今春、山菜「コシアブラ」から国の基準値(1キロ・グラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが
長野市など4市町村で相次いで検出され、国は県に出荷制限を指示した。解除の見通しは立っておらず、
東京電力福島第一原発事故から3年以上が経過しての事態に関係者は困惑している。(佐藤寛之)
■相次ぐ検出
昨年6月、軽井沢町内で採れたコシアブラから1キロ・グラム当たり610ベクレルの放射性セシウムが検出された。
県内で基準値を超える山菜が確認されたのは初めてだった。今年5月には、長野市で採取されたものから
同340ベクレルを検出。同一県内の複数の自治体で基準値を超える検体が確認され「生産地域の広がりがある」ため、
国は出荷制限を指示した。その後、中野市、野沢温泉村でも検出例が相次いだ。
コシアブラは、「山菜の女王」と呼ばれ、春が旬。葉や若芽を天ぷらにするなどして食べる。
国の指示を受け、長野市が採取制限を呼びかける看板を約80か所に設置するなど、影響が広がった。
■吸収しやすい?
2年ほど前から放射性セシウムによる山菜の汚染について研究している独立行政法人「森林総合研究所」
(茨城県つくば市)の清野嘉之研究コーディネータ(59)は、
福島県内でコシアブラとほかの植物で放射性セシウムの含有量を調査した。
1時間当たりの空間線量が0・3〜3・0マイクロシーベルト程度と異なる環境でも、
コシアブラは1キロ当たり1000ベクレル前後とほぼ一定の放射性セシウムを検出。
ほかの植物では線量の上昇に伴い検出量が徐々に増えた。
清野コーディネータは「コシアブラはセシウムを吸収しやすい性質があるのではないか」と指摘する。
事故から3年以上経過して検出が相次いでいることについては「谷など地形的に放射性物質が集まりやすい場所があったり、
事故時に汚染された常緑樹の葉が最近になって落ちたりといったことが関係しているかもしれない」と推察する。
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