「この問題は、他の法制度や判例、家族関係をめぐる現状も考えなければ、答えは出ません。
まず、家族関係については、次のような現状があります。
(1)通常、出生から1年が経過しないと、DNA鑑定や血液型の検査は行わない
(2)血縁上つながりのない父親の場合、母親に支払った『養育費』を不当利得として取り返せない(最高裁判例)
(3)不倫などの不貞行為の『慰謝料』が比較的安い
そうなると、子どもが生まれてから1年が経過した後になって、自分の子どもと『血縁上のつながり』が
ないことが判明したとしても、その父親を待ち受けているのは、次のような事態です。
(1)子の出生から1年を過ぎてしまうと『法的な親子関係』を否定できない
(2)『養育費』も支払わなければならない
(3)母親から受け取る『慰謝料』では養育費をまかなえない
こうなると、父親としては『踏んだり蹴ったり』ですよね」
●出生と同時に「DNA鑑定」すべき
「このような事態を避けるために、次のような対策が考えられます。
(A)子の出生と同時に『DNA鑑定』を行うことを常態化する
(B)民法777条(夫が父子関係を否定する場合、子どもの出生を知った時から1年以内でなければならない)の
期間を『3年程度』に延ばす
(C)『養育費』として支払った金額を妻や血縁上の父親に請求できるよう、法律を改正するか、判例で認める
(D)このような事案については、母親から支払われる『慰謝料』の額を大幅に増やして1000万円単位にする
Dについては、実際に慰謝料の請求が認められたとしても、支払いが本当に可能なのかという問題があります。
そこで、私としてはA、B、Cの3つによって解決を図るべきだと考えます」
●立法的措置に関する議論を深めるべき
「DNA鑑定によって父親との血縁上のつながりがあることがより明確になれば、父子関係がさらに強固になります。
もし、つながりがなければ、父親にはその子を自分の子として養育するかどうかの選択肢が与えられます。
子どもにとっても、『血縁上の父』を早期に探すきっかけになります。
子どもの『血縁上の父親に育てられる』という利益も考慮すべきです。
母親としては反対する理由はないでしょう。反対するのは、何か思い当たる節がある母親だけです。
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