<部活死亡>「AED使わなかった」両親が大学側に賠償請求
2014年6月25日(水)07:45
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20140625k0000m040176000c.html 大阪体育大(大阪府熊取町)のサッカー部員が練習中に倒れその後死亡したのは、自動体外式除細動器(AED)で蘇生処置されなかったためとして、
部員の両親が大学側を相手取り、約7800万円の賠償を求める訴えを大阪地裁堺支部に起こした。
普及が進むAEDを巡り、スポーツ専門である体育大学の指導側の責任が司法で争われるのは異例だ。
原告は、サッカー部員だった那須正雄さん(当時20歳)の両親=堺市。
被告は大学を運営する学校法人「浪商学園」(大阪府熊取町)。提訴は23日付。
訴えによると、那須さんは今年3月3日朝、大体大サッカー場での練習に参加、ランニングと休憩を繰り返した後の午前9時31分ごろ、突然座り込み、過呼吸などの症状が出た。
33分ごろ、学生トレーナーが救急車を要請。
那須さんの意識や脈拍は下がり始めた。37分ごろ、トレーナーは心臓マッサージをした。
43分ごろ、部のヘッドコーチが駆け付け、心臓マッサージの継続を指示した。
同じ頃、約40メートル先に設置されていたAEDを部員が持ってきた。
44分ごろに救急車が到着、救急隊員はAEDを使った後、病院に搬送した。
那須さんは4日後、脳に酸素が届かなくなる障害(蘇生後脳症)のため病院で死亡した。
倒れた際、心臓の心室が震えて血液を送り出せなくなる心室細動(心停止状態)になったとみられる。
両親側は「電気ショックが1分でも遅れると救命率は下がる。すぐにAEDで電気ショックを与えていれば救命できた可能性が高い」と指摘。
スポーツ専門の教育機関なのに、ヘッドコーチらにAEDの使用の必要性を周知させていなかった大学側には監督責任があると訴えている。
浪商学園法人本部は取材に「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【服部陽】
◇AED
心室細動で心停止状態になった時、電気ショックを与えて正常に戻す機器。使い方を音声で指示し、電気ショックが必要か自動で判断する。
2004年7月の厚生労働省の通知で、医療従事者以外でも使えるようになった。