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258ろんぎぬす
>>238

【 ロシア的「罪」の理解 その1 】

宗教的「罪」は、грех:グリェーフ(グレーフ)と呼ぶ。
使い方として、
@しかたない損も(責任も)半々に(半分こに)грех пополам
Aグリェーフを使う、若気の過ち грехй молодости
失敗・間違いの語を使う、若気の過ち ощйбки молодости
B彼を虐めるのは可哀想 
грех его(彼を)обежить:アビジャ−チ(怒らせる:侮辱する)
とあり、このことから、法律ではなく生活上の罪、
ロシア的な宗教的「罪」の使い方は、
「神様を怒らせるような事をしでかした」「どっちの人間にもある過失」
「人生一度は誰もがする失敗」と理解できる。法律を破ったの意味ではない。
慣用句というか、決まった言い方に、
人間は皆、罪人です все Люди грещнь?
罪の赦しを神に祈る замолить грех
とあり、似た語幹に、
греция:ギリシア(国名・民族名)や、
@原罪A背信という意味に、грех−опадение の単語がある。
ギリシャな奴、とは、罪創りな奴って事か?これは言葉のあやです。
ロシア文学「罪と罰」で使われる「罪」は、
Пре−ступление:プレ−ストゥプレーニエ
越える−歩む(踏み越えてしまう)という法律上の罪を意味する。
259ろんぎぬす:02/09/22 18:50
【 ロシア的「罪」の理解 その2 】

→ ドストエフスキー 罪と罰(下)江川卓訳 赤613−7岩波文庫 
定価(本体760円+税)
p428 ロシア語を知らないと気がつきようもないが、
この長編の題名の一要素である「罪」の原語「プレストゥプレーニエ」
は「越える」を意味する「プレ」という接頭辞(せっとうじ)と、
「歩む」を意味する「ストゥパーチ」という動詞の合成語から派生した名詞で、
原義は「ふみ越えること」の意味なのである。
ロシア語で「罪」をあらわす言葉には、このほかに、
主として神の掟を破った罪を意味する「グレーフ」という名詞があるが、
「プレストゥプレーニエ」のほうは、人間の定めた掟を「ふみ越えた」罪、
つまり、犯罪なのである。
p429 ・・・ソーニャは自分のことを「罪の女」と呼んでいる。
この「罪の女」の原語は、神の掟を破った罪を意味する「グレーフ」
から派生した「グレーシニツァ」である。
ということは、神を信ずるソーニャが抱いていた罪意識を、
「ふみ越えた」という言葉によって、
ラスコーリニコフが強引に自分の罪意識に引き寄せ、
彼女を自分の「同類」にしようとしていることを意味するのだろう。

ちなみにキリスト教徒で「罪の女」と聞けば、
売春婦とか、マグダラのマリア(マグダレーナ)を思い浮かべるだろう。
帝政ロシア時代の売春婦は、黄色い免許証を持っていた。つまり公娼制だったのである。
中国と同様に「黄色」だった。日本だけ「桃色」。アジアじゃないかも。