鳥取砂丘で熱中症患者を迅速に搬送できるよう、鳥取県砂丘事務所が農業用運搬車を導入した。
これまでは多くのケースで担架や車いすを使い、数人がかりで搬送。
導入により搬送時間の大幅な短縮が可能となり、救助者の負担も軽減できるという。
また、同事務所は漫画を使った啓発プレートも整備し、熱中症への注意を呼びかけている。
同事務所によると、熱中症患者の対応は、緊急性が高ければ防災ヘリが出動するが、重症でなかったり、
ヘリが出払っていたりすると、車輪が太い砂丘用車いすや担架で搬送する。
高さ約50メートルの砂丘列「馬の背」付近から同事務所まで約500メートルを往復するのにも、
4、5人がかりで30分以上かかることもあるという。
昨年度、熱中症とみられる症状で同事務所が救急対応した事案は74件。8月には1日最大7回に上った。
鳥取砂丘は自然公園法の特別保護地区で、車両の乗り入れには国の許可が必要。
県は、環境省近畿地方環境事務所(大阪市)に搬送車の必要性を訴え、6月6日に許可を受けた。
運搬車の荷台は長さ1・85メートル。走行用ベルトで砂地も苦にせず、時速7キロで走る。
患者に配慮し、日よけ用の屋根を付けた。購入費は約80万円。日頃は除草作業に使う。
県砂丘事務所によると、昨年度搬送された患者の6割以上が砂丘の斜面を駆け上るなど、急激な運動をしており、
今年度は4月26日、広島県の20歳代男性が「馬の背」を一気に駆け上って頭痛や吐き気などの症状を訴えた。
6月30日現在、20〜30歳代の男女を中心に11件(前年同期比6件減)の応急対応を行い、うち7件が斜面を走っていたという。
このため、砂丘入り口の階段に、砂丘で走った人が倒れる様子を2コマ漫画で紹介するプレートを設置。
園内の案内放送にタレントを起用し、「熱中症ややけどに注意して」とアピールしている。
同事務所は「体力を過信せず、体調管理に十分気を付け、楽しい思い出を残して帰ってほしい」と話している。
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