消え行く日本の物作り。携帯電話開発は今 0x10

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422仕様書無しさん
昨年の話だけど、結婚した同僚が
新婚旅行の休暇を申請した時の事だった。
課長:「今がどういう状況か、知ってるよな!?」
(圧迫するような口調でそう言った。)

彼は1年前からその予定をオープンにしていたのに、
結婚式の1ヶ月前に申請手続きをしようとした時に
まさに土壇場になって、休暇の申請を却下された。

花嫁の方は真っ当な職業に就いていたようで、2週間
の休暇を無条件で与えられていた。そして、やはり
1年前から新婚旅行の夢のプランを練りに練っていた
そうだ。職場の上司や同僚も皆宴会芸を披露したくて
楽しみにしていたそうだ。

しかし、彼の職場では上司に招待状を出すと、
「うちにはそんな文化は無いって、分かっているよね!?」
と圧迫するような口調でそれをゴミ箱に捨てられてし
まった。他にも招待していた同僚達も、目を伏せて、
招待に応じられない事を無言で伝えていた。

結婚1週間前のあるレストランの夕食の席で、
「課長や部長たちと言ったら、まるで我が娘を送り出す
みたいな気持ちで、ほんと嬉しい勘違いって言うのかしら」
婚約者は屈託の無い笑顔を見せていたが、彼の方は作り
笑いで話を合わせるのが精一杯だった。そして、彼の
表情はこわばり、頬を涙が伝った。
423仕様書無しさん:2006/12/09(土) 17:19:58
「どうしたの?」
彼女は驚いた。
「ごめん、新婚旅行は行けなくなってしまった。仕事を休めないんだ…」
「え?どうして?どうしてなの!?1年も前から楽しみにしてきたじゃないの!」
事実、彼は1年前から上司に結婚の話と、新婚旅行の休暇申請の話を伝えていた
のだが、上司はただ一言。
「そうか」
と答えただけであった。同僚に話した時も、やはり、
「そうか」
の一言だけだった。俺は休憩時間によく話をする仲だったので、楽しみにして
いた。
「課長、1週間程度でしたら、その間私が一時的にカバーする事もできますよ」
と俺が申し出ると、
「変な奴だなあ。なんで君がそんな気を回す必要があるんだ?」
と不思議そうな顔をされて、言葉を失ってしまった。周囲の同僚も不思議そうな
目を一瞬こちらへ向けて、すぐに自席のPCに戻った。気まずい沈黙が漂った。
結婚予定の同僚は、震える声で俺にこう言った。
「いいんだ。いいんだよ、君が身代わりにならなくても」
「何を言ってるんだ!人生の一大事じゃないか。遠慮する事は無いだろ?」
俺は思わず叫んでしまった。
「うるさい!茶番なら外でやってくれよ!職場を巻き込むな」
課長は迷惑そうに怒鳴った。
そして彼は机に戻って、頭を抱えて突っ伏した。

「ほら、お前も仕事に戻れ」
課長は呆然とする俺に冷めた口調で言った。
424仕様書無しさん:2006/12/09(土) 17:32:43
俺の中で何かが切れた。
俺は課長の机の上に両手を激しく叩きつけて、叫んだ。
「お前には、人間ってモンがひとかけらも無いのかァァァアアアアア!!!!!」
殴った。

殴った。

倒れてもなお、蹴り続けた。同僚は誰も止めないし、見て見ぬ振りをしていた。
結婚予定の同僚が我に返って、俺を止めに来るまで暫く時間が過ぎたように思えた。
無限とも思える時間をかけて、俺は課長を殴っていたように感じた。
血にまみれた両の拳は、既に感覚が麻痺していた。それでも、俺は殴れば殴るほど
殴り足りなくなった。

椅子を持ち上げてトドメを刺そうとするところを同僚に止められた。
他の同僚の誰かが警察を呼んだ。

上司に全治6ヶ月の重症を負わせたという言いがかりで、俺は即刻解雇&逮捕された。
取調室で俺はこう言われた。
「君ィ、大体の事情は飲み込めた。確かにあれは酷い環境だったな。しかしな、
上司の片目を失明させるまで殴り続けるのは、立派な犯罪だぞ。」

刑務所生活の間、その同僚だけは時々面会に来てくれた。
「その後の新婚生活はどうだい?」
「新婚生活?ああ、聞いてなかったか。直前でキャンセルだ。新婚旅行もろとも」
彼も俺も、苦笑した。ムショの生活は本当に長く感じられた。