先日、台湾で「史上最大」と地元メディアが大騒ぎするスパイ事件が発覚した。
「犯人」はもちろん、台湾と海を挟んでにらみ合う中国共産党だ。
退役した台湾軍の元陸軍少将が戦闘機やミサイルの情報を人民解放軍の元高官に流していたらしい。
60年以上前に戦火を交え、まだ平和条約が結ばれていない中国と台湾が激しい情報戦を繰り広げるの
は、ある意味当然のこと。
ただ、中国と平和条約を結んでいる日本も、残念ながら「情報戦」と無関係ではない。
上海総領事館の電信官がハニートラップの罠にかかって暗号解読システムの提供を強要され、自殺し
た事件を覚えている読者も多いだろう。
一般的に、中国のスパイの手法は「広く薄く」情報を集めるのが特徴……とよく言われる。
日本に住む中国人は登録されているだけで65万人。実際、不自然な動きをしている在日中国人はいる。
歌舞伎町で、少数民族出身の工作員が店の裏方として働きながら日本語を取得し、やがてスパイとして
活動する、という話を聞いたこともある。
「俺は政府高官じゃないから関係ない!」と思うサラリーマン諸氏もいるかもしれない。
だが、クラブで隣に座った中国人ホステスが実は産業スパイで……という展開だって十分にあり得る。
実は中国は最近、人に頼ったスパイ活動よりネットを利用したサイバースパイに重点を移している、とも
言われる。
中国の情報機関はサイバースパイで「あまりに簡単に情報が取れることに驚いた」らしい。
「人と人の濃厚な接触」を悪用したハニートラップ、そして時代はサイバースパイへ。
スパイの形態は、状況によって変貌していくのだ。
日刊大衆[2015-02-19]
http://taishu.jp/14011.php