼は若い頃から飛び抜けていた」と言っていました。(以下略)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0705/07/news007.html