【奥儀】そうだ、ウパニシャッドを語ろう!【真我】

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サンスクリットは、理路整然とした言葉で、語根から動詞も名詞も派生します。
「ラーフ」と「ラーフラ」は同じ「ラフ」から派生した名詞で、意味は似ています。
ですが、語根にアがつくものとラがつくものでは意味が違いがあります。
語根「ラフ」は、「欠」「障」「捨」という意味の源泉です。
語根「ラフ」にウがついた「ラーフ」は、「欠き」「障り」「捨て」という名詞になります。
語幹「ラーフ」にラがついた「ラーフラ」は、「欠く者」「障る者」「捨てる者」という名詞、
あるいは「欠けた」「分けた」「捨てた」というような限定詞・形容詞になります。

強引に日本語で喩例を示せば、語根「い」に、「く」を付けて名詞「行く」、
語幹「行く」に「やつ」を付けて「行くやつ」という名詞になるようなものです。
「行く」と「行くやつ」は意味は似ているけど違うでしょう。それと同じです。

そこで「ラーフ」は、月の欠け、月食を意味し、月食を行うアスラの名前になったと思われます。
「ラーフラ」は、釈尊の道を妨げるという意味で、「障る者」と名付けられたのではないかと思います。

根拠は、
語幹にラ: パーニニ5.2.96-98. Kale 文法の213頁、
      アビヤンカル梵文法辞書の lac 項目、ラグカウムディー1271です。
語根にウ: パーニニ3.3.1, 3.4.75. 辻文法の214頁、アプテ rAhuH 項目、
      アビヤンカルの uN, uNAdi 項目、ラグカウムディー902-903です。
      
傍証として、赤沼固有名詞辞典、BHSD、モニエル、梵和は全て、「ラーフ」は月食等の名詞、
「ラーフラ」は、男の人名とされます。その逆はなく、同じ意味としていないことを挙げます。

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