海外メディア「台風で日本の原発がヤバイ」

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原子力に未来はあるのか−トリウム原子炉の道 世界の現況と開発秘史 (朝日選書) 2014年05月15日02:37

今週の言論アリーナでも話したように、日本では「原子力=軽水炉=福島」と短絡して、今度の事故で原子力はすべてだめになったと思われているが、技術的には軽水炉は本命ではなかった。
1950年代から本書のテーマとするトリウム溶融塩炉が開発され、1965年には発電を行なった。
理論的には溶融塩炉のほうが有利だったが、軽水炉に勝てなかった。

それは軽水炉には、原子力潜水艦という「キラー・アプリ」があったからだ。
小型で構造が簡単で、空気なしで何年もエネルギーを供給できる軽水炉は原潜に最適で、米海軍の電気部門の責任者ハイマン・リッコーヴァーが強く推進した。
その要素技術は核兵器と共通で、核分裂でできるプルトニウムが核兵器の材料になることも有利だった。

しかしこれは商業用の原子炉としては、不利な要因ともなる。
海軍が莫大な初期投資をしたので、軽水炉は安上がりだったが、炉心溶融という致命的な事故を原理的には防止できないため、安全設備に大きなコストがかかる。
そこから出てくるウランやプルトニウムの拡散を防ぐコストも大きい。
リッコーヴァーは、晩年に「核拡散を防ぐためには軽水炉をやめるべきだった」と述懐したという(本書p.226)。

本書の推奨するトリウムは、ウランに比べると4倍の埋蔵量があり、放射能もきわめて微量だ。
核反応でウラン233ができるが、これで核兵器をつくることはできない(不可能ではないが非常に困難)。
またエネルギーが上がると、液体(溶融塩)が膨張して核反応が止まる固有安全性があるため、炉心溶融のような暴走は物理的に起こりえない。
しかし世界の原子力業界では、軽水炉とその延長上の高速炉が圧倒的多数派で、今週の番組でも専門家が説明したように、実用に近いのはこのグループの技術だけだ。
日本にもトリウムの研究者はいるが、理論の域を出ない。開発予算がつかないからだ。

日本の政治的状況を考えると、向こう10年は軽水炉の新規立地は政治的に不可能だろう。
このまま原発を新設しないと、おのずから2040年代にはほぼ「原発ゼロ」になる。
電力業界も政治的に厄介な原発より、コストの安い石炭火力に力を入れている。それは経営合理的だが、長期的に考えるとどうだろうか。

あと20年で世界のエネルギー消費は40%増え、地球温暖化も進む。このまま原発を減らし、火力をどんどん増やして大丈夫なのだろうか。
再生可能エネルギーに代えるとドイツのように電気代は倍増するが、それで日本経済はもつのだろうか。

軽水炉も高速増殖炉も有望な技術とはいえないが、本書もいうように、それは原子力という大きな可能性のある技術の中の一つの選択肢にすぎない。
トリウム型原子炉の燃料効率は軽水炉の200〜300倍で、炉心溶融を防ぐ多重の安全設備も必要なく、核拡散のリスクもないので、全体的コストは軽水炉よりはるかに安いという。

長期的には、化石燃料が値上がりし、炭素税がかかるようになると、原子力が再評価されるかも知れない。
日本の原子力産業は世界のリーダーなので、研究開発は続けるべきだ。
軽水炉に未来はないが、原子力にはまだ大きなイノベーションの可能性がある。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51897864.html
安倍ちゃんが拘ってるのは、原発というより原爆でしょ
でもいまのままじゃ近いうちに原発が勝手にフェードアウトして手遅れになる
核武装するなら今のうちじゃね
非核三原則という虚構 2012年11月11日12:14

橋下市長が広島で、非核三原則に言及した。各メディアでニュアンスが違うが、読売によれば、発言は次のようなものだ:

>非核三原則は基本的に堅持するが、「持ち込ませず」というのは日米安保条約の中で可能なのか。
(現実に核が)持ち込まれているなら、国民に開示して議論しなければならない。米海軍第7艦隊が核兵器を持っていないことはあり得ない。
日本が米国の核の傘に守られている以上、持ち込ませる必要があるなら国民に理解を求めたい。(引用終わり)

この発言は矛盾している。第7艦隊が核を搭載していることは明らかで、日本に寄港するときだけ外すことはできない。
それを容認するなら、非核三原則は「堅持」できない。おそらく「堅持」のほうは広島へのリップサービスだろう。
それを除けば、彼の発言はごく常識的なものだ。

アーミテージ=ナイ報告もいうように、アメリカにとって非核三原則は「もう終わったこと」である。
そもそも中国と戦争が起こったら、日本は核攻撃の対象になるのだから、われわれは核戦争のリスクの中で暮らしているのだ。
防衛のための核兵器だけを「持ち込まない」ことは、核の脅威から日本を守るどころか脆弱性を増すだけだ。

むしろ深刻な疑問は、もし中国が日本を核攻撃した場合、アメリカは本当に日本を守ってくれるのかということだ。
日米安保条約には「両国は共通の危機に対処するように行動する」と書かれているだけで、
アメリカが日本を防衛する義務は明記されていないが、アーミテージは「駐留米軍が核有事の際にアメリカが日本を守る担保だ」という。
沖縄の人々が騒いでいるのとは逆に、彼らの生命を守っているのはアメリカ兵という「人質」なのだ。
しかし核戦争になれば、アメリカ本土が中国のICBMで攻撃されるリスクがある。米政府が本当にそのリスクをおかして日本を守ってくれるかどうかはわからない。
日本を守る義務は日本政府にあり、米政府は自国の国益にそって行動するだけだ。
それが心配なら、日本は核武装するしかないが、これにはアメリカが強く反対している。彼らがもっとも警戒しているのは、日本が核武装して対米戦争を仕掛けることなのだ。

実はこの問題が、「原発ゼロ」をめぐるドタバタの背景にあった。
日本はすでに潜在的な核保有国であり、その気になれば1ヶ月もあれば核兵器をつくることができる。
アメリカは日本が大量の余剰プルトニウムをもっていることを警戒しているのだが、民主党政権はまったくそれに気づかず、幼稚な「原発ゼロ」政策を打ち出して1週間足らずで撤回した。

他方、アメリカにとって日本の戦略的重要性が大きくないと判断すれば、米軍基地を撤収するだろう。
日米同盟がなくなったとき、日本は核兵器なしで中国の脅威に対抗できるのだろうか。
現状で日本が核武装することは現実的とはいえないが、そのオプションを残す必要はある。

橋下氏もいうように「核廃絶は理想だが不可能だ」。
中国が核兵器を増強しているとき、アメリカが一方的に核兵器を減らすことはありえない。
歴史的な役割を終えた非核三原則は廃止し、日本は現実的な核戦略を構築すべきだ。

追記:このブログ記事によると、第7艦隊の原潜に搭載されていた戦術核はすでに退役し、艦載機にも核は搭載していないようだ。
未確認だが、これが事実だとすると、この記事も橋下氏の発言も間違っていることになる。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51823187.html
どうせ金使うならこっちに使いたい
コストを試算! 日米同盟解体 2012年11月13日00:59

昨日の記事の訂正:第7艦隊の戦術核は米軍再編で退役し、日本の領海に核を「持ち込む」必要はなくなったようだ。
むしろ問題は「持たず、作らず」のほうだろう。
中国の脅威が大きくなる一方、米軍再編でアジアにおけるアメリカのプレゼンスが低下する中で、いつまで核の傘に頼ることができるのだろうか。
アメリカ陰謀論者のいうのとは逆に、アメリカに見捨てられるリスクが大きくなってきたのだ。

その日にそなえて日本も核武装すべきだという議論があるが、これは現実に可能なのだろうか。
法的には現在の憲法でも核兵器を保有できるというのが政府見解だが、これは核拡散防止条約違反なので条約を脱退しなければならない。
アメリカは日本の核武装に強く反対しているので、それは日米同盟の破棄につながるだろう。
本書は、それを実際にやったらどうなるかというシミュレーションである。

在日米軍の機能を代替する直接経費だけで年間4兆2000億円だが、経済的な間接経費が20兆円にのぼると推定している。
後者は日米同盟を破棄するとアメリカに敵性国家とみなされ、貿易や投資が途絶するという想定にもとづいており、それを日米同盟の機会費用と考えるべきかどうかは疑問だろう。
しかし直接経費だけでも現在の在日米軍関係費4300億円の約10倍であり、しかもアメリカの核の傘を失う。
独自に核武装するコストは、イギリスの例では年間3000億円程度だが、自衛隊の抑止力は米軍よりはるかに劣る。
核弾頭をつくることはむずかしくないが、それを搭載した兵器を開発するには3〜5年かかるという。

本書の結論は、日米同盟を解体して自主防衛する直接経費は不可能な額ではないが、現在の抑止力を維持できないので日米同盟は費用対効果が高い、というものだ。
したがって当面は同盟の維持が経済的だが、それが独立国として望ましいかどうかは別の問題である。
核戦争になった場合に、アメリカが自国が報復されるリスクをおかして日本を守ってくれる保証はない。

日米同盟は60年以上続いているが、日英同盟は20年しか続かなかった。
歴史上100年以上続いた同盟関係はないので、日米同盟が今後も長く続くとは限らない。
核兵器を米軍が持ち込む必要はないが、それを日本が持つことや作ることを排除する理由はない。
そのために原子力技術も必要だ。核武装について考えることは、「脱原発」などという下らない話よりずっと重要である。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51823611.html