62 :
パトレイバー2:
取締役:「早朝にも関わらず、全幹部職員を緊急招集したのはほかでもない。
現今の情勢下に銀行としてその職務を真っ当するに当たって、いかなる方針で臨むべきか、
それを討議するためである。
状況が状況であるので今日は特に頭取の列席をお願いした。
が、その前に。今朝未明、営業部門に対し、システム部長名を持って預金データ復旧要請がなされた。
南雲システム部長、これはいったいどういうことか。」
南雲 :「その前にここにお集まりの方々に申し上げたい。」
取締役:「君の意見など求めてはおらん。システム担当取締役である私の承諾も得ず、これは全くの越権行為だ。
君の行ったことは銀行内部の秩序を乱し、ひいては社会に無用な混乱を招く軽率な行動だったとは思わんのか?」
南雲 :「では確たる根拠もなしに行われた復旧宣言は軽率ではなかったのか。
今回の非常事態を招いたそもそもの原因は、銀行の併合によるシステム統合に乗じ、
上層部内の一勢力がその影響力拡大を性急に追求したことにあることは、ここにいる全員が承知のはずです。」
頭取 :「貴様!」
取締役:「南雲君、銀行内部に一種の政治的策謀があったとする君の発言は聞き捨てならんが、
上層部内の一勢力とは一体誰のことかね?」
南雲 :「ご自分の胸に聞かれてはいかがですか?」
(着信音)
後藤 :「ちょっと失礼します」
松井 :「後藤さん?やっちまったよ。15分ほど前だが処理された引き落としをもう一度かけちまった...」
:
南雲 :「銀行の併合を盾にシステム統合を急かして現場の危機感を煽り、自体をここまで悪化させた責任を誰がどのようにとるのか。
部内の秩序を論じるならまずそのことを明らかにしていただきたい」
取締役:「システム屋内部には銀行OBも多数いることを知らんわけではあるまい。ことは既に政治の舞台に移された。
今は彼らを刺激することなく、その行動において協調を図り、復旧の早期実現を模索すべき時だ」
南雲 :「その為にも銀行上層部がその責任を明確にし、自らの非を世間に正されてはいかがですか」
取締役:「この国にはわが行だけが存在するわけではない。
この状況が長引き、万に一つとはいえ金融不安まがいの状況が出現することにでもなれば、
財務省の介入すらありえる。
金融を預かる銀行が自らの失態を認めるかのごとき行動は、いたずらに社会不安を増長させることにもなる」
南雲 :「この期に及んでもまだそのような世迷いごとを。あなた方はそれでも銀行マンか!」
取締役:「システム構築の責任者とおもえばこそ大目に見てきたが、その暴言はもはや許せん。
南雲部長、システム部長の任を解き、別名あるまでその身柄を拘束する」
南雲 :「私に手を触れるな!」
取締役:「後藤君、君はどう思うかね?」
後藤 :「戦線から遠のくと楽観主義が現実にとってかわる。
そして最高意思決定の段階では、現実なるものはしばしば存在しない。
戦争に負けている時は特にそうだ。」
取締役:「何の話だ?少なくともまだ戦争など始まってはおらん」
後藤 :「始まってますよとっくに。(間に合わないと)気付くのが遅すぎた...
システムを統合する前、いや、計画が持ち上がってからずーっと...
突然ですが、あなた方にはあいそが尽き果てました。自分も南雲部長と行動をともにいたします」
取締役:「後藤君、君はもうすこし利口な男だと思っていたがな。」
頭取 :「ふたりとも連れて行け」
ガチャッ :「たった今、NTTの銀行振替により250万件の引き落とし漏れが!」
後藤 :「だから!遅すぎたと言ってるんだ!」