【 キリスト教成立のキーワード:私的考察 】
@罪(ハマルティアαμαρτια) 唯一神との契約違反で
天国[楽(=エデンの)園]の自由を失う
[手に汗して生きる]地上生活と人類の「原罪」の発生
A愛 地上生活での神の戒め 神と人への『愛(アガペーαγαπη)』
B契約(ディアテーケースδιαθηκησ) 律法と預言書と詩篇から
最期の晩餐による肉(パン)による信者の繋がりの教会と
血(ブドウ酒の杯)による「贖罪」の「契約」
C十字架(スタウロスσταυροσ) 神との新しい契約としての人類の原罪の贖い
贖いで足りない所を補う 主への讃美と善行と施しをイケニエとして捧げる事
行いの有る『信仰(ピスティスπιστισ)』
D復活(アナスタシンαναστασιν)
古いものを捨て「神のロゴスθεοσ λογοσ」によって新しく生きる甦りの命と
最後の審判でのキリスト(χριστοσ)の弁護による救い(ソーテールσωτηρ)
天国に戻る『希望(エルピスελπισ)』
E教会(エクレシアεκκλησια) 契約により
キリストを頭(かしら:主人:キュリオス)として
肢体になった信者(クリスティアノス
油塗られた者χρηστιανουσ 使徒11:26)は
天国(パラディソスπαραδεισοσ)を相続する自由人の女から生まれた子となり
聖霊(ハギオンαγιονプネウマπνευμα)の賜物として
異言(グロッサ)・霊的な歌や癒しの奇跡を得る
F公会議 同質・同一本体 三位一体 神人一人格 各信条[ニカイアなど]
総主教制[監督(主教)−長老(司祭=神父)−執事(助祭=輔祭)]
神の母[テオ・トコス:神・生みし者]の呼称
聖書(テモテβ3:16[旧約])の選抜などを決定
【 復活の命に預かる教会の愛 】
★コロサイ書1:15 おん子は目に見えない神の生き写し、すべての造られたものに先だって生まれたかた。
★ヨハネ伝18:36 わたしの国は、この世に属していない。
★コロサイ書1:18 おん子は教会という体の頭。おん子は初めであり、死者の中から先立って生まれた方。
こうして彼はすべてにおいて先立つかたとなられた。
★コリントα書15:55 「死よ、おまえの勝利はどこにあるのか。」
★ヤコブ書4:5 それとも、聖書に次のように書かれているのは意味がないと思うのですか。
「神はわたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに深く愛しておられ、
★ヨハネ伝3:16 神は独り子をお与えになるほど、この世を愛された。
独り子を信じる者が一人も滅びることなく、永遠の命を得るためである。
★コリントα書14:1 愛を求めなさい。
★コリントα書13:4 愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。
★コリントα書13:8 愛は決して絶えることがありません。・・・。
★コリントα書13:13 こういうわけで、いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です。
★ローマ書12:9 愛には偽りがあってはなりません。悪を憎み、善に親しみなさい。
★テモテβ書4:2 御言葉を宣べ伝えなさい。
折が良くても悪くても励みなさい。とがめ、戒め、励ましなさい。忍耐強く、十分に教えるのです。
★レビ記19:18 復讐してはならない。あなたの国の人々を恨んではならない。
あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。わたしは主である。
★マルコ伝12:31 第二の掟は、これである。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つにまさる掟はほかにない。」
★マタイ伝7:12[ 黄金律 ]それで、何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。
これが律法であり預言者なのです。
聖書的には、教会の頭はキリストで信ずる者達はその手足、
キリストはブドウの幹であり信ずる者達は枝、
同じパンを食べ同じキリストの体の一部になる集まりが教会では?
旧約の民は主の集会の幕屋の除酵祭で同じパンを食べた。
ではエホ証の集まりは?といえば、幕屋や教会ではなく聖書研究会か同好会なはず。
ところで、
@幕屋はカハール、王はメレク(メルキド?)。
A都市はポリス、王はバスィレゥス(ワシリー)、指導者はアルコーン。
B会堂はシナゴグ、王はメシア(マーシーアハ:油注がれた者)。
C教会はエクレシヤ、王はキリスト(クリーストス:油注がれた者)。
Dへブライ語で、救いの神はハエル・イェシュアテーヌ、主はアドーナイ。
Eギリシア語で、救いはソーテーリア、主はキュリオス。
参考箇所、
@キリスト教の異端p75 聖書が原語で読めたならp71
A聖書ギリシア語入門p9 聖書ギリシア語入門p31 エウセビオス教会史1p42
B新共同訳聖書−用語解説(22) 聖書が原語で読めたならp45
Cキリスト教の異端p75 聖書が原語で読めたならp45
Dヘブライ語聖書対訳シリーズ33詩篇68篇20節 新共同訳聖書−用語解説(30)
Eエウセビオス教会史1p13 新共同訳聖書−用語解説(30)
【 創造主であり唯一の神との契約 ユダヤ教のシェマァ[イスラエルよ。聞け・・・]の祈り 】
★マルコ伝12:29 イエスは答えられた。
「一番たいせつなのはこれです。『イスラエルよ。聞け。われらの神である主は、唯一の主である。
★マルコ伝12:30 心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』
★申命記6:4 聞きなさい。イスラエル。主は私たちの神。主はただひとりである。
★申命記6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。
★申命記6:6 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。
★申命記12:31 あなたの神、主に対して、このようにしてはならない。
彼らは、主が憎むあらゆる忌みきらうべきことを、その神々に行ない、
自分たちの息子、娘を自分たちの神々のために、火で焼くことさえしたのである。
★申命記12:32 あなたがたは、私があなたがたに命じるすべてのことを、守り行なわなければならない。
これにつけ加えてはならない。減らしてはならない。
★申命記13:1 あなたがたのうちに預言者または夢見る者が現われ、あなたに何かのしるしや不思議を示し、
★申命記13:2 あなたに告げたそのしるしと不思議が実現して、
「さあ、あなたが知らなかったほかの神々に従い、これに仕えよう。」と言っても、
★申命記13:3 その預言者、夢見る者のことばに従ってはならない。
あなたがたの神、主は、あなたがたが心を尽くし、精神を尽くして、
ほんとうに、あなたがたの神、主を愛するかどうかを知るために、あなたがたを試みておられるからである。
★申命記27:26 「このみおしえのことばを守ろうとせず、これを実行しない者はのろわれる。」
民はみな、アーメンと言いなさい。
★ヤコブ書1:15 そして、欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます。
★コリントα書15:56 死のとげは罪であり、罪の力は律法です。
★ローマ4:20 なぜなら、律法を行うことによっては、すべての人間は神の前に義とせられないからである。
律法によっては、罪の自覚が生じるのみである。
★ユダヤ教のシェマァの祈り[イスラエルよ。聞け・・・]の実践の事例
【 仮説 】 ユダヤ人のキリスト・イエス様は、
(たぶん改宗者も含めた)ユダヤ人の聴衆相手に、
シェマーの祈り(神への愛)を唱えて、隣人愛を説いた。と解釈される。
(カイサルの)彫像をエルサレムに入れないことが、
ユダヤの神への愛、偶像崇拝の禁止の実行であった。
軍旗に取り付けたのだから、礼拝対象ではない。
ローマの頂点の象徴や尊敬として取り付けていた。
にもかかわらず、当時のユダヤ人の感覚からすれば、
敬うための像までも、偶像と見なしていた証拠と言える。
【 歴史的論拠 】
ユダヤ戦記1 フラウィウス・ヨセフス著 新見宏訳 p254
(2)ピラートがティベリオスによって総督に任命され、
ユダヤにつかわされると、
夜ひそかにカイサルの像を隠してエルサレムに運び込んだ。
これは軍旗(ラテン語vexillum:標旗、
軍旗につけられたカイサルの像)とよばれるものである。
夜が明けるとユダヤ人の間にはなはだしい騒ぎが巻き起こった。
その場に近く居合わせた人びとは、
彼らの律法がふみにじられたと思って大声でののしった。
律法はこの町(エルサレム)の中にいかなる偶像を建てることも
禁じているからである。・・・・・・。
彼らはカイサレイアにまで押しかけてピラートスに会い、
例の軍旗をエルサレムからとりのぞくように、
また父祖伝来の慣習を尊重するようにと請願した。
ピラートスがこの請願を却下すると、・・・・・・。
・・・・・・律法を犯すよりは死を選ぶ覚悟があると叫んだ。
彼らの敬神の情熱のはげしさにおどろいたピラートスは、
即刻、軍旗をエルサレムから撤退するよう命じた。
聖書が原語で読めたなら
−−−聖書語学の証しと勧め 大久保史彦 聖書語学同好会
57 いつも喜んでいなさい p136
テサロニケ人への手紙第Tの5:17の
17 αδιαλειπτωσ προσευχεσθε.(註:語尾のσは別文字)
アディアレイプトース プロシューケッセ「絶えず」「祈れ」
45 的をはずれると「罪」 p107
神に背を向けた状態
「罪」というのはギリシア語でハマルティアーといいます。
これはもともと「失敗」という意味があり、
槍を的に向かって投げるとき的をはずすという意味からきているのだそうです。
新約聖書においては、
このハマルティアーは明白な罪の行為を指しているのではなく、
罪の行為が起こってくるもとの罪の状態を意味し、
神という「的」からはずれ、神との正常な関係からはずれた人間の状態、
神に背を向けた状態をいうのです。
αμαρτια(単数形)ハマルティアー
正教要理 p39 四、罪
人間が神に与えられた中で最も大切なものは自由です。
他人の意志によらず、束縛を受けず・・・喜びを持つ、・・・
しかし、人間は自由をはき違え悪魔の誘惑に負け、
自分の生命を神のみ手にゆだねることを拒み、神の前に罪を犯しました。
・・・。悪は神から来るものではなく罪から生まれるものです。
無限に尊い神にそむいた罪ですから人間は自分の力で罪のつぐないを
することはできません。・・・人間が悪にうち勝つために
救い主ハリストスを遣わすことを・・・されました。
註※ [新教]神に背を向けた状態・・・。[正教]神にそむいた罪・・・。
【 ロシア的「罪」の理解 その1 】
→ ドストエフスキー 罪と罰(下)江川卓訳 赤613−7岩波文庫 定価(本体760円+税)
宗教的「罪」は、грех:グリェーフ(グレーフ)と呼ぶ。
使い方として、
@しかたない損も(責任も)半々に(半分こに)грех пополам
Aグリェーフを使う、若気の過ち грехй молодости
失敗・間違いの語を使う、若気の過ち ощйбки молодости
B彼を虐めるのは可哀想
грех его(彼を)обежить:アビジャ−チ(怒らせる:侮辱する)
とあり、このことから、法律ではなく生活上の罪、
ロシア的な宗教的「罪」の使い方は、
「神様を怒らせるような事をしでかした」「どっちの人間にもある過失」
「人生一度は誰もがする失敗」と理解できる。法律を破ったの意味ではない。
慣用句というか、決まった言い方に、
人間は皆、罪人です все Люди грещнь?
罪の赦しを神に祈る замолить грех
・・・
ロシア文学「罪と罰」で使われる「罪」は、
Пре−ступление:プレ−ストゥプレーニエ
越える−歩む(踏み越えてしまう)という法律上の罪を意味する。
【 原罪を贖う十字架 】
★マタイ伝9:13 『わたしはあわれみは好むが、いけにえは好まない。』とはどういう意味か、行って学んで来なさい。
わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです。
★ヤコブ書2:13 憐れみを行わなかった者に対しては、仮借のない裁きが下される。憐れみは裁きに打ち勝つ。
★へブル書7:27 ほかの大祭司たちとは違い、キリストには、
まず自分の罪のために、その次に、民の罪のために毎日いけにえをささげる必要はありません。
というのは、キリストは自分自身をささげ、ただ一度でこのことを成し遂げられたからです。
★ガラテヤ書3:13 キリストは、私たちのためにのろわれたものとなって、
私たちを律法ののろいから贖い出してくださいました。
なぜなら、「木にかけられる者はすべてのろわれたものである」と書いてあるからです。
★申命記21:22〜23 ・・・死刑・・・木につる・・された者は、神にのろわれた者だからである。
★ローマ書7:6 しかし今や私達を繋いでいたものに対して死んだのであって、
私達は律法から解放され、その結果、古い文字によってではなく新しい霊によって仕えているのである。
★コリントβ書3:6 神は私たちに力を与えて新しい契約に仕える者とされたのである。
それは文字に仕える者ではなく霊に仕える者である。[律法の]文字は人を殺し[キリストの]霊は人を生かす。
★ガラテヤ書3:14 このことは、アブラハムへの祝福が、キリスト・イエスによって異邦人に及ぶためであり、
その結果、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるためなのです。
★コリントα書15:44 自然の命の「体」があるなら、霊的な「体」もあります。
★ヨハネ伝3:5〜8 肉から生まれた者は肉であり、『霊』から生まれた者は霊である。
★ガラテヤ書6:8 自分の肉に蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、霊に蒔く者は、霊から永遠の命を刈り取ります。
★マルコ伝12:17 「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」
聖書が原語で読めたなら
−−−聖書語学の証しと勧め 大久保史彦 聖書語学同好会
14 メシアとキリスト p44−45
メシアということばはふつう「救い主」と訳されていますが、
ヘブル語では「油注がれた者」という意味です。
旧約時代には、王や祭司として神に代わって民を治めるべく任命されるときに、
頭に油を注がれて、その特別の使命を受けた印としたことに由来しています。
ヘブライ語 マーシャハ(動詞)「油を注ぐ」
ヘブライ語 マーシーアハ(名詞)「油注がれた者」(メシア)
ギリシア語 クリーストス(名詞)「油注がれた者」(キリスト)
ギリシア語 クリーオー(動詞)「油を塗る」
私註※ カトリックのサクラメント(秘蹟)での@堅信やA病者の「塗油」の由来か?
正教のミステリオン(機密)では「膏」の字を当てている。@傅膏とA聖膏。
15 アブラハム p46
アブは「父」、ラハムは「多くの者」という意味です。
ほかに、サムエル記U3:3に出てくるアブシャロムは「父は平和」という意味、
サムエル記T14:50に出てくるアブネルは「わが父は光」という意味だそうです。
私註※ 新約に「アッバ、父よ」と呼ぶ霊が、我々の御霊であり。という、
「アブ=アバ」がアラム・ヘブライ語の「父」の語彙だと言う事。
シャロム(平和)は、イスラエル関係で、よく聞かれる言葉ですよね。
シャローム(こんにちは)は、平和がありますように。だし、
サレムの王は、平和の王であり、頭にエルが付いて、エルサレムと街の名になる。
【 クリスティアノス(塗油された者)の信仰 】
★マタイ伝10:16 「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。
だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい。
★テサロニケα書5:21 すべてを吟味して、良いものを大事にしなさい。
★テサロニケα書5:22 あらゆる悪いものから遠ざかりなさい。
★コロサイ書3:16 キリストのことばを、あなたがたのうちに豊かに住まわせ、
知恵を尽くして互いに教え、互いに戒め、
詩篇と讃美と霊の歌とにより、感謝にあふれて心から神に向かって歌いなさい。
★ヘブル書13:15 そして善を行う事と施しをする事とを忘れてはいけない。神はこのようないけにえを喜ばれる。
★テサロニケβ書4:11 また、私たちが命じたように、落ち着いた生活をすることを志し、
自分の仕事に身を入れ、自分の手で働きなさい。
★テサロニケβ書4:12 外の人々に対してもりっぱにふるまうことができ、
また乏しいことがないようにするためです。
★ヤコブ書3:26 霊魂の無い体が死んだものであると同様に、行いの無い信仰も死んだものなのである。
【 創造主であり唯一の神への頌栄 】
★コリントα書12:3 神の霊によって語る者は、だれでも「イエスはのろわれよ」とは言わないし、
また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」と言うことはできません。
★コリントα書16:22 主を愛さない者がいるなら、その者にのろいあれ。マラナ・タ〔主よ、来てください〕。
★コリントβ書13:13 主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなたがた一同と共にあるように。
★ユダ書25 わたしたちの救い主である唯一の神に、わたしたちの主イエス・キリストを通して、
栄光、威厳、力、権威が永遠の昔から、今も、永遠にいつまでもありますように、アーメン。
【 聖書での善と罪の概念 】
エッセンシャル聖書辞典いのちのことば社(共立女子聖書学院院長など歴任の著者による)
善 実践上の価値概念で悪の反対語。
聖書では神の伝達的属性(知識、知恵、善、愛、聖、義、真、主権)
の一つとしてとらえている。
イエスは絶対的な意味で神のみが善であると断言している(マタ19:17
「良い方」、マコ10:18「尊い方」、共に[G]アガソスが用いられている)。
「神が造られた物はみな良い物」である(Tテモ4:4)が、その善は造られた神によるものだからである。
罪 1.旧約における罪。
(1)用語。おもな語は次の4種。
a。[H]ハーターは「失敗する」(士20:16)、
「失っている」(ヨブ5:24)、「つまずく」(箴19:2)など、
もともとは「的(目標)、または道をはずす」の意の一般的な語。
神との関係においては「罪」と訳され(創4:7、出10:17)、
神が人に定められた道を踏みはずすという意味を表す。
2.新約における罪。
(1)用語。a。[G]ハマルティアの動詞、
ハマルタノーはもともと「的をはずす」、
あるいは「迷う」「誤る」を意味する一般的な語であったが、
70人訳において[H]ハーターのギリシヤ語訳として用いられ、
専ら「罪を犯す」という聖書特有の意味を表す語となった。
・・・具体的な罪の行為や律法違反を意味する(・・・)。
また、行為だけでなく人間の持っている神に敵対する性質をも意味して用いられる(・・・)。
罪人 善でも悪でもない中立的立場の人はいない。
すべての人間が罪人であり(ロマ3:23)、
例外はない(5:12−21、Tコリ15:22)、
・・・罪人であるがゆえに罪を犯すのであり、ことばや思いや、
行為において絶えず罪を犯し続けているのである(ヤコ4:17)
イオニア自然哲学(アルケー:始元・根源の究明)
アナクシメネスBC586−525頃は不変を空気(アエール・プネウマ)と考えた。
ヘブライ人は命を神の息(ルアッハー:プネウマ)と考えた。
エレアのパルメニデスBC540−470は”在るもの”を真実在と考えた。
バビロン捕囚後の記述に寄ればヘブライ人は”在るもの”をモーセの見た唯一の神と考えた。
サモスのピュタゴラスBC580−500はピュタゴラス教団をクロトンで設立し数学・音響学で魂を解明。
ギリシア系ペリシテに身を寄せたヘブライ人のダビデは音楽(詩篇)で神を讃えた。
バビロン捕囚はBC586−538。
ヘレニズム医学ケオスのエラシストラトスは血液循環を研究(プネウマ説)。
ヘブライ人は血が命と考えた。
BC518−510アケメネス朝ペルシャのパンジャブ地方征服。
BC500−400(前五世紀)マガダ国グプタ朝でゴータマブッタの仏教の始まり。
ソフィスト(知の教師)470−340頃。
死海写本のメシア像(義の教師)紀元前後。
プラトンの哲人政治(金・銀・銅−鉄の構成)。
ダニエル書の4つの帝国(金・銀・銅・鉄−土の構成)。
マカベアの祭司王政治。
アテナイのアルコン制(王制に代わる)
アルコン・バシレウス(ディオニュソスの祭礼)
アルコン・エポニュモス(都市監督官)
アルコン・ポレマルコス(軍隊統率者)
ソロンの改革(アルコンの全権委任)
民会(エクレシア:教会)
東方方言のアッティカ(アテネ・イオニア人)のコイネ・ギリシア語。
ペロポネソス半島中央高地アルカディア。
アレクサンダー東方遠征BC327−325。
対話形式の記述。
プラトン(例えばソクラテスの弁明BC427−347頃−ペロポネソス戦争)、
70人訳ギリシア語旧約聖書(ヨブ記BC300−200頃)、
上座部・部派仏教の仏典(ミリンダ王の問いBC160頃)。
女は男にならないと天国に行けないし成仏しない思想。
トマス福音書(AD55−90−135ごろ)、
法華経(AD129−150ごろ)。
正教の日本語翻訳聖書ではエルリン(Ελλην?)ですが、
現代ギリシア語などはエリナスです。
【 今すぐ話せるギリシャ語入門編(東進ブックス)CD2枚付 】
●国名・国籍・言葉・・・・・・
ギリシャ η Ελλαδα イ エラザ(現代デルタδ文字は、ダ行でなく、ザ行読み)
ギリシア人男性 ο ΕλληναS オ エリナス
ギリシャ人女性 η Ελληνιδα イ エリニザ
ギリシャ語 τα Ελληνικα タ エリニカ
p31
19課 ギリシャの復活祭
ポス サ ペラシス ト パスハ(Πασχα) 復活祭(パスハ)はどうするの?
p110
エ[ル]リンァ[ス]が詰まった発音か、
ローマ字読みによる時代を経て発音が変化した、と言うべきかは判りません。
【 初期教会小史 】
30 イエス十字架刑・復活・昇天・聖霊降臨
31 ステパノ殉教(エルサレムにて)
64 主の兄弟ヤコブ殉教(エルサレムにて)
61-65 パウロ殉教(ローマにて)
67-68 マルコによる福音書、ペテロの殉教後に書かれる
100年代に「司教職(監督職・長老=神父・執事)」「信条告白(洗礼に読まれるクレド)」
「経典(使徒書簡・福音書・黙示録)」を拠り所とする教会的基準が確立。
200年代は迫害や、[グノーシスなどの]異端との闘争が続く。
A)203年ごろ 三位一体を言い出したテルトゥリアヌスの生きた時代には、
黙示録の類は否定されており、ヘブライ書・バルナバの手紙・ヘルマスの牧者を、
新約聖書の正典として読む教会があった。
B)313年 ミラノ勅令 (コンスタンティヌス帝によりローマ帝国が)キリスト教を公認。
C)325年 ニケーア公会議で「カイサリア信条」の「父と子は同質である」同質論を決めた。
D)381年 三位一体を「ニケア・コンスタンティノープル信経」と共に決めた。
ローマ帝国東部の4総大司教座のうちコンスタンティノープルが第1の地位と決める。
E)397年 (西方教会)カルタゴ(地方)会議で27書を(新約聖書の)正典と確認。
F)431年 エフェソス宗教会議でマリアに「神の母[テオ・トコス]」の称号を決めた。
F)451年 カルケドン宗教会議でキリスト論に於ける「神人二性一位格」を決めた。
G)692年 コンスタンチノープルのトゥルルス会議でヨハネ黙示録を新約聖書に入れた。
H)787年 ニカイア公会議「聖像の尊敬」を決定。
I)790年ごろ 南フランスで使徒信条のテキストが書かれた。
キリスト教史T 山川出版社 第五章 キリスト教ローマ帝国
1 東方における教会と国家
325年 ニケーア公会議(同質論)
カイサリアのエウセビオスが提出した「カイサリア信条」に、
「父と子は同質である」という言葉を挿入したものが、・・・採択されたので、
アタナシウス派の勝利、アリウス派・・・異端とされ・・・追放
327年 第2二ケーア公会議 アリウス派的な信条を決定・・・
335年 テュロス教会会議で、アタナシウスを破門、336年追放・・・
・・・アリウスは腸が裂けて頓死した・・・
355年 ローマ司教・・・に、アリウス派の・・・就任・・・
双方の間に乱闘が起こり3000人が殺傷された・・・拷問を用いてまで・・・再洗礼を強要・・・
381年 第1コンスタンチノープル公会議(三位一体論)「ニカイア・コンスタンチィノポリス信条」
父と子と聖霊なる三つの位格(ペルソナ)の中に示す一つの神と宣言された。
431年 エフェソスの公会議(神の母論?)・・・
ラオディケイアの司教アポリナリオス・・・アンティオキア学派の猛烈な反対、
マリアを「神の母」と呼ばず「キリストの母」・・・ネストリウスの主張・・・
これに対するアレクサンドリアの司教のキュリロスの再反論・・・「強盗会議」と呼ばれる醜態を呈した。
411年 カルタゴ教会会議(恩寵論?) ドナティズム紛争
アウグスティヌスの事効主義「教会と聖職職階制には聖霊が宿っている。
司教の行う聖典礼の効果は、司教の人格によるのではなく、聖霊によるのである。」
451年 カルケドン公会議(両性論)「聖書の決定?」「カルケドン信条」
「両性は一つの人格、一つの本質の中に並存する」が「両性説」
「単性説」はコプト教会、シリアのヤコブ派教会、アルメニア教会。
2 西方の情勢
p208 ペテロの座 ローマ教会は「使徒相伝」は、
ローマ司教リベリウス(在位352〜366)の354年の「リベリウス表」が根拠であった。
ペテロはイエスの死後10年(AD40)でローマ司教に成っていたとする史料であった。
パウロのローマへの布教は、それからズット後であった。
★教理と教会成立の歴史。
@シリア・アンテオケア監督のイグナチィオスによる
『監督−長老−執事』の聖職者の階級制度の確立(100年前後)。
Aカルタゴのテルトゥリアヌス(150年代生まれ)の
『神の三位一体説』と、モンタヌス異端。
Bローマのヒッポリュトス(170年代生まれ)の
洗礼(バプテスマ)に聖餐(エウカリスティアその名は感謝)を含む典礼など説明の
『使徒伝承』と、サベリウス異端。
Cパレスチナ・カイサレイアのエウセビオス(260年代生まれ)が、
『ルカの使徒行伝』の歴史物の続編『教会史』を執筆。313年カイサレイア監督。
Dアレクサンドリアのアタナシオス(295年生まれ)の
『父と子は同一本体(ホモウシオス)説』と、アレイオス異端。
Eシリア・アンティオケイアのヨアンネス・クリュソストモス(340年代生まれ)の
『金口イオアン聖体礼儀』と『ユダヤ人迫害』の始まり。
Fダルマチア・ストリドニアのヒエロニムス(340年代生まれ)が、
『ラテン語聖書の翻訳』(400年前後)とオリゲネス論争(380年代)。
Gコンスタンチノポリス公会議(テオドシウス帝による第二回の全国宗教会議)の
『[ニカイア・コンスタンティノポリス]信条(クレド)』(381年)の成立。
キリスト教徒でありながら、オリゲネスはギリシア人的(アレイオス異端的)に考え、
ヒエロニムスはローマ人キケロ崇拝者と決めつけられていた。
Hミラノのアンブロシウスによる『使徒信条(アポストルのシンボル)』の文句を使用(390年代)と、
『古ローマ信条』クレド(信仰告白)が出来た。アンブロシウスはアウグスチヌスの師。
現行の文面に出来上がった使徒信条は、ジャルルマーニュ時代で、
八世紀前半コンスタンス湖近くのベネディクト会修道院の創設者ピルミニンの著書が最初である。
→ 【 原典 古代キリスト教思想史 全三巻 小高毅編 教文館 】
【 使徒行伝の成立 】は、
[原典古代キリスト教思想史3ラテン教父 (小高毅編:教文館)によれば]
700年代以降のシャルルマーニュ時代の南フランスで成立し、
ローマや北イタリヤではないとされている。
1438年のフェラーラ・フィレンツェ公会議で、
[黄泉に降りの文句の無い]古ローマ信条は、東方圏に伝わっていなかった事が分かり、
エフェソス司教マルコス・エウゲニオスが、
使徒行伝のエルサレム会議の描写に織り込まれていないので、
(東方教会の伝承としては)知りもしないし、信条として宣言していない。
と語ったと言う。
[わたし[が]個人的に考えるには、]
[トマスがイエスの手の平の肉に触った証言から]トマスの福音書は外典とされ、
ポリュカルポスの[肉の復活を証言する]書簡は正典に入らない[ように教会の会議は判断した]ので、
肉体の復活はニカイア信条の宣言には盛り込まれ[]ない[ようにしたと思われる]。
[それらの点など考慮し]マグダラにせよ、エマオにせよ、ガリラヤの者達にせよ、パウロにせよ、
肉体と見ていない[わけで]。信仰宣言での肉身の復活の語句は、
[]トマス[の発言]のみを根拠とする西方教会の迷信と思われる。
使徒信条(使徒信経)の「[陰府]に降り」の文句は、
新約聖書外典の「ピラト行伝」(別名でニコデモ福音書)の第二部の「[陰府]降り物語」や、
同じく外典の「ペテロ福音書」にある、
復活した日に墓の前で光る十字架が天使との問答で語る「[陰府]で宣教しましたか?」「はい。」
という文句などに由来すると思われる。
キリストの受肉[神が人となった]の[異端と正統の]解釈[の違い]は?
ドケティズム__霊は神で肉体は悪魔。天使が人となって仮に現れ、十字架後に人を捨てて天に戻った。
サベリウス___神は、父なる神から子のイエスに変身し地上に現れ、復活・昇天後は聖霊に変化した。
アポリナリオス_霊は神で、魂と肉体は動物と同じ人間となって現れた神。
正統教理____霊も人性と神性(神のロゴス)を持って、原罪の贖罪や神の啓示の役割を果たす。
____受肉は、神のロゴスが霊(理性)・魂(心・精神作用)・肉体の3つの人格にともに宿り、
____3つの人格に人性・神性が、分かたれず混ざらずに存在する。
____主なる神の父・子・聖霊の3つの側面を神格と呼んだ。
動物には、人間特有の「道徳を知覚し理性」が存在する霊はなく、魂と肉体だけの生き物である。
マリヤは、霊(神)魂(人)肉体(人)を生んだ(アポリナリオス異端説)のではなく、
マリヤは、霊(神のロゴス・人)魂(神のロゴス・人)肉体(神のロゴス・人)を生んだ。
肉体には復活ゆえに人にはない神性があり、霊には神にはない原罪の贖罪ゆえに人性が存在した。
マリヤは、子の側面の神格を生んだので、神を・生みし者(テオ・トコス)と称した。
キリスト教教理史入門 諸信条の成立
アラン・リチャードソン著 シリル・H・パウルス訳
日本聖公会出版部 1968年7月5日250円
p79 アポリナリオスは人間を
身体(ソーマ)、霊魂(プスケー)、霊(プネウマ)に分ける
聖パウロの周知の分割法を採用した(Tテサロニケ五・二三)。
彼の心理学〔霊魂論〕によると、
霊は(動物にない)人間の理性的、道徳的、霊的〔宗教的〕機能、
すなわち人間の持つ特に人間的な要素(人格)であり、
霊魂は肉体的生命、人間と動物とが共有している機能である。
そこからアポリナリオスは更に一歩進めて、
キリストの人格には人間の霊はない、なぜならキリストにおいて
霊の占めるべき場所にロゴスがはいっているからである。
・・・人間の霊または精神(mind)がない。
従ってキリストには完全に罪がない。
p80・・・人間を動物から区別するはずのものが
キリストの人格に全然存在しない・・・神性と人性が一つでない・・・
p84・・・キリストの人格における二つの本性(natureすなわち、
神性と人性)・・・
p89・・・四五一年のカルケドン総会議の信仰定式・・・
p89−90・・・主は神性において全く、人性においても全く、
まことの神にしてまことの人、理性的な霊魂と(アポリナリオスに反対)
身体を持ち、・・・二つの性において混じることなく、
変わることなく(エウテゥケスに反対)、分けられることもできず、
離すこともできぬおかたとして(ネストリオスに反対)・・・
合一によって両性の区別が取り除かれるのではなく・・・
一つの人格、一つの本質にともに入り、
二つの人格に分かたれ裂かれることなく(ネストリオスに反対)
・・・ロゴス、イエス・キリストである。
★テルトゥリアヌス(155年ごろ生まれ、190〜195年に改宗し、220年以降に没している)
百卒長の息子でカルタゴ生まれ。
法律と修辞学を学び、生活語のラテン語のみならずギリシア語に精通していた。
司祭になったが、三位一体を言い出した初めの提唱者であり、
204年ごろからモンタノス派になり、213年に完全に正統教会から離れている。
彼の慣用句に、
「キリスト教徒は生まれながらにしてキリスト教徒であるのではなく、キリスト教徒になったのである。」
「アテネとエルサレムとに何の関わりがあろうか」
「哲学者はギリシアの弟子だが、キリスト教徒は天国の弟子だ」(以上 護教論)
父・子・聖霊
実体[substantia]の統一性[unitas]は三一性[trnitas]へと
秩序づけている経綸[オイコノミア]の秘義は守られている。・・・
・・・本質[status]についてではなく、相対的な位置[gradus]についてであり、
実体についてではなく、形相[forma]についてであり、
力[potestas]ではなく、〔それをになう〕具体的存在[species]についてであって、
この三つは一つの実体、一つの本質、一つの力に属している。
なぜなら、神は一つであるが、この神から、父と子と聖霊という名で、
このような相対的な位置、あるいは形相、あるいは具体的な存在が生じると考えられるからである。
(『プラクセアス反論』ニ・4〔土岐正策 訳〕)
★オリゲネス(176〜194年に生まれ、激しい拷問の後に釈放された250年以降に没する)
著作に『ルカ福音書講話』『殉教の勧め』など。
(『教会史』六・39・5参照)
キリスト教教理史入門 諸信条の成立 アラン・リチャードソン著 日本聖公会出版部
p42 第2章 二世紀および三世紀
クレメンスのすぐれた弟子オリゲネスは三世紀のはじめに・・・
彼(オリゲネス)は青年時代にアレキサンドリアにおいて
(異教の)プラトン主義哲学者アンモニオス・サッカスの講義に出席したことがある。
そういうわけで、古代最期の非キリスト教思想家で、
新プラトン主義の創始者プロティノスとも、
この教師(サッカス)のもとで、しばらく学友であったことになる。
イラスト 西洋哲学史 小阪修平著 JICC出版局
p122−125 グノーシス主義と新プラトン主義 Hプロティノスと新プラトン主義
【 聖書の成立に関わる年表・前編 その1 】
B.C.8000 新石器時代
B.C.7000 エリコに農耕文化
B.C.4500 金石併用時代 大洪水(?)
B.C.3761 ユダヤ暦による天地創造
B.C.3000 初期青銅器時代
B.C.2800 くさび形文字 シュメール時代
B.C.2550 ギザのピラミッド群 ヒエログラフ成立
B.C.2500 エーゲ文明起こる
B.C.1900-1700 中期青銅器時代 族長時代
B.C.1468 メギドの戦い ヒッタイト王国(鉄器文化)★フェニキアでアルファベット文字
B.C.1290-1250 出エジプト 新王国時代・第19王朝ラメセス2世(1290-1224)
B.C.1200 初期鉄器時代
士師時代 サムエル トロイ戦争 ペリシテ人のパレスチナ侵入
B.C.1020-1000 イスラエル王サウル
B.C.1000-961 ダビデ王
B.C.961-922 ソロモン王 エルサレム神殿建設
★旧約聖書ヤハウィスト文書(J資料)ダビデ王位継承史
B.C.922 王国分裂(南王国ユダ・北王国イスラエル)
B.C.900 ポリス成立(ギリシアの都市国家)
B.C.869-850 北イスラエル王アハブ
★旧約聖書エロヒスト文書(E資料)預言者エリヤ・エリシャ
B.C.842 ヤーウェ主義革命
B.C.800 ホメロス
B.C.776 第1回オリンピック競技会
B.C.758? ローマ市建設
北の預言者アモス・ホセア、南の預言者イザヤ・ミカ
B.C.722 北王国滅亡アッシリアに征服される
【 聖書の成立に関わる年表・前編 その2 】
B.C.671-652 エジプトがアッシリアの支配下に置かれる
南の預言者ゼファニア・エレミア・ナホム
B.C.622 申命記改革 ★申命記文書(D資料)南ユダ王ヨシヤ(640-609)
B.C.628 新バビロニア帝国(カルデア王国)ネブカドネザル(626-605)
B.C.609 メギドの戦い(ハル・メギド=ハルマゲドン)末期王国時代ファラオ・ネコ2世(609-594)
B.C.609 カルケミシュの戦いでパレスチナ・シリアはバビロニアの支配下におかれる。
B.C.597 第1次バビロン捕囚
南の預言者エゼキエル
B.C.587 第2次バビロン捕囚 南王国滅亡
B.C.582 第3次バビロン捕囚 ★旧約聖書・哀歌 祭司文書(P資料)
滅亡後の預言者、第2イザヤ
B.C.539 バビロニア帝国はペルシャ王キュロスにより征服される
滅亡後の預言者、第3イザヤ
B.C.538 ユダヤ人帰還開始(キュロスの勅令)
B.C.520-515 第2神殿再建
B.C.509 共和制ローマ
B.C.445 ネヘミヤ、ユダヤ知事としてエルサレム着任
B.C.430 エズラ、「モーセの律法」を朗読 サマリヤ教団成立 ユダヤ教成立
B.C.404 エジプト第28王朝ペルシャから独立
★旧約聖書モーセ五書編集(創世記・出エジプト記・民数記・レビ記・申命記)
B.C.331 アレクサンドロス大王、パレスチナ征服 アリストテレス(384-322)
B.C.312-280 セレウコス1世ニカノル(大王の部下、シリア・ペルシャに独立)
B.C.310-305-285 プトレマイオス1世ソーテール王(大王の部下、エジプトに独立)
B.C.302 プトレマイオス王朝、パレスチナを支配
★旧約聖書「預言書」編集(ナビーム)ヨブ記・エステル記・箴言・コヘレトの言葉(伝道の書)
B.C.285-246 プトレマイオス2世フィラデルフォス王 ●七十人訳聖書(ギリシア語旧約聖書)
プトレマイオス朝の宗教寛容政策によりユダヤ教発展 ★旧約聖書ゼカリア書
【 聖書の成立に関わる年表・前編 補足その1 】
記載がなかったが、旧約聖書の「詩篇」の成立は、
紀元前2世紀からペルシャ時代(紀元前6世紀から前4世紀)と推定される。
ダビデ時代のように詩篇を歌い継ぐのではなく、文字として記録されたのが、
七十人訳ギリシア語・旧約聖書までと推定されているからである。
AD90年頃の「ヘブライ語聖書の成立」と言うのは「編纂完了の年代」であって、
紀元前1世紀頃の「死海文書」のヘブライ・アラマイ(ヘブル・アラム)語聖書は、
エステル記が未発見な(たぶん書き記しで成立してなかった)以外は、
現在の旧約聖書の如く各編が出来上がっていた。
「死海文書」以前の いつ頃に書かれ始めたかの詳細は不明。
【 聖書の成立に関わる年表・前編 その3 】
B.C.246-221 プトレマイオス3世エウェルゲテース
ヘレニズム化進行 ★旧約聖書の歴代誌・エズラ記・ネヘミヤ記
B.C.219-217 セレウコス朝アンティオコス3世大王 パレスチナ侵攻
★旧約聖書ベンシラの知恵・トビト記
B.C.198 プトレマイオス朝支配終わる。セレウコス朝の支配下におかれる。
B.C.167-162 マカベア戦争(ユダヤ独立戦争)
B.C.164 エルサレム奪還、神殿再奉献 ★旧約聖書ダニエル書
ユダヤ独立、祭司は王を兼任 ハスモン王朝
B.C.63 ローマの将軍ポンペイウス、エルサレム占領、属州シリアに編入
B.C.37 ヘロデ、エルサレムを支配下に置く ヘロデ大王(37-4)
A.D.6 ローマの直轄地となる 総督コポニウス(6-9)・総督アンビビウス(9-12)・
ルフス(12-15)グラドス(15-26?)総督ポンティオ・ピラト(26-36)・フェスト(36-41?)
A.D.33-36? イエスの十字架と復活と昇天、弟子達に聖霊降臨
A.D.37-41 ガイウス(ローマ皇帝カリギュラ)
A.D.41-44 アグリッパ1世 ユダヤ・サマリアを併合 死後ローマの属領に戻る。
A.D.41-54 ローマ皇帝クラウディウス1世
A.D.50 ★新約聖書・第1テサロニケ書
A.D.55 ★新約聖書・第1コリント書・ガラテヤ書・フィリピ書・フィレモン書・第2コリント書
A.D.58 ★新約聖書・ローマ書
A.D.54-68 ローマ皇帝ネロ
A.D.66-70 第1次ユダヤ戦争 エルサレム陥落(70) マサダの要塞陥落(73)
[68年にネロ帝が亡くなる前で64年ごろ]にパウロ・ペテロ殉教 ★新約聖書・マルコによる福音書
A.D.69-79 ローマ皇帝ウェスパシアヌス
A.D.90? ●ヘブライ語聖書(旧約)成立 ★新約聖書・マタイによる福音書
【 聖書の成立に関わる年表・後編 補足その1 】
★マルコによる福音書
パピアスやエイレナイオスによると、
使徒ペテロの語ったところを弟子マルコが記録したものであるという。
ネロ皇帝の迫害(AD64年)の直後65〜70年に記述と推定されている。
エウセビオスの『教会史』によれば、ペテロが亡くなって、主イエスを知る人が居なくなり、
イエスの生前の事実が忘れ去られる事をおそれ、バビロニアから戻ったマルコが、
フィロンの勧めでアレキサンドリアで記録に残したという。
○ 兄シモン(ペテロ)・弟アンデレと、ゼベダイの子・兄ヤコブ・弟ヨハネが、
同じ家で会い、主イエスに召されたわけです。
ギリシア語シモンはマルコ福音書で9回使われ、ヘブル語でシメオンと言う。
ペテロの名で19回使われている。シモンとペテロは同一人物である。
★ヨハネによる福音書
アレクサンドリアのクレメンス(2世紀末・170年以降)に、
マルコ・マタイ・ルカの「共観福音書」に対して「精神的福音書」と呼んだ。
日本基督教団の解説では、AD90年代にグノーシス思想の一派、
「仮現説(ドケティズム)」異端(歴史的にイエスは存在しない)に対抗する為に、
長老ヨハネが執筆したとしている。
学者によっては二世紀初め(100〜130年代)としている説もある。
○ 愛弟子のヨハネで、ゼベダイの子の使徒ヨハネでないとしている。
ペテロの弟アンデレが、兄シモン・バルヨナ(ペテロ[マタイ16:17])を呼んで、
兄弟して主イエスに会ったと解釈されている。
参考:新約聖書略解(日本基督教団)フランシスコ会聖書研究所注解・新約聖書。
【 聖書の成立に関わる年表・後編 補足その2 】
それと諸々の紹介。
○ヨハネ福音書・書簡・黙示録は、パトモス島流刑の使徒ヨハネ(85年〜90年)による執筆。
従来は学者により2世紀の中頃(133−167年代)に書かれたという。
ジョン・ライランズ・パピリという,この福音書の写本(135年と推定)の断片が発見され、
発見されたエジプトの内陸部まで伝わるためには,
少なくとも数十年はかかると考えられるから90年代と推定したのである。
○マルキオン(140年代活躍)は黒海沿岸ポントス・シノペ生まれ、ローマに行った事がある。
2世紀つまり100年代で、
マルキオンのルカとパウロ書簡のみの聖書(140年代)や、
ヨハネ福音書・書簡・黙示録(110〜150年代)が出来た、
グノーシス・キリスト教(異端)が全盛の頃。
★かつて正典であったり正典と同じように使われていた書簡。
( 五世紀前夜の397年のカルタゴ会議で決定した新約聖書27巻以前の重要書簡 )
『十二使徒の教訓(ディダケー)』50〜70年頃、100〜150年頃の
2つの執筆年代説がある。 教会運営が内容。著作場所はシリア。
『バルナバの手紙』70−96〜98−170年頃の著作。
シナイ写本でヨハネの黙示録の後に載る。著作場所はアレクサンドリア。
『ヘルマスの牧者』110年代〜130年頃、及び140年代。
シナイ写本の正典。著作場所はローマ。
【 聖書の成立に関わる年表・後編 補足その3 】
個人的には『トマス福音書』も正典に加えたいのだが。。。
『トマス福音書』は1945年に、
エジプト・ナイル河畔で発見されたナグハマディ写本の一つであり、
200年以前に150年以降に成立し、
シリア語が原本と推定されエデッサで執筆されたと比定されている。
この文書が異端に指定した教父と理由は、
ヒッポリュトスが230年頃の『全異端反駁』でグノーシス・ナハシュ派で言及し、
オリゲネスが233年『ルカ福音書講解説教』で異端的福音書に言及し、
エウセビオスが324年『教会史』の中で、
異端者たちにより「使徒たち」の名で偽作された「外典」の一つに数え、
シデのフィリッポスが430年頃の『教会史』の中で異端者たちの著作である、
と言っている事による。
トマス福音書はマニ教徒の間に流布され、
中部エジプト・ファイユーム出土のコプト語マニ教文書にも並行箇所があり、
中国・西域トルファン出土の中世ペルシア語文書にトマス福音書と並行箇所がある。
マニ教で採用されたが故に、
その異端さが憎まれ、正典から完全に排除されてしまった文書である。
→ トマスによる福音書 荒井献(あらい・ささぐ) 講談社学術文庫1149
本体1000円+税
【 聖書の成立に関わる年表・後編 その4 】
< 正統と異端の境目:私的考察 >
★キリスト教は、ユダヤの世界観を、聖書の記録に使用したのも含めて、
グノーシスや古典などギリシアの哲学用語で説明していた。
★グノーシス思想は、ユダヤの神の説明を言葉尻を捉えて揶揄して、
ギリシアの世界観に、組み込んで説明していた。
★グノーシス異端に対する反駁。
ガリア・リヨンのエイレナイオス(170年代に司祭[長老])の
『異端反論』ラテン語訳で現存。
ローマのヒッポリュトス(170年代生まれ)の
『全異端反論』(200年代執筆)西方最後のギリシア語著作者。
キプロス・サラミスのエピファニオス(315年生まれ)の
『薬籠(薬箱:パナリオン)』(373年ごろ執筆)とアポリナリオス異端。
→ 【 原典 古代キリスト教思想史 全三巻 小高毅編 教文館 】
→ 【 エッセンシャル 聖書辞典 山口昇監修 いのちのことば社 】
【 聖書の成立に関わる年表・後編 その5 】
< とあるグノーシスの一思想 >
デミウルゴス(製作者とも造物神とも訳す)は、
もともとは古代ギリシアの「公共職人」を示して使われる言葉。
それをプラトンが、公共職人(デミウルゴス)と言う単語を著書に用いた。
グノーシス思想では、造物神は最高神ではない。
→ 新キリスト教辞典 いのちのことば社
ナグ・ハマディ文書 救済神話 プトレマイオスの教説 第五章に登場する。
ヤルダバオート(「ヤハウェを貶める」の意味の造語)・
サクラス(馬鹿者)・サマエール(盲目の神)とも呼ぶ。
アイオーン(世界・流出)からプレーローマ(充満)があり。
美のプレーローマ、プレーローマの星こそが、救世主イエスと言う。
アイオーンは、ビュスト(深遠)・シゲー(沈黙)をアルケー(根源)とし
そこからエンノイア(思考)が、ヌース(叡智)とアレーテイア(真理)を生み
さらにロゴス(言葉)とゾーエ(生命:ヘブル語のエバ)を生んだ。
ロゴスとゾーエは、アントローポス(人間)とエクレーシア(教会)を生んだ。
またプレーローマ(充満)から、30のアイオーン(世界・流出)より
アカモート(ヘブル語ホクモート由来の借用語:不妊のソフィア(知恵))が
第八天を創造し、母となり
その母から天使の一種のデミウルゴス(旧約の神)が生まれて
第七天以下の七つの天を創造した。
デミウルゴスは自分が作った七つの天を、全ての世界と思い上がって
サクラス(馬鹿)であった。
*ヨハネのアポクリュフォーン?から
ヤルダバオート(デミウルゴスの別名 ヤハウェを悪く語呂合わせしたアダ名)は妬む神であった
自分が作った天使たち以外に住める他の神の世界があるのはおかしい
妬むには他に神がいるから妬むのであり、ヤルダバオートは思い上がりであり
妬む神の妬みは、一人しかいないで妬む自作では不自然である。
【 聖書の成立に関わる年表・後編 補足その6 】
聖書辞典 新教出版社
p261 せいてん 正典 ・・・結局,{五世紀前夜の}393年のヒッポ会議,
397年のカルタゴ会議にいたって現行の形{新約聖書27巻}で正典化された。
p258 せいしょ 聖書 ・・・[原典と写本]聖書はもともと,
羊皮紙あるいはパピルス・・・紙に書かれていた。
・・・今ではこの原本は失われてしまったが,原本から多くの写本が残され,
それがもととなって今日の聖書が編集されている。
2世紀ごろの写本の断片も存在するが,
・・・現在残されている有名な写本には、次のようなものがある。
@アレキサンドリヤ写本〈記号A〉
1628年・・・発見された。5世紀のもの。
Aヴァチカン写本〈B〉
写本の中で重要視されている・・・4世紀の作。
Bシナイ写本〈アレフ〉4世紀のもの。
Cエフライム写本〈C〉5世紀に属する。
D死海写本 1947年・・・クムラン洞穴で発見・・・。
【 聖書の成立に関わる年表・後編 補足その7 】
新約聖書はなぜギリシア語で書かれたか(大修館書店)
のp83には、新約聖書はコデックス「綴じ本」で、
「ヴァチカヌス」(ヘブライ書の後半部分、テモテ書の一と二、
テトス書、フィレモン書、黙示録が欠如している。)と、
「シナイティキュス」(新約聖書全巻、バルナバの手紙、
ヘルマスの牧者が収まっている。)であった。
ほかに、p104「ビザンチン写本」と呼ばれるグループの写本で、
エラスムスがギリシア語テキストを確定する。
黙示録22:16−21が欠如していたが、
ラテン語版をギリシア語訳にして作った。
1516年のギリシア語テキストは、
こうして出来上がって印刷屋に渡された。
またp108−110には、
300年ごろの標準テキストの大改訂があって、
三グループあったという。
(1)「アンティオキア写本」・・・「シリア写本」
(2)「アレキサンドリア写本」・・・「エジプト写本」
(3)「西方写本」・・・「コデックス・ベザエ」
新約聖書略解(日本基督教団出版局)概説p15では、
日本の口語訳のテキストとして用いられたものは、
ネストレ編集の「ギリシャ語新約聖書」で、
19世紀後半に原文から校訂したテキストです。
新共同訳の聖書の序文の最後に、
(2)新約聖書「ギリシア語新約聖書(修正第三版)」
(聖書協会世界連盟)とあります。
【 聖書の成立に関わる年表・後編 その1 】→旧題名【 聖書の構成変化の流れ 】
55年ごろからパウロ書簡、64年以降にマルコ伝、
[130〜170]年ごろまでにヨハネ伝・ヨハネ書簡・ヨハネ黙示録。
@マルキオン(140年ごろ)の聖書、ルカ伝+8書簡。
Aイレナエウス(180年ごろ)の聖書、4福音書+使徒行伝+13パウロ書簡
(フィレモン・ヘブライ・Tペテロ・TUヨハネ除く、黙示録は外典)
Bテルトゥリアヌス(203年ごろ)の聖書、
4福音書+使徒行伝+13パウロ書簡+ユダ書+ヘブライ+バルナバ+ヘルマスの牧者
Cオリゲネス(200年代前半)の評価、27書は疑わしい。
●ヒエロニムス(300前後)がラテン語聖書の編纂の際に旧約をヘブライ語から翻訳。
Dエウセビオス(325年ごろ)ニカイア会議前から「教会史」書き始める。
E小アジアのラオディキア会議(363年)、ヨハネの黙示録を除く26巻を正典に。
Fアタナシオス(367)第39復活祭書簡、2[7]書を増やしても減らしてもいけない。
Gヒッポ会議(393)カルタゴ会議(397)27書を正典と確認。
Hコンスタンチノープルのトゥルルス会議(692)
東方教会がヨハネの黙示録を、[外典から]正典に承認し27書を決定。
Iルター(1522)ヘブライ・ヤコブ・ユダ・黙示録を正典から外す。