セブンスデーアドベンチストは極端な反カトリックの傾向があり、教皇を反キリスト、カトリック教会をバビロンの淫婦と信仰箇条のようにうたっています。 「バイブルライト」(これはアメリカのHPです)のマイケル・シェフラーほどこの面で力を注いでいる人もいません。 彼の著作、「獣の数字666」は、教皇に666の数字をあてがう苦心作。教皇の称号に666を当てはめる試みているが、称号の中でもVicarius Filii Deiほどセブンスデーアドベンチストが重視しているものはありません。 「エンボイ」マガジン(福音派の神学校を出てカトリックに転向した神学者が製作している有名なキリスト教誌)のパトリック・マドリッドによる反撃に彼はこう答えている。 「この文句はコンスタンチヌス皇帝の寄進状を引用する数百年の歴史があるカトリックの教会法に見えるのだから、Vicarius Filii Deiを反カトリックが捏造したなどとなぜいえるのか? つまり、Vicarius Filii Deiの文句も正しいと認めているということになる。これが600年以上も続いていることになる。ラテン語で文書が作られているからにはそれは666になる」 シェフラーとマドリッドの通信は二点に絞られます。 1、政府文書を装う偽作として知られる「コンスタンチヌス皇帝の寄進状」が教会の公文書を構成するのかどうなのか。 2、偽作文書にあるVicarius Filii Dei という文句を教皇の公的称号として教会が認めたことがあるのかどうなのか。 寄進状が教会の公文書であり教会がその偽造文書にある教皇の称号を採用したと仮定してみましょう。それでも、シェフラーのいうVicarius Filii Dei は教皇の称号にはなりません。 コンスタンチヌス皇帝の寄進状はその称号をペテロの後継者に当てはめていないからです。
コンスタンチヌス皇帝の寄進状には次のようにラテン語で書かれています。 Sicut B. Petrus in terris VICARIUS FILII DEI esse videtur constitutus, ita et Pontifices, qui ipsius principis apostolorum gerunt vices, principatus potestatem amplius quam terrena imperialis nostrae serenitatis mansuetudo habere videtur, conscessam a nobis nostroque... 「聖ペテロが地上の『神の御子の代理』(VICARIUS FILII DEI)とされたように、同じ使徒の代表、教皇は、われわれが与えられている以上の至上の権限を私たちと帝国から得るべきである」 出典:Donation of Constantine, quoted in Christopher B. Coleman's The Treatise of Lorenzo Valla on the Donation of Constantine, pp. 12,13 Yale University Press 「同じ使徒の代表、教皇」とかかれています。コンスタンチヌス皇帝の寄進状では教皇は「ペテロの代表」と定義されているのです。「神の御子の代理」(Vicarius Filii Dei.)ではありません。 コンスタンチヌス皇帝の寄進状がVicarius Filii Deiとしているのはペテロであり、その後継者たちは、ペテロの代表(VICAR)です。ペテロの代理が教皇職にあてられた称号です。 「インノセント3世(1198-1216)がこの経過の絶頂を極めた。彼が初めて教皇の役目をキリストの代理と強調した。 それまでの教皇はペテロに権威を辿ることで満足していたが、インノセントは系図をさらに一歩進めたのである(Schimmelpfennig, 181)」 Report on Papal Perogatives and Titles by John D. Beetham. 「彼はそれまでの教皇職の目標『ペテロの代理』を『キリストの代理』という称号に変えたのである。」 “The Future of the Papacy, Catholic Update, by William H. Shannon.” 結局、SDAは自分たちが頼った引用元によって持論を崩されたことになるのです。彼らのソース、コンスタンチヌス皇帝の寄進状には、教皇は「ペテロの代理」としか書かれていません。 神の御子の代理と書かれているのは実に使徒ペテロです。ペテロが666の獣だと言うのでしょうか? エンボイマガジンに掲載されたSDAの嘘を暴いた記事 http://www.envoymagazine.com/backissues/3.2/asreceived.html http://www.envoymagazine.com/backissues/ 2.2/mar_apr98_coverstory.html