原始佛教 その19

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357名無しさん@3周年
四句分別では、第3の「Aにして亦非Aなり」が最も理解しにくいのではないか。

ジャイナ教の七つの命題の第3がこれに相当するが、それについて、宇井伯壽氏は、
「第三句は前二句が同時に同一物に適用せられなかったのを特に適用して
異時異立脚地からは肯定も否定も共に之をなすを得るを示すものである。」
と「異なる時、異なる立脚地」からの視点があることを述べている。

その例を挙げると、ジャイナ教の7命題第3では、
「両者(すなわち肯定と否定と)を順次に述べようとするときは、表現は両者の集合にかかわる。
両者を同時に述べようとするときは、それは不可能であるから、(下略)」(『世界の名著 1』pp.413-414)
と、「順次に述べる」「同時に述べるのは不可能」と時間軸でとらえている。

また中観派の清弁は、
「二種の真理(世間の慣行と最高の真実)の立場から見るときには、
 真実であり、また真実でない。
と言う。」(『世界の名著 2』p.322)
と、「異なる立場」でとらえている。