【政治】マ板ニュースオッチ Ver2【経済】

このエントリーをはてなブックマークに追加
530仕様書無しさん
>>529
それを「幇助」という枠組みで罰するのが適切かどうかという観点を
忘れてはいけない。今回の事例が判例として成立すると
幇助の概念は具体的な協議を要件としないように今後拡張されることになる。
幇助の概念は広く様々な事例に関係があり、判例変更の影響は非常に大きい。
感情的に、あるいは社会的にどんなに許せなかろうと
法が事前に明確に禁止ししてない行為を罰することは罪刑法定主義という刑法の大原則に反する。

また言論の自由も忘れてはいけない。どういう意見を持ち披瀝していようが、
それがために単体では犯罪でない行為が犯罪に変わることがあってはなるまい。
それは言論の自由に対する重大な規制になり得るし、
前述の罪刑法定主義的にも納得のいくところではない。
(過失犯と故意犯のように犯罪の評価が変わることはありえるが。)
ソフトの開発がそれ自身では犯罪性を持たない以上、
著作権侵害の可能性について認識していたからといって犯罪に変わるわけではない。
たとえばレコーダー(ICでもテープでもDVDでもHDDでも)は明らかに
著作権侵害の危険をもつ機器だが、レコーダー開発者は罰せられるべきだったか?
またその開発者が著作権について批判的な言を公にしたかどうかで
刑事罰を受けるかどうかが変更されるとしたらそれは適当だったろうか?
531仕様書無しさん:2006/12/18(月) 11:36:44
また、損害の原因を問うのに刑事訴訟を使うことが
適当かという問題もある。
罪刑法定主義というのは社会的な問題解決システムの一部である
司法制度のコストに対するポリシーでもあるからだ。
事前に定義された行為が(実際は警察や検察の裁量で起訴されないことがあるとはいえ)
自動的に訴追対象になり組織が対応する刑事の仕組みは、
問題が起きても訴訟するかどうかを関係者が費用対効果を考えて選択できる民事に比べると
コスト高なシステムであり、むやみに拡張し、頼るべきものではない。
現在刑法で規定されているものは極力起こらないようにすることが必要な、
起こってしまうと重大な結果や取り返しのつかない結果になることが
明らかな(実際的には社会的に合意が出来た)行為に基本的には限られている。

著作権侵害が罰則規定を持つのは
海賊版などもっと明らかで直接的かつ悪質な事例に適用するためのものだ。
今回のような著作権法が予定しない微妙な事例を、
それも幇助概念の拡張という他の事例に対する影響も大きく強引な方法で
いきなり刑事告発するのは法システムの濫用だ。
経済的な侵害に対して行為者本人のみならず
開発者が責任があるというならば、
まず権利者は民事で争うことを検討すべきだ。
もし民事的解決ができないようなら刑事事件化はもとより不適当だということだ。
532仕様書無しさん:2006/12/18(月) 11:38:41
実際問題としても私はそれが適当だろうと考える。彼を刑事的に罰した場合、
彼のキャリアと生活は破壊されるだろうし、そうなった場合、
彼が著作権保護に協力的な態度になると期待できる筈もない。
しかし、民事なら和解・調停の余地が有り、
きちんと和解すれば著作権保護に配慮した改良版の研究・開発など
社会的により有用な方向で取引の余地はある筈だ。
特に今回の事例は明らかな犯罪行為とは元々言いがたい面がある
事例であるから和解してもそれが社会正義に反するとはいえまい。