552 :
SGY:
『己を映す鏡』
そこでだ、ブルータス、まあ聞いてくれ。
自分を見るには反射する鏡が必要と君はいったな。
では、おれがその鏡になろう。君自身のしらぬ己の姿を
ありのままに映してお目にかけよう。
だが、おれを疑うなよ、ブルータス。
おれは調子のいい道化者に見えるか?
相手が好意を顔に浮かべると
やたら誓いの言葉を安売りする、そんな男に見えるか?
人前では尻尾をふったり じゃれついたり、
それでいて裏にまわれば陰口のつきほうだい、
宴会の席では見境なしに友人面を売り歩く、
そんな男なら、
おれを危険な男と思うがいい。