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名無しさん@3周年:
黒い福音 松本清張 新潮文庫 743円(税別)
本書は、昭和34年(1959年)3月に起こった、日本人スチュワーデス殺人事件に
もとずいてかかれた松本清張の力作である。カトリック修道会サレジオ会の
ベルギー人神父ベルメルシュが、交際中のスチュワーデス武川知子さんを殺害した
容疑者として浮上した。
しかし、ベルメルシュは、急遽帰国し、事件の真相は闇に葬られてしまった。
サレジオ会が経営する乳児院オディリア・ホームに勤務する保母が、
年齢制限を超えているにもかかわらず、英国海外航空(BOAC)のスチュワーデスに
合格し、初搭乗を前に殺害されてしまった。
この女性の無念は、いかばかりであろうかと思う。
サレジオ会には、さまざまな性的な疑惑がつきまとう。
この事件は、最大級のものである。
文中では、「サレジオ会」→「バジリオ会」、
「ドン・ボスコ社」→「グリエルモ教会」、
「オディリア・ホーム」→「ダミアノ・ホーム」と置き換え、
事件容疑者の「ベルメルシュ」を「トルベック」、被害者の「武川知子」さんを
「生田世津子」と置き換えている。